岡本順治研究室

学習院大学

cosmos
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Wine-20050930 (とcosmas v.3.6) の VineLinux 3.1CR(kernel 2.4.27-0vl7)へのインストール[10/12,13,15/2005]

  1. [序論]

    Wineは、よく知られているように Microsoft Windows のプログラムを unix系 (Linux, FreeBSD, Solaris など) のプラットフォームで動かすことができるようにするソフトウエアです。 その仕組みは、簡単に言ってしまえば Microsoft Windowsのプログラムをロードし、 Windows APIunix 系のOS (のX上)で、エミュレートする、というものです。

    * まだαリリースなのですが、 Wine Application Database や、 2chlinux.org のWine の動作報告 を見る限り、現在ではかなりの数のアプリケーションが動くようです。 [10/13/2005]

    Wineの最新版は、 http://www.winehq.org/ からダウンロードできます (まだようやくαリリースの最後にたどり着いたところですが)。

    Wineは、GNU LGPL の元に配布されているフリーソフトウエアです。

    私がWine を必要とした理由は、 IDS (Institut für Deutsche Sprache) が配布している言語コーパス検索プログラムcosmasが がWindows上でしか動かない、 ということが分かったからです。説明を読むと、Wine を使えば、Linux 上で動くと書いてあったことが直接の動機です。

     実はすでに、Wine-20050211.tar.gzと、 COSMAS V.3.4.2(c2-install-v3.4.2.exe) の組み合わせを試しており、 ほぼ正常に動作したことを2005年2月の時点で確認しています。 今回は、Wine-20050930.tar.gz(ソースファイル、お よそ12538KB)とCOSMAS V.3.6(c2-setup-v3.6.exe) を使いました(rpm のバイナリーは試していません)。

  2. [前提]

    今回も、VineLinux3.1CRの素のkernel2.4.27-0vl7 を使っています。すでに、VineLinux 3.2が2005年9月18日にリリースされ、 kernel-2.4.31が出回っていますが、 諸般の事情から、カーネルのバージョンアップを見送っています。

    以下の説明では、ユーザー名=hoge、 マシン名=oraoraとしてあります。

  3. [ソースファイルのダウンロード]

    http://www.winehq.org/ からたどって、近くのftpサイトから、Wine-20050930.tar.gz をダウンロードし、展開します。~/srcで展開しまし た。

     [hoge@oraora src]$ tar xfvz Wine-20050930.tar.gz
      

    すると、wine-20050930 というディレクトリが作られます。そのディレクトリに移動し、 中味を見てみます。

    [hoge@oraora src]$ cd ./wine-20050930
    
    [hoge@oraora wine-20050930]$ ls
    ANNOUNCE     DEVELOPERS-HINTS  README        dlls/           loader/
    AUTHORS      LICENSE           VERSION       documentation/  programs/
    BUGS         LICENSE.OLD       aclocal.m4    fonts/          server/
    COPYING.LIB  Make.rules.in     configure*    include/        tools/
    ChangeLog    Makefile.in       configure.ac  libs/
    
  4. [コンパイルの前の準備]

    READMEファイルを読むと、 (1) XFree86-devel, (2) gcc >= 2.7.2, (3) make, (4) flex (version 2.5 or later), (5) bison がコンパイル条件ですが、VineLinux3.1 は、(2) gcc (3.3.2 20031218), (3) make (GNU Make 3.80) なので条件を満たしています。また、印刷に cupsを使っている場合には、 (6) cups-develも必要になります。

    そこで、 (1) flex (2) bison (3) XOrg-devel (4) freetype-develがインストールされていない環境の人は、 これらをapt-get install などでインストールしておきます。
    例えば、以下のような感じで、上の4つをインストールします。

    [root@oraora hoge]# apt-get install flex bison XOrg-devel freetype-devel
    
  5. [QUICK START]

    README を読むと、

    Whenever you compile from source, it is recommended to use the Wine Installer to build and install Wine. From the top-level directory of the Wine source (which contains this file), run: ./tools/wineinstall

    と書いてあるので、これを試してみます。 なお、QUICK STARTは、コンフィギュア、 コンパイル、 インストールまで自動でこなしてくれるスクリプトではありますが、 ソースからのコンパイルですからそれなりの時間がかかります。 (参考データ:Intel Pentium M 1.40GHz で、real 22m18.244s, user  17m29.360s sys 0m53.350s でした。)

    [hoge@oraora wine-20050930]$ ./tools/wineinstall
    

    configureが終わった段階では、 最後に以下のようなメッセージが出ます。

    ...
    config.status: creating tools/winebuild/Makefile
    config.status: creating tools/winedump/Makefile
    config.status: creating tools/winegcc/Makefile
    config.status: creating tools/wmc/Makefile
    config.status: creating tools/wrc/Makefile
    config.status: creating include/config.h
    config.status: executing dlls/gdi/enhmfdrv commands
    config.status: executing dlls/gdi/mfdrv commands
    config.status: executing dlls/kernel/messages commands
    config.status: executing dlls/user/resources commands
    config.status: executing dlls/wineps/data commands
    config.status: executing include/wine commands
    
    *** Note: Your system appears to have the FreeType 2 runtime libraries
    *** installed, but 'freetype-config' is not in your PATH. Install the
    *** freetype-devel package (or its equivalent on your distribution) to
    *** enable Wine to use TrueType fonts.
    
