テーマ:「日本の真価」と「日本人の誇り」―国際社会における新時代の息吹―

講演会趣旨

日本は第二次世界大戦敗戦後、経済や技術の分野で目覚ましい発展を遂げました。国際社会の一員として、外交分野でも様々な国際的役割を果たし、国際社会に影響を及ぼし得る主要な国家へと成長しました。

しかし、私たち国民は日本人としての誇りを持っているといえるでしょうか。また今の日本は国家としての確固たる意志を示し、国際社会の中で主体的に行動しているといえるでしょうか。

冷戦の終結によりアメリカとソ連の二極体制が崩壊し、今やアメリカの一極体制が終焉の兆しを見せ始め、国際社会は多極化の時代を迎えています。また、世界には貧困問題、地球環境問題、国際テロリズムといった解決困難な様々な問題が存在し、国際社会は混迷の底を彷徨っているといえるでしょう。

そのような国際社会において、日本は多極化した国際社会及び自国を取り巻く現状を把握し、日本が果たせる役割及び真価を認識しなければならない時を迎えています。それらを認識しかつ確信をもって実行に移せたとき、日本は自国の生き方を確立するだけではなく、国際社会の「道標」となることができるでしょう。それは国際社会に一過性ではない秩序と調和をもたらすことに繋がります。

各々の国家はそれぞれに誇るべき真価を有していますが、日本の場合は文化的国家としての歴史が自国の価値を構成する大きな要素となっているといえるでしょう。日本は大陸から切り離され、海に囲まれた島国として独自の歴史や文化を築いてきました。日本の先人たちは自然と共に生き、すべてのものへの尊敬と感謝の念を持ちながら暮らしてきました。そこには日本人としての誇りと美徳があり、先人たちが築き上げてきた叡智は現代の日本人にも受け継がれているはずです。その精神を持ちながら国際社会を生き抜こうとする日本人の姿は、世界にとっての一つの「希望の光」となるのではないでしょうか。

そのためには、国家を構成する国民一人ひとりが日本人としての誇りを取り戻し、日本の基軸を見出す必要があるといえるでしょう。

そこで本講演会では、日本人の真価とは何かを考えながら日本が国家として国際社会に対して持つ潜在力を探るとともに、それをいかに発揮するか、また日本人として国民一人ひとりに課された使命とは何かを考えてまいりたいと思います。