日本におけるゴットフリート-ヴィルヘルム・ライプニッツ(1646-1716)の哲学思想についての本格的な研究は、下村寅太郎『ライプニッツ』(弘文堂書房1937)、山本信『ライプニッツ哲学研究』(東京大学出版会1953)以来、すでに半世紀以上の歴史を経ています。1999年には、ライプニッツの哲学、論理学、数学、自然学、中国学などにおける著作・書簡を日本語訳した『ライプニッツ著作集』全10巻(工作舎)が完結したこともあって、ライプニッツの独創的で多様な業績への関心は次第に高まりを見せ、多くの論文や著書が出版されるようなりました。海外のライプニッツ関係学会で発表する研究者も出てきており、またM・フィシャン教授(パリ第四大学)やH・ポーザー教授(ベルリン工科大学)らが来日し、東京や京都で講演されるなど国際交流も始まっています。
しかしながらそれらの研究発表や国際交流は、日本では、その大半が個々人の尽力によるものであり、研究者相互の幅広い連携にはいまだ至っていないのが現状です。他方、すでに世界には、北米、スペイン、イスラエル、そして中国にそれぞれのライプニッツ協会が存在し、イタリアでも設立準備中です。いずれも、世界のライプニッツ研究のセンターであるハノーファーのライプニッツ・アルヒーフ並びにG・W・ライプニッツ協会と連携しながら、国際学会やシンポジウムを開催するなど活発に活動し、研究発表や共同研究の場を提供しています。
そのような現状に鑑みれば、日本においても国内の研究者のネット・ワークを創設して、研究成果や情報を共有し、研究の質を高め、異なる領域間での知見の交換を図ること、そしてドイツはじめ各国のライプニッツ協会とも連携しながら、世界の新しい研究動向を知り、さらに我国のライプニッツ研究を世界に発信して行くことが急務であると思われます。またそれは次世代のライプニッツ研究者を育て、日本のライプニッツ研究の今後の発展にも資するはずです。幸いにも、慶應義塾大学のCOE研究の一環として2007年から「ライプニッツ研究会」が3度にわたり開催され、ライプニッツ研究者相互の交流が図られてきました。これを貴重な基礎として、永続的なネット・ワークの設立を強く望むものです。
以上の趣旨に基づき、私共は、「日本ライプニッツ協会」の2009年4月の創設に向けて、現在準備を進めております。
まず「日本ライプニッツ協会」の基本的性格については、次のように考えています:
哲学・形而上学に限らず、論理学、神学、法学、数学、自然学、歴史学、倫理学、中国学、言語学他、多様な領域に及ぶライプニッツの思想と業績に関心を有する者を会員とし、異なった諸領域を包含するインターディスプリナリーな学会とする。将来的には、分野別の分科会などの設置の可能性もあるが、当面は全体会のみとする。また、会員資格についても、必ずしも大学等研究機関に所属する者に限定せず、広く、ライプニッツに関心をもつ者の入会を歓迎する。
次に、「日本ライプニッツ協会」は以下の事業を行うものとします:
つきましては、上記の趣旨にどうぞ御理解をいただき、是非とも御入会下さいますよう、お願い申し上げます。
御入会いただけます方は、下記の日本ライプニッツ協会設立準備室まで、メール、ファックス、電話などによりお知らせいただけますなら幸いに存じます。
2009年2月1日
日本ライプニッツ協会・設立発起人: | 酒井 潔 | ||
佐々木能章 | |||
| 伊豆蔵好美 | ||
鈴木 泉 | |||
谷川多佳子 | |||
中川純男 | |||
林 知宏 | |||
松田 毅 | |||
村上勝三 | |||
山内志朗 | |||
山田弘明 | |||
米山 優 |