tipa-1.3(TeX用音声記号パッケージ)のインストール(tipa-1.2のインストールを改訂)
- どこにあるのか?
福井玲さん@東京大学
による音声記号をTeXで使えるようにするパッケージ。
CTANのミラーサイトからなら,例えば
ftp://ftp.ring.gr.jp/pub/text/CTAN/fonts/tipa/
以下にある。
- tipa-1.3 バージョン(tipa-1.3.tar.gz 33,099,058 bytes)の特徴は?
これまでの1.1., 1.1beta, beta0.624と比べて,極めて完成度が高い。
(さまざまなバグが修正されています)。
Type1 フォント(*.pfb)が付属するので,これまでよりも鮮明な印刷が可能。
unix 系のOSなら、以下に示すように,Makefileの最初の部分を修正して、
make install だけで作業がインストールが終了する。
マニュアルも完成度が高い。
- インストール
今回は,VineLinux 3.1CR と Windows XPにインストールした。
- VineLinux 3.1CRの場合
まず,作業用のディレクトリに tipa-1.3.tar.gz を置く。
今回は,/home/hoge/src 以下に上記のファイルを入れて,
解凍したことにする。
(1) まずは解凍
GNU tar なら:
$ tar xzvf ./tipa-1.3.tar.gz
すると,tipaというディレクトリの下に,
[hoge@orara tipa-1.3]$ ls
00README Makefile Manifest.txt doc/ dvips/ mf/ sty/ tfm/ type1/
というファイル構造ができる。
(2) Makefile の修正
tipa-1.3のディレクトリに移動して,Makefileを修正。
オリジナルは以下のように始まっているが:
#PREFIX=/usr/local/share/texmf
PREFIX=/usr/local/teTeX/share/texmf
例えば、以下のように修正する。
#PREFIX=/usr/local/share/texmf
#PREFIX=/usr/local/teTeX/share/texmf
PREFIX=/usr/share/texmf
実際に変更したのは,texmfのディレクトリだけ。
(3) インストール
root になって
[root@orara tipa-1.3]# make install
で終り。以下のようなメッセージを出力して終了。
mkdir -p /usr/share/texmf/tex/latex/tipa
chmod 755 /usr/share/texmf/tex/latex/tipa
mkdir -p /usr/share/texmf/fonts/source/fkr/tipa
chmod 755 /usr/share/texmf/fonts/source/fkr /usr/share/texmf/fonts/source/fkr/ti pa
mkdir -p /usr/share/texmf/fonts/tfm/fkr/tipa
chmod 755 /usr/share/texmf/fonts/tfm/fkr /usr/share/texmf/fonts/tfm/fkr/tipa
mkdir -p /usr/share/texmf/fonts/type1/fkr/tipa
chmod 755 /usr/share/texmf/fonts/type1/fkr /usr/share/texmf/fonts/type1/fkr/tipa
install -c -m 644 sty/*.sty sty/*.fd sty/*.def /usr/share/texmf/tex/latex/tipa
install -c -m 644 mf/*.mf mf/*.def mf/*.sh /usr/share/texmf/fonts/source/fkr/tip a
install -c -m 644 tfm/*.tfm /usr/share/texmf/fonts/tfm/fkr/tipa
install -c -m 644 type1/*.pfb /usr/share/texmf/fonts/type1/fkr/tipa
install -c -m 644 type1/*.afm /usr/share/texmf/fonts/type1/fkr/tipa
install: type1/*.afm: そのようなファイルやディレクトリはありません
make: [install] エラー 1 (無視されました)
mkdir -p /usr/share/texmf/dvips/config
chmod 755 /usr/share/texmf/dvips/config
install -c -m 644 dvips/tipa.map /usr/share/texmf/dvips/config
mktexlsr
mktexlsr: Updating /usr/share/texmf/ls-R...
mktexlsr: Updating /var/lib/texmf/ls-R...
mktexlsr: Done.
(4) *.pfb ファイルの登録
ps ファイルやpdfファイルを作る時に,type1フォントが利用できる
ようになった(TeXtraceを使わなくてもついてくる!)。
/usr/share/texmf/dvips/config/config.ps
/usr/share/texmf/dvips/config/config.pdf
にtipa.mapを登録するのですが,ただ両方のファイルに
p +tipa.map
の一行を加えるだけ。
config.ps の47行に追加
% This shows how to add your own map file.
% Remove the comment and adjust the name:
% p +myfonts.map
p +tipa.map
config.pdf の32行め
p +bsr.map
p +bsr-interpolated.map
p +hoekwater.map
p +tipa.map
(5) 最後に,tipaman のコンパイル
./tipa-1.3/doc の下に,tipaman.tex があるが,よく見ると
ちゃんとマニュアル用のMakefileがあるので,これを利用。
[hoge@orara doc]$ make tipaman
としてコンパイル.あとは,
[hoge@orara doc]$ xdvi tipaman
でプレビュー。
これは,P.34の一部です(gのINPUT1が,\textscriptg と修正されていますね)。
もちろん,ここでgftopkが起動されて大量のフォントを作り出しますので,CPUの速度によってはかなり
またされます。
- Windows XPの場合
今回、Windows XP にtipa-1.3 をインストールする機会に恵まれました(泣)。
TeX環境は、奥村さんの「美文書入門」に付いていたものをすでにインストール
してあります。tipa-1.3.tar.gz をすでにもっていますので、それを利用するの
ですが、(1) gnu tar がないと解凍できないこと、(2) Makefile を利用したイ
ンストールができないこと、がネックとなっていました。
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方法は2つあります。
(1) CTAN から、個別のファイルをダウンロードして、Makefile の中身を見て、
適切な場所に移動させる(上記のmake した時のメッセージに従って、ファイル
を移動させればよい)。
(2) どうにかして、gnu tar と make ができる環境を作ってしまう。
結局、(2) の方策をとることにしました。将来的に、Cygwin の環境がある方が、
使いやすいので。
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(2) の方法を取るにあたり、Cygwin をフル・インストールしてしまいます。
これで一発ですが、時間がかかることは覚悟してください(実際は、
しばらく放置し、2時間位して戻ってきてみると、インストールの
途中でエラーを出してこけていましたが、実用上問題ありませんでした)。
もちろん、この作業は、Windows XP の場合、Administrator でログインして
行います。
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tar で tipa-1.3.tar.gz を解凍して、Makefile の内容を修正します。
#PREFIX=/usr/local/share/texmf
#PREFIX=/usr/local/teTeX/share/texmf
PREFIX=c:/usr/local/share/texmf
としました。Cygwin の場合、絶対パスの切り方にちょっと迷いましたが、
上記のようにしてOKでした(「c:」が無くてもよいのかもしれないが、
試さなかった)。
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後は、解凍したディレクトリで make するだけ。
make install
で終了。
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そもそもなぜ、Windows XP に tipa-1.3 をインストールしなければならなかっ
たか、というと、VineLinux 上の texファイルを持っていって、プリントアウ
トできる環境がなかったからです。これで、texファイルを nkf を使って、
shift-jis コードに変換して、Windows 環境へ持っていき、
tipa を使った ファイルを無事にコンパイルできるようになりました。
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