by Junji Okamoto

デンマーク語の数詞[08/24/2005, modified on 08/17/2006]

  • [0から20まで]

    ドイツ語、英語とデンマーク語の数詞[0から20まで]を比較するところから始めます。

    number  German  English  Danish 
    0 null zero, null nul
    1 eins one en, et
    2 zwei two to
    3 drei three tre
    4 vier four fire
    5 fünf five fem
    6 sechs six seks
    7 sieben seven syv
    8 acht eight otte
    9 neun nine ni
    10 zehn ten ti
    11 elf eleven elleve
    12 zwölf twelve tolv
    13 dreizehn thirteen tretten
    14 vierzehn fourteen fjorten
    15 fünfzehn fifteen femten
    16 sechzehn sixteen seksten
    17 siebzehn seventeen sytten
    18 achtzehn eighteen atten
    19 neunzehn nineteen nitten
    20 zwanzig twenty tyve

    こうして比べてみると、デンマーク語の数詞の音韻は、英語に近いように見えます。

  • [20から90まで]

    次に、ドイツ語、英語とデンマーク語の数詞[20から90まで]を比較してみます。

    number  German  English  Danish 
    20 zwanzig twenty tyve
    30 dreißig thirty tredive
    40 vierzig forty fyrre(tyve)
    50 füfzig fifty halvtreds(indstyve)
    60 sechzig sixty tres(indstyve)
    70 siebzig seventy halvfjerds(indstyve)
    80 achtzig eighty firs(indstyve)
    90 neunzig ninty halvfems(indstyve)

    ここでは、カッコでくくった部分は、現在では使うことはめったにない文語形を示しています。 そして、この文語形を良く見ると、デンマーク語は、20 をベースにした数の読み方をしていることが分かります (ちなみに、この文語形は、序数にすると現在でも使われる形として、再度、現れます)。

    ◯ 30以降の数字の文語形には、すべて20(tyve) が語末に付いています。

    ◯ 60の文語形は、tre-sinds-tyve(3 times-of 20, 20 かける 3)

      80の文語形は、fir-sinds-tyve(4 times-of 20, 20 かける 4)となります。

    ただし、40の文語形は、本来なら(2 かける 20) となるはずのところ、なぜか、 fyrre-sinds-tyve(? times-of 20, 20 かける ?) となっています。 2なら to を基にした形が使われてもよいはずですが、 fyrre はむしろ fire (4) からの派生形のように見えます。

    注 1  sinds sinde の属格(genitive)であり、 「〜の倍」(times of)を表わす古語。

    ◯ 50, 70, 90 は、20を基にして、halv(半分)を用いて表わします。 これらは、結果的に20に対して分数を乗算する形になります。
      50の文語形は、halv-tred-sinds-tyve  half third times 20, 20 かける 半分 3(序数)
      70の文語形は、halv-fjerd-sinds-tyve  half fourth times 20, 20 かける 半分 4(序数)
      90の文語形は、halv-fem-sinds-tyve  half fifth times 20, 20 かける 半分 5(序数)
    となります。
    ここで、「半分 3(序数)」の表わすのは、2と1/2。同様に、「半分 4(序数)」 の表わすのは、3と1/2、「半分 5(序数)」の表わすのは、4と1/2

    では、なぜ、半分戻るのでしょうか? 原理的に言って「半分」という数が、その前の小さい数を基準としても、 その後の大きい数を基準としても表わせるからでしょう。 つまり、3.53 と「半分」 と表現する言語と並んで、 「半分」4 と表わしてもよいのです。 ドイツ語の時刻の表わし方にも、後者の表現が使われていますが、 デンマーク語では、時刻の表わし方だけでなく、通常の数字の読み方にも20進法と共に用いられていました。

  • [20から29まで]

    ドイツ語、英語とデンマーク語の数詞[20から29まで]を比較してみます。

    number  German  English  Danish 
    20 zwanzig twenty tyve
    21 einundzwanzig twenty-one enogtyve
    22 zweiundzwanzig twenty-two toogtyve
    23 dreiundzwanzig twenty-three treogtyve
    24 vierundzwanzig twenty-four fireogtyve
    25 fünfundzwanzig twenty-five femogtyve
    26 sechsundzwanzig twenty-six seksogtyve
    27 siebenundzwanzig twenty-seven syvogtyve
    28 achtundzwanzig twenty-eight otteogtyve
    29 neunundzwanzig twenty-nine niogtyve

    0から20までの比較では、デンマーク語の数詞は、音韻的に英語に近いことがわかりますが、 20から29までの数字を見れば、その表現法は、ドイツ語と同様に、 「一桁目の数字 + and + 二桁目の数字」となっています。
    具体的に見てみると、enogtyve は、 en (= one) + og (= and) + tyve (= twenty) です。 ドイツ語のein (= one) + und (= and) + zwanzig (= twenty) と同じ構造です。英語でも、かつてはこのような表現が使われていました。

    これで、99までの任意の数を言うことができます。 (100 は、hundrede です)。
    例えば、91 を現代表現と文語表現で言ってみると:
    現代の表現では: enoghalvfems
    文語表現では: enoghalvfemsindstyveとなります。
    注 2 enoghalvfemsの語尾のs は、sinds の語頭の s が残ったものです。 形態論的に「刈り込まれた」(trancated) と呼ばれることもあります。
    注 3 現代では、このような20進法や「半分」の意味は、 デンマーク語の話者にとって、ほとんど全く意識にのぼらないもののようです。 sinds 1つ取っても、現代語では、意味不明なので す(現代のデンマーク語では、「かける」を gange, 属格は ganges と言います)。

  • [数詞と序数]
    number  Danish(数詞)  Danish(序数) 
    1 en første
    2 to anden
    3 tre tredje
    4 fire fjerde
    5 fem femte
    6 seks sjette
    7 syv syvende
    8 otte ottende
    9 ni niende
    10 ti tiende
    20 tyve tyvende
    30 tredive tredivte
    40 fyrre fyrretyvende
    50 halvtreds halvtredsindstyvende
    60 tres tresindstyvende
    70 halvfjerds halvfjerdsindstyvende
    80 firs firsindstyvende
    90 halvfems halvfemsindstyvende

    序数では、40から90までに、数詞の時は文語形として退けられたものが、 そのまま残っていることが分かります。(どうやって覚えるのだろう?)

  • 参考文献:

    Teach yourself Danish
    『デンマーク語入門』白水社
    内林政夫 『数の民族誌 世界の数・日本の数』 八坂書房
    http://www.olestig.dk/dansk/numbers.html DANISH NUMBERS by Ole Stig Andersen
    http://www.sf.airnet.ne.jp/~ts/indexj.html 思索の遊び場 by 高杉 親知