Mathematica

Mathematica 周辺のこと

Mathematica について。

Mathematica は解析的な式変形、数値計算をやってくれる、非常に賢いソフトウェアです。学部で習うレベルの積分計算等は、自分で手を動かしてやる必要がありますが、非常に難しい計算等で自力で解けないと思われる場合は、Mathematica に渡してみるのもいいかもしれません。数値計算も可能ですが、本気の数値計算をする場合は、計算速度の問題があるので、その他の言語を用いた方がいいでしょう。

ショートカットキーは Mac と Windows で大体同じですが、異なることもあるので実行されない場合は環境 (OS) にあったものを調べてみてください。この記事では Mac を想定しているので、Windows を使っている人は、Command → Ctrl 等と読み替えてください。

以下のコードでは、アウトプットの部分が強調表示されています (濃いピンク)。

Mathematica の解説ページを書くに当たって、多く情報とアドバイスをいただいた桂さんに感謝します。

基本

計算の実行。
Shift + Enter
コメント文
コメント文は (* と *) で囲む。式の途中に入れても問題ない。(ショートカット: Command + /) 一行コメントは存在しない。
計算の実行をするが、結果を表示しない。
セミコロン (;) を用いる。
前の結果を用いる。
% に前の結果が入る。
自分で定義した変数をリセットする。
関数 func に値 <val> を渡す。
2 通りの書き方がある。
変数に制限を付ける。
例えば複素数の極形式 \(e^{i k}\) の複素共役の積を考える。\(k \in \mathbb{R}\) ならばこれは 1 である。Mathematica でこれを計算すると、以下のような出力になる。 \begin{equation} e^{i k - i \text{Conjugate}[k]}. \end{equation} これは \(k\) が実数に制限されていないからだ。これに対する正しい対処の仕方は分からないが (他の記法を誰か教えて欲しい)、以下のような方法で \(1\) を得ることができる。関数 Simplify は以上のような制限を引数に持つことができる。他にも、 Assumptions や Assuming などの関数も使えるかもしれない。
ベキでまとめる。
任意の文字列のベキとして式を表現する。例えば、指数関数 \(e^{i k}\) のベキで式を展開する。上の例では、\(e^{0}, e^{ik}, e^{2 i k}, e^{3 i k}, e^{4 i k}, e^{5 i k}, e^{6 i k}\) の線形結合として出力が得られる。
関数または手続きを作る。
変数 x, y を持つ関数 func を作る。複数の手順を含む関数や手続きを Module を使って作る。 Module を用いるメリットは、局所変数 (局所関数) を使うことができるので、関数がパッケージ化されることである。最初の { } で囲んだ中に局所変数を定義する。今の場合は、r が局所変数となっており、この関数の外部で r を定義し値を入れていても、そのグローバル変数の r と区別され影響は無い。局所変数の定義を行った後に、カンマ (,) に続いて計算や手続きを書く。関数の返り値は最後の実行値である。途中の実行結果はセミコロン (;) により出力しない。

Fibonacci 数列を生成する関数を例に挙げる (桂さん提供)。
以下の様に ( ) で囲むことによって同じ関数の定義も可能だが、変数がグローバル変数となるので推奨されない。
文字の置換
「/.」を用いる。
総和を取る
Sum 関数を用いる。例) 関数 \(f_n\) を用いて、\(\sum_{n=0}^{10} f_n\) を計算する。
指定回数繰り返す
Nest 関数を用いる。上記は、値 x を f に入れて、それをさらに f にいれて、さらに f にいれて・・・と num 回繰り返す。つまり、
微分を行う
D 関数を用いる。
途中で計算を止める。
間違った、またはパソコンのスペックを超えたコードを実行すると計算が永遠に終わらない場合がある。その場合は、メニューから、 Evaluation > Quit Kernel > Local を選択するか、以下のショートカットを実行する。
Command + . (Mac)
Alt + . (Windows)

ループ関係

For ループ
i = 1 から imax まで動かして、その都度、func[i] を実行する。

分岐関係

If 文
Switch 文 (シェルでは case 文に対応)

行列関係

単位行列 iMat を作る (3 x 3)。
行列 mat を作る (3 x 3)。
各行ごとに中括弧でくくって並べる。
List を用いても良い。
Table を使ってリストを作る。
対角行列 mat を作る。
帯行列 mat を作る。
演算子 /; は右辺の条件式を与える。上では、/; (スラッシュとセミコロン)の右辺の条件が正しければ代入 -> を実行する。
関数 Band は {} で示された成分から斜めの領域を指定する。
行列 mat を行列形式で表示する。
行列の積を計算する (普通の行列を並べて行う積)。
行列でなくて、ベクトルの場合も、積が求まるように、縦・横ベクトルに勝手に変換してくれる (行列とベクトルは、「リスト」と呼ばれる構造なので、縦・横ベクトルを区別する必要はない。)。
ドット (.) を用いる。
行列の各成分の割り算を行う。
割り算記号 (/) を用いる。
ベクトル \(\text{vec}_i\) \((i = 1, 2, 3)\) を並べて行列 mat を作る。
逆行列を求める。
行列式を求める。
固有値を求める。
具体例) ここで、例えば、Root[7 - 4#1 - 2#1^2 + #1^3 &, 1] というのは、Solve[7 - 4x - 2x^2 + x^3 == 0, x] の解 (の 1 番目) を示す。
転置行列を求める。
エルミート共役を求める。
トレースを求める。
行列 mat の要素を一部 (i 行 j 列) 選ぶ。
行列 mat の要素を一部 (i1 から i2 行かつ j1 から j2 列まで) 選ぶ。
行列 mat の第 i 行を全て選ぶ。
行列 mat の第 j 行を全て選ぶ。
未知の要素からなる n 次元ベクトル v や (n x m) 行列 A を作る。
行列に行列を加える (次元を増やす)。
行列を平坦化 (低次元化) する。
成分の並べ替え。
Sort を使う。デフォルトで、整数、有理数、近似数、実数をその数値順に並べる。小さい順に並べる。(1 番目 (#1) と 2 番目 (#2) を比べて、それを最後まで (&) するという意味か？そういう説明が無い。) 第 2 成分に関して大きい順に並び替える。
サンプル
エルミート行列を生成

