国際コミュニケーション演習ⅠR  藤村 美穂

なぜ今“メガ”食品ブーム!?


大手コンビニチェーンのファミリーマートは、2000年から幾度にわたりテレビ番組「debuya」(「元祖!でぶや」に改称後、今年3月に放送終了)とタイアップした大盛り弁当などを販売してきた。また同業者のエーエム・ピーエム・ジャパンも2004年12月今年4月から厚生労働省が生活習慣病対策の柱として導入した「メタボ健診」。40~74歳の人(妊婦などを除く)を対象に、腹囲、血圧、血糖値、コレステロール値の4項目の検査によって、放っておいたら脳梗塞や心筋梗塞を起こしかねないというメタボリックシンドロームの患者やその予備軍を見つけて病気の予防につなげることで、医療費削減を狙ったものである。食の欧米化に伴い体型も欧米化してきた日本人にとって、今やメタボ撲滅の動きはごく自然な流れであると言えよう。  
しかしながらこの脱メタボの風潮に反旗を翻すかのように、今“メガ”食品が大ブームとなっている。流行の兆しは実は既に数年前からあった。大に「フレッシュチーズめいっぱい」という大盛りサイズのデザートを販売した。が、何より“メガ”食品ブームの火付け役となったのは日本マクドナルドが昨年1月に発売した「メガマック」である。マクドナルドは従来、女性に人気の健康志向な商品(「サラダマック」や「えびフィレオ」など)を積極的に売り出していたが、来店頻度の高い30代までの男性向け商品が少ないことに気づき、“満腹感”や“食べ応え”を重視した商品として「メガマック」を売り出したところ見事的中。予想外の人気を博した。この“メガ”食品人気の流れに乗るように、コンビニや外食チェーンは「100万倍」の意味を持つ“メガ”の名に恥じないボリュームたっぷりの新商品を次々に売り出している。
ではなぜ、これだけダイエットが叫ばれている現在、健康志向とは相反する“メガ”食品ブームが起こっているのか。まず、ひとつの要因として「大食いブーム」が挙げられる。近年、テレビのバラエティー番組で大食いタレントのギャル曽根をよく見かけるが、彼女は尋常ではない量の料理を本当においしそうに笑顔で平らげる。私は絶対に食べられないと思いつつ、彼女のその豪快な食べっぷりを見て一種の爽快感を感じるのだ。テレビ画面に映る“メガ”食品のインパクトと他人の豪快な食べっぷりを通して、「自分もたまには大食いしようか」と思った視聴者も多いのではないだろうか。
別の要因として、コンビニやファーストフード店の主要顧客である20~30歳代の男性にとっては、近年の健康志向の食品は単純に「量が足りない」ということがある。ファミリーマート調べによると、顧客の7割もの人がお弁当の量が足りないと感じており、この問題を解消すべく“これひとつ食べれば満腹になる商品を”と作られたのが、「メガハンバーグ弁当」であった。若年男性層のニーズにマッチしているのがボリュームたっぷりの“メガ”食品なのだ。マクドナルドの「メガマック」のターゲットが30歳代までの男性であったことから見ても、“メガ”食品のニーズは確実にあったものであり、単に話題性があるからということではなさそうである。
また、“メガ”食品は顧客ニーズを満たすために作られたメニューではあるが、通常商品よりも単価が高いため、売れれば売れるほど売り上げ拡大につながる。よってこれらは売り上げ拡大を狙うコンビニやファーストフード店の販売戦略のひとつと言える。実際私のバイト先であるファーストフード店でも、“メガ”食品を積極的に展開しており、売り上げの中でもなかなかのシェアを占めている。
世間が「健康」や「ダイエット」に熱をあげている今、“メガ”食品ブームは一見流れに反する現象に見えるが、顧客にも企業にとっても好都合な商品としてその存在価値は高く、一過性のブームではないだろう。ストレス社会に“ガツン”と刺激を与えてくれる“メガ”食品からしばらく目が離せなさそうだ。