日本は第二次世界大戦の敗戦国でありながらも、経済や技術の分野において目覚ましい発展を遂げ、先進国の一員となった。外交分野でも様々な国際的役割を果たし、国際社会に影響を及ぼし得る主要な国家へと成長した。多極化時代の到来によって、日本の役割は増々大きなものになろうとしている。2013年には、安倍政権が戦後初となる「国家安全保障戦略」を策定し、日本はさらなる態勢変革の時を迎えている。

 ところが、日本が国際社会の中でいかなる役割を果たすべきと考えるのか、国家としていかなる道を歩もうとするのかといった、日本の「意志」はいまだ不明瞭である。

 

日本は国際社会を構成する一国家として、多極化した国際社会及び自国を取り巻く現状を把握し、日本が果たせる役割及び真価を認識しなければならない時を迎えている。それらを認識しかつ実行に移せたとき、日本は自国の生き方を確立するだけではなく、国際社会の「道標」となることができるだろう。それは国際社会に一過性ではない秩序と調和をもたらすことに繋がる。

 

 各々の国家はそれぞれにかけがえのない真価を有しており、日本の場合は文化的国家としての歴史が自国の価値を構成する大きな要素となっているといえるだろう。日本は大陸から切り離され、海に囲まれた島国として独自の歴史や文化を築いてきた。日本の先人たちは自然と共に生き、すべてのものへの尊敬と感謝の念を持ちながら暮らしてきた。そこには日本人としての誇りと美徳があり、先人たちが築き上げてきた叡智は現代の日本人にも受け継がれている。その精神を持ちながら国際社会を生き抜こうとする日本人の姿は、世界にとっての一つの「希望の光」となるのではないだろうか。

 

 今後日本は国際社会の現状を見据えつつ、主体的に行動していくことが求められている。

そのためには、国民一人ひとりが国家を構成する存在であることを自覚し、日本は国家としての明確な意志を持って自国の安全保障に取り組んでいかなければならない。日本の意志というものを、国民一人ひとりに、そして自分自身に問うていきたい。

 

副幹事長 手塚陽菜