    Configure finished.  Do 'make depend && make' to compile Wine.
    
    We need to install wine as root user, do you want us to build wine,
    'su root' and install Wine?  Enter 'no' to continue without installing
    (yes/no)
    

    freetype-develパッケージは すでにインストールされていますが、freetype-config というパスは存在しないようです。ここでは、後のことを考えて、 noを選択しました。つまり、コンパイルはするが、 インストールをしない、という選択肢です。コンパイルが通るかどうか、 分からないので。

    結果として、コンパイルは通りました。

  6. [インストール]

    この状態では、インストールまで進んでいませんので、手動でインストール します。

    [root@oraora wine-20050930]# make install
    ...
    make[2]: ディレクトリ `/home/hoge/src/wine-20050930/tools/wrc' に入ります
    ../../tools/mkinstalldirs -m 755 /usr/local/bin /usr/local/man/man1
    /usr/bin/install -c  -m 644  ./wrc.man /usr/local/man/man1/wrc.1
    /usr/bin/install -c   wrc /usr/local/bin/wrc
    make[2]: ディレクトリ `/home/hoge/src/wine-20050930/tools/wrc' から出ます
    ../tools/mkinstalldirs -m 755 /usr/local/bin /usr/local/man/man1
    /usr/bin/install -c   ./winemaker /usr/local/bin/winemaker
    /usr/bin/install -c  -m 644  ./winemaker.man /usr/local/man/man1/winemaker.1
    make[1]: ディレクトリ `/home/hoge/src/wine-20050930/tools' から出ます
    ./tools/mkinstalldirs -m 755 /usr/local/share/aclocal
    mkdir -m 755 -p -- /usr/local/share/aclocal
    /usr/bin/install -c  -m 644  ./aclocal.m4 /usr/local/share/aclocal/wine.m4
    /sbin/ldconfig
    *************************************************
    *************************************************
    The installed Wine libraries will not be found!
    You can either:
       Add the line '/usr/local/lib' to /etc/ld.so.conf and run /sbin/ldconfig
       export LD_LIBRARY_PATH=$LD_LIBRARY_PATH:/usr/local/lib
    *************************************************
    *************************************************
    

    という感じで終了します。
    最後に出ているメッセージに従って、ここでは、root になって /etc/ld.so.conf に、 /usr/local/libの行を書き加えて、保存し、 root 権限で、 /sbin/ldconfigを実行しました。

    [hoge@oraora wine-20050211]# /sbin/ldconfig
    
    これで、インストール終了です。
  7. [動作確認]

    初期のころからWine の動作実験に使われていた、Windows のソリティアを動かしてみます (このマシンはデュアルブートで、Windows XP も入っています)。 今回は、winというディレクトリを作り、 そこにsol.exeをコピーしておきました。
    動かし方は簡単で、

    [hoge@oraora win]$ wine sol.exe
    

    とするだけです。これで、 このようにソリティアが立ち上がります (gnome-games に入っているFreeCell Solitaire と比べると、貧弱ですね)。無事に動作して、 カードがボヨンボヨンと跳ね回るところまで行きます(少し遅い)。ただし、 「カードの模様を変更」をクリックすると模様が見えません。 何か設定の仕方があるのかもしれません。 [10/13/2005]

    (./wine/config ファイルで path の指定ができるようです。wine sol とか、 wine c:\\windows\\sol.exe とか、 wine /usr/windows/sol.exe のような形も可能、とREADMEには書いてあります。)

    Wine に対しての覚え書き (1):
    一般ユーザでWineにソフトウエアをインストールすると、 ホームディレクトリに、.wine(ドット付きディレクトリ) ができ、そこにdrive_cというディレクトリができ、 そこがc ドライブとしてWine から見えるようになります。そこには、すでに、 My Documents   Program Files   windows のような標準的なディレクトリが生成されています。 [10/13/2005]

    Wine に対しての覚え書き (2):
    Wine に関するドキュメントは、 wine-user.html で見るか、 wine-user.pdf をダウンロードしてじっくり読むことができます。 [10/29/2005]