固有値・固有ベクトルから行列を生成

固有値・固有ベクトルからエルミート行列を生成

出力関係

\(\LaTeX\) 形式で出力する。
\(\LaTeX\) の式を Mathematica で読み込む。
バックスラッシュは全て 2 つずつ書くこと。

応用例

Fibonacci 数を計算する。
\(n\) 番目のFibonacci 数 \(x_n\) は、 \begin{equation} x_n = x_{n-1} + x_{n-2} \end{equation} で与えられる。ただし、\(n \ge 3\)、\(x_1 = x_2 = 1\) とする。これは、以下のように計算することができる。解説すると、まずは \(n\) 番目の Fibonacci 数を計算する関数 fib を宣言する (fib[n_]:=)。引数は \(n\) である。実際の手続き (右辺) は以下である。
1. Module 関数を使って、内部にローカル変数 (関数) を定義する (f および list)。
2. 次に、f 自身の定義を行う。f の引数は list という名前の配列である。具体的には、f は配列を返し、その第 1 成分は list の第 2 成分 (list[[2]]) で、第 2 成分は list の全成分の合計 (list // Total) である。
3. f の定義をしたら、 Nest を使って、最初に {0, 1} という配列を渡して、n 回 f (の演算) を繰り返す。そして、f の演算で最終的に出てきた配列の第 1 成分を関数 fib の値として返す。
上で再帰的な方法で Fibonacci 数を計算するコードを挙げた。 ~~しかし、n が大きいときには、再帰的な計算には非常に時間がかかる。~~ 上の場合には f[i_]:=f[i]=... と f[i] を用いて定義しているので、計算時間は変わらない。なぜなら、一回の計算の中では、すべての f[i] をメモリ上に記憶しているので。一方で、Nest の方式の方は全てをメモリ上に確保していないので、メモリ面では計算コストが非常に少なく済む。
Fibonacci 格子を作る。(下にもっといい方法あり)
Fibonacci 格子は、シーケンス \(n\) が上がるごとに、シーケンス \((n-1)\) で作られた格子の格子点を、A → AB、B → A に変えるようにして作られる格子である。
Fibonacci 格子は、別の見方をすれば、\(n\) 番目の Fibonacci 格子を \(f[n]\) とすれば、\(f[n] = f[n-1]~f[n-2]\) と並べた格子でもある。
Thue-Morse 格子を作る。(下にもっといい方法あり)
Thue-Morse 格子は、シーケンス \(n\) が上がるごとに、シーケンス \((n-1)\) で作られた格子の格子点を、A → AB、B → BA に変えるようにして作られる格子である。
Thue-Morse 格子は、別の見方をすれば、\(n\) 番目の Thue-Morse 格子を \(t[n]\) とすれば、\(t[n] = t[n-1]~\bar{t} [n-1]\) と並べた格子でもある。ここで、\(\bar{t}[n]\) は \(t[n]\) の補数である。つまり、{A,B,A} → {B,A,B}。
何かしらのシーケンスのある格子を作る。
Nest という関数を使うと汎用性が高く良いと桂さんに教えていただきました！
- Fibonacchi 格子の場合
- Thue-Morse 格子の場合

Mathematica について。

目次

基本

計算の実行。

コメント文

計算の実行をするが、結果を表示しない。

前の結果を用いる。

自分で定義した変数をリセットする。

関数 func に値 <val> を渡す。

変数に制限を付ける。

ベキでまとめる。

関数または手続きを作る。

文字の置換

総和を取る

指定回数繰り返す

微分を行う

途中で計算を止める。

ループ関係

For ループ

分岐関係

If 文

Switch 文 (シェルでは case 文に対応)

行列関係

単位行列 iMat を作る (3 x 3)。

行列 mat を作る (3 x 3)。

List を用いても良い。

Table を使ってリストを作る。

対角行列 mat を作る。

帯行列 mat を作る。

行列 mat を行列形式で表示する。

行列の積を計算する (普通の行列を並べて行う積)。

行列の各成分の割り算を行う。

ベクトル \(\text{vec}_i\) \((i = 1, 2, 3)\) を並べて行列 mat を作る。

逆行列を求める。

行列式を求める。

固有値を求める。

転置行列を求める。

エルミート共役を求める。

トレースを求める。

行列 mat の要素を一部 (i 行 j 列) 選ぶ。

行列 mat の要素を一部 (i1 から i2 行かつ j1 から j2 列まで) 選ぶ。

行列 mat の第 i 行を全て選ぶ。

行列 mat の第 j 行を全て選ぶ。

未知の要素からなる n 次元ベクトル v や (n x m) 行列 A を作る。

行列に行列を加える (次元を増やす)。

行列を平坦化 (低次元化) する。

成分の並べ替え。

サンプル

出力関係

\(\LaTeX\) 形式で出力する。

\(\LaTeX\) の式を Mathematica で読み込む。

応用例

Fibonacci 数を計算する。

Fibonacci 格子を作る。(下にもっといい方法あり)

Thue-Morse 格子を作る。(下にもっといい方法あり)

何かしらのシーケンスのある格子を作る。