1、多民族・多文化主義国家への道
         @植民地時代の歴史とその発展
        A自立への模索

   2、連邦結成とその意識
         @連合カナダの成立から連邦へ
         A先住民対策と政治変革

   3、国家的自立とその背景
         @カナダ・ナショナリズムと帝国主義
         A工業化社会のもたらしたもの
         B戦争、そして激動の時代へ


   4、新たなカナダ
         @戦後 〜冷戦終結と構想への変化
         A多様化する社会とアイデンティティ


 「多民族国家」と言えば、真っ先に浮かんでくるのは「アメリカ」だと思います。カナダは超大国アメリカとは異なり、私達の日常生活に影響を及ぼし、その存在や力をそれほど主張する国ではありませんが、フランス、イギリス、アメリカ的要素を混在させた文化に立脚し、「高度な生活水準、治安の良さ、あらゆる民族への開放性」を備えている「多文化国家」なのです。

 カナダは世界で最も豊かな国の一つであり、国連の人間開発指数(HDI)でフランス、ノルウェー、アメリカなどをおさえて第一位にランクされるほどの先進大国でもあります。国家の経済力や軍事力にもまして、国民の幸福の目安となるべき生活の豊かさからすれば、カナダは世界の範ともなるべき国家なのではないか、そして、この国の歴史を辿ることで「平和に共存」できる要素となるものを探りたい、と思い今回このテーマを選ぶことにしました。

 確かに、現状としてカナダが抱えている問題もありますが、現在に至るまでの歴史=政治的・経済的植民地から独立国への脱皮、そして複数民族の国民的統合という二重の課題に直面し、試行錯誤を重ねてきた「カナダの歴史」を学び取ることが、ボーダーレスな統合や平和共存を試みるプロセスの提示である、と私は考えています。

 畠山ゼミ4年卒業論文 
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