    Wine に対しての覚え書き (3):
    .wine/drive_c/windowsをのぞいてみると、 notepad.exeもあり、 試しに

    [hoge@oraora hoge]$ wine notepad
    

    としてみると、日本語の通るNotePad がちゃんと起動しました。日本語入力もばっちりで、 保存するとShift-JISのファイルが出来上がっています。 [10/13/2005]

    Wine に対しての覚え書き (4):
    インストール作業ディレクトリの下に以前は、 /documentation/samples/config があったのですが、 Wine20050930.tar.gzには入っていませんでした。 どうやら、system.reg user.reg userdef.reg に変更されたようだ。 [10/15/2005]

    Wine に対しての覚え書き (5):
    Wine の操作性を向上させるさまざまなソフトウエア が開発されています。 有名なものは、例えば、 WineTools で、2005年10月13日現在、WineTools 2.1.2が配布されています。 Wineは、設定次第ではいろいろできることが分かってきましたが、 はまると大変そう。試しに、 WordPadを入れてみたが、 日本語の扱いに難がある。もうちょっと設定の仕方があるような気もするのだが。 [10/15/2005]

  8. [cosmas v.3.6 のWineへのインストール]

    (1) 念のために、gnome-terminal の文字コードをiso-8859-15 にセットアップしました。(万一、 ドイツ語のエラーメッセージが出た時に、問題なく見れるように、 と思ったのですが、結論から言うと不要でした。)
    (2) 英語環境でcosmasのインストールをします。 VineLinux.bashrc には、最初からalias eng='LANG=C LANGUAGE=C LC_ALL=C' がエイリアスとして登録されていますので、これを利用します。

    [hoge@oraora win]$ eng wine c2-setup-v3.6.exe
    

    これで、後は質問に答えていくだけでインストールは終了します。 (ドイツ語文字の文字化けはありません)。

  9. 参考

    (a)   最初に現われるWindow(Setup von COSMAS II)には、 以下のメッセージが出ます。

    Bestätigen Sie bitte die Installation von
    COSMAS II, Version 3.6
    Entstehlungsdatum 2.06.2005
    für
    WINDOWS 95 /98 /NT /2000 /XP
    
    auf Ihrem PC
       OK  Cancel
    

    最後の2つは、ボタンで、ここでOKをクリックすると先へ進みます。

    (b)   Install 終了のメッセージが出たところで、 Window が閉じますが、 その後、コンソールに以下のメッセージがでていました。

    err:menubuilder:extract_icon32 ExtractFromEXEDLL failed, error 1813
    err:menubuilder:InvokeShellLinker failed to fork and exec wineshelllink
    
    明らかに Wine の出したメッセージですが、 cosmas のインストールの最後の部分が、うまく実行できなかったようです。 cosmas 自体の実行には、問題ないようです。

  10. [cosmasの実行]

    ユーザー権限でインストールしましたので、ホームディレクトリの直下に、 .wineというディレクトリができていて、 その下にインストール時に指定した path があるはずです。
    私は、今回、ProgramFiles というディレクトリを作成しました。
    その結果、(ユーザー名 hoge の場合、)
    /home/hoge/.wine/drive_c/ProgramFiles/C2/bin に、c2mgcl.exeが配置され、 これがcosmasの実行ファイルです。

    [hoge@oraora bin]$ eng wine c2mgcl.exe
    

    として、無事にcosmas 3.6 が立ち上がりました。 cosmas 3.6で、 unterliefKWIC検索をしているスクリーンショットは、 こんなです。
    また、検索後に選られた個別データを参照ている場面のスクリーンショットは、 こんなです。

  11. [cosmas をインストールした感想]

    (1) 日本語版のWindows で起きる文字化けは、一切ありません。 TrueType Fontsの認識ができているので、 実際に画面に現われる文字フォントは自由に選べます。以前の Wine + VineLinux では、できていなかった部分です。
    (2) cosmas は 6301、6302ポートが空いていないと動かないので、Firewall の中にいる時は、ネットワーク管理者と相談しましょう。
    (3) データをテキストファイルとしてexportすると、 iso-8859-1あるいは、iso-8859-15でハードディスクに保存されます。 Linuxでは問題なく読めますが、 Windowsでは、 Latin-1を扱えるエディタが必要になります。 Windowsユーザの人は、rtf (リッチフォーマット)でexport して、Word で読むといいでしょう。[10/15/2005]
    (4) 日本語のWindows上で cosmasを使って起きる文字化けは、 どうやら避けられないようです。WindowsXP 上で実験してみた結果は、このようになりました。 ここでは、フォントをTimesNewRoman にして、ちゃんとドイツ語フォントが見える環境にしているのですが、 このありさまです(プログラム側に責任があるように思います)。 Linuxでの 前にあげた結果 と比べてみてください。フォントは違いますが、同じ画面です。 [10/15/2005]

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