※西洋美術史特殊研究(大学院)
イギリス美術研究―19世紀を中心にー―
13A-F-210

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
高橋 裕子 教授 4 D/M 通年 4

授業概要

昨年度に引き続きイギリス美術を取り上げ、今年度は19世紀、特にヴィクトリア女王の治世(1837~1901)を中心に論じます。まず手短に全体を概観したのち、幾つかのトピックに絞って話すつもりです。すでによく知られた「ラファエル前派」や「唯美主義運動」だけでなく、ヴィクトリア朝の代表的ジャンルでありながら顧みられることの少ない「風俗画」にも注目したいと思います。また、文学との関連およびイギリスと諸外国の美術の相互関係にも目配りすることで、イギリス美術・文化の特色を、より立体的に把握することをめざします。

到達目標

ヴィクトリア朝の美術と社会について理解することができ、19世紀美術史におけるイギリス美術の位置づけを、自分の言葉で論述することができる。

授業計画

1 イントロダクション
2 概観(1)19世紀前期(ヴィクトリア女王の即位まで)
3 概観(2)19世紀中期
4 概観(3)19世紀後期
5 風景画(1)総論
6 風景画(2)カンスタブルとターナー
7 風景画(3)ラスキンの風景画論
8 風景画(4)水彩画の興隆
9 風俗画(1)総論
10 風俗画(2)前史(17世紀のオランダ、18世紀のイギリスとフランス)
11 風俗画(3)「感傷的」情景
12 風俗画(4)群衆が映し出す「現代社会」
13 風俗画(5)「社会派」リアリズム
14 美術と文学(1)同時代のイギリス社会への眼差し(ディケンズを中心に)
15 前回の続き
16 美術と文学(2)イタリア美術への関心(ジョージ・エリオットを中心に)
17 イギリスとイタリア(1)旅行
18 イギリスとイタリア(2)研究と蒐集
19 「ラファエル前派」(1)登場と批評
20 「ラファエル前派」(2)ハントとミレイ
21 「ラファエル前派」(3)ロセッティ
22 「ラファエル前派」(4)バーン=ジョーンズ
23 書物挿絵の興隆
24 アーツ&クラフツ運動
25 唯美主義運動(1)音楽をめざす絵画
26 唯美主義運動(2)生活の芸術化
27 ヴィクトリア朝美術と大陸諸国(フランス、ベルギー、ドイツなど)
28 ヴィクトリア朝美術と日本(1)(日本からイギリスへの影響)
29 ヴィクトリア朝美術と日本(2)(イギリスから日本への影響)
30 まとめ

授業方法

パワーポイントを用いた講義形式。

準備学習

予習・復習としては、毎回の配布資料を読み、授業で紹介した文献(文学作品を含む)に触れることを勧めます(時間は任意)。

成績評価の方法

レポート:80%(年度末に1回、レポートの提出を求めます。)
平常点(クラス参加、グループ作業の成果等):20%(毎回コメントペーパー(出席票を兼ねる)を提出してください。)
講義内容を理解するとともに、その反復ではなく、自主的な研究成果としてのレポートを期待します。

教科書

教科書は用いませんが、毎回プリントを配布します。

参考文献

高橋裕子『イギリス美術』(岩波新書)初版、岩波書店1998年、ISBN=4004305551
他の参考文献については、開講時に紹介します。英語文献が多くなりますが、大学院生は積極的に読んでください。

履修上の注意

第1回目の授業に必ず出席のこと。