“宇宙開発は、国際社会の縮図である・・・。”
JAXA職員である土田哲氏からお話を伺った際に、真っ先に思ったことである。
国際宇宙ステーションについてのニュースを聞くことは多々あるが、その開発に各国はどのような取り組み方をしているかというのは全く聞いたことがなかった。その各国の取り組みについて聞くうちに、冒頭の言葉をひしひしと感じたのである。
国際宇宙ステーションの構造を見ると、中央部分をドーンと占め、大部分を占めているのがアメリカで、後方にあり要の部分である軌道維持関連の施設を占めているのはロシアである。そして日本はというと前方にちょこっとついているのである。この構造を見ただけでも国際社会が見事反映されているのが分かる。
また国際宇宙ステーションの開発の面から見てみると、ステーションは日本の技術無くしては成り立たないのだそうで、例えば、普段の生活や実験等を行う際に、電気は絶対不可欠であるが、その電気の発電や供給には日本の技術が使われている。しかし、日本はその電気をアメリカから買っているのである。
土田氏は、技術が無ければ発言権が無いということをおっしゃっていた。逆に言えば、技術があれば発言権があるということである。では何故日本は技術を持っているのに、発言権がないのだろうか。土田氏は、戦略を練り、コンセプトをあげ、イニシアチブをとることが日本には足りないということをおっしゃっていたが、その通りではないかと私も思った。まだまだ未熟者の私が言うのもおこがましいが、国際問題である環境問題や安全保障等への取り組み方を学んでいくうちにそう感じることは多々ある。日本は他国に負けない技術を持っているのだから、その技術を活かした戦略を練り、イニシアチブをとっていくことがこれからの国際社会に日本として関わっていく方法なのではないだろうか。
『航空宇宙の技術を他国に持たせてはいけない』
それは宇宙開発だけに言えることではなく、土田さんの言葉は深く心に残った。
以上のような宇宙開発の現状についてお聞きした後に、宇宙列車について教えていただいた。私は小学生の時に毛利衛宇宙飛行士にお会いし、講演を拝聴した時から宇宙に興味を持ち、いつか宇宙に行ってみたいという夢を持つようになった。最近、宇宙エレベーター(土田氏は宇宙列車と呼んでいた)が開発されつつあることを聞いた時には耳を疑った。もしかしたら、夢が現実になるかもしれない・・・。宇宙列車について知りたい!
その宇宙列車の開発について聞く機会を今回持てたことは、そういう意味でも私にとって大きな意味があったのである。
列車開発について聞くうちに、その構想はとても広大であり、その広大さゆえに夢で終わってしまうのではという疑惑も生まれてきてしまったが、土田氏の意欲と熱意からその計画にどんどん引き込まれた。まだまだ先の話ではあるけれど、いつかきっと誰もが今よりより手軽に宇宙に行くことができる日が来るだろう。
私はその時に、直接宇宙に関わるようなことはしていないかもしれない・・・。しかし、宇宙開発が国際社会と密接な関係であることが分かり、関わり方は多々あることが分かった今、間接的にでも宇宙列車の開発、そして日本の宇宙開発に関わっていくことができたらと思う。
今回の訪問から多くのことを学び、また同時に多くの課題があることを知ることができ、非常に貴重な体験となった。
最後になりましたが、今回お忙しい中、貴重なお時間を割き、様々なことを教えてくださった土田氏、JAXA職員の方々に心から感謝の気持ちを述べたいと思います。
どうもありがとうございました。 (4年 加藤)
JAXAを見学させて頂き、宇宙エレベーターが持つ可能性と土田さんのお話に大変感銘を受けました。
宇宙エレベーターは日本が持つ民間技術の全てを活用できること。宇宙エレベーターによってエネルギー問題が一変する、
また日本が有史史上初のエネルギー輸出国になりえるというお話は、国際政治を学ぶ私にとって非常に興味深いものでした。
そして実現に向けて多くの課題があることも伺いました。
その解決策やアイデアを一学部生である私達からも耳を傾けようとなさる土田さんの柔軟な姿勢にも得るところが非常に多かったです。
来年、自分が社会人になるに当たり土田さんの
「自国の為という気持ちさえあればどんな形でも経験は活かせる」
というお言葉に働く上での新しい姿勢を学ぶことができました。私も高い志を持ち続けたいと思います。
土田さんを始めJAXAの社員の皆様にはお忙しい中、施設を快く見学、解説して下さり大変感謝しております。
どうも有難うございました。(4年 水津)