茶色の文字で書いてある部分は、相当に細かい仕事の話なので、ふつうの読者の方は読み飛ばしてください。
これが、今年の年賀状。
写真は、九月の北海道の学会の際に訪れた、中谷宇吉郎の教授室です。
Komatsu-Nakagawa-Sasa-Tasaki 論文の改訂作業は着々と進んでいる。
大晦日の深夜(だから、暦の上では新年)に「あけましておめでとう」とともに version B-04 をみんなに送信。さらに、その後の、いわゆる三が日にもメールによる議論が続き、昨日の深夜には discussion を大幅に手直しした version B-05 を仕上げた。 なかなか、気分がよくなってきた。
既に色々なところで話しているせいもあって、論文のプレゼンテーションも、構成も、かなりこなれてきたと思う。 ここまで来たら、焦らず、できるだけいい論文に仕上げて再投稿したい。
が、家にいたままでもシラバスの入稿もできたし、その他の雑用も可能だとわかる。 けっきょく、在宅のままでの「(研究以外の)仕事はじめ」になった。
忙しいと言いつつも、プリペイドカードの裏の記録をみると、十二月は、寒い中、五回プールに行っている。 悪くないペースだ。一月も、これくらい行ければうれしいなあ。
まだ太陽が出ているあいだのプールは、久しぶり。
すぐにも泳ぎたいのだが、まずウォームアップしてから泳がないと調子が出ないことは経験的にわかっている。 ともかく、二往復、百メートルを黙々と歩く。 本当は、もっと歩いた方がいいのだろうが、泳ぎ始める前に歩くのは無性に退屈で、イヤでイヤでたまらない。 百メートル歩いただけでも、かなり、がまんしているのだ。
それから、ゆっくりと、しかし休まずに、千メートルを泳ぐ。 いつも通り、クロール五十メートルと平泳ぎ五十メートルをセットにして、それを十回。 終盤になって少しペースを上げると、息切れがして、少し苦しい。 でも、多少負担をかけるくらいがちょうどいいような気がする。
千メートル泳いだ後は、ストレッチしながら、再びプールの中を歩く。 今度は、二百メートル歩いたが、泳ぐ前とは全く感触が違う。 なんか、体も精神も水にしっくりと親和してしまったようなところがあり、水の中を歩きながら、あらゆることを考えているのが、少しも退屈でも苦痛でもない。 不思議なものだ。
ちょうど四十分間プールに入っていた。手頃な運動。
以上が初泳ぎの記録。 いかにも健康オタクの日記で、他の人が読んでもつまんないよなあ。
できるかぎり講義+研究を最優先の、本来のモードでひたすら活動し、時おり、主任としての重要な仕事の締切がせまっていることに気付いて愕然とし、それで、必死でやると、なんか知らんけどラッキーにもすさまじい勢いで仕事が片付いて、なんとかなって、ほっとする --- 的な事をくり返しながら過ごしています。 あと、大晦日の日記に「たま」のことをちょっと書いたのだけど、あれ以来、今さらながら、このバンドの音楽を聴いているのだ。 ま、それについては、後ほど。
今後については、短期的な事と、長期的な事を、いろいろと考えている。 ま、それについても、いずれ。
第 9 回特異点研究会である。 主として相対論の人たちの研究会だが、参加者を見ると、けっこう知った名前が多いのだ。 あと、この人は、ひょっとして、知り合いの弟さんではなかろうかと思われる人も。
ゲストスピーカーだから何を話してもいいと言われて、色々と迷ったのだが、けっきょく、いちばん気になっている話をするのがベストだろうと思って、最近の非平衡定常系の話をする。 13 日の日曜日に1時間のトークなので、明治大や学習院大での研究会を聞き損なった方で、ご都合がつく方は、どうぞ。 論文の改訂にあわせて、プレゼンテーションの方もかなり改訂(拡張ギブスの部分は、完全に新しい)。 今まで二回の反省にもとづいて、細々(こまごま)と改良しております(当社比)。
さて、いわゆる三連休だったわけだが、ぼくも、たしかに自分の仕事はいっさいお休み。 特異点研究会にフルに参加して、ブラックホール三昧の時間を過ごした。
議論を中心にした研究会だということは聞いていたけれど、実際、ほんとうにそのとおり。 講演の途中でも、別に「質問、いいですか?」などと聞かずに、質問や辛口のコメントがばんばん飛び交い、ときには、講演者そっちのけで会場での議論が盛り上がる。 こういう雰囲気は大好きだ。
さらに、講演の時間がたっぷり取ってあるので、みなさん、それなりにイントロやレビューの部分に時間をかけて話してくれる。 これは、完璧な門外漢であるぼくにとっては、猛烈にありがたい。 どういう物理的な設定で、どういう条件で、どういう方程式が出てくるか、というところを押さえてもらえれば、そこから先の議論は素人でもかなりのところまで理解できるものだ。
というわけで、これらイントロと気楽な研究会の雰囲気に助けられて、ぼくも、(ほぼ)いつもの調子で図々しくナイーブ質問をしたり、気楽に言いたいことをコメントをしたりと、楽しく過ごすことができた。 (さすがに、みなさんのトークに、丁寧なイントロがなければ、おそらくは、どの話も数式の羅列にしか見えず、何も分からずに押し黙って座っていることになったんだろうと思う。)
振り返ると、12 月から、熱測定、結晶成長、相対論と、同じ物理と言っても(熱測定には化学とか工学よりの人も多かった)いわゆる「専門」とはちょっと違う分野の研究会に顔を出したわけだけれど、いずれも、とても楽しめたし、それぞれで学ぶ事も多かった。 物理というのは、ある程度の基礎がわかっていれば、対象や方法が少々違っても、本質的なところは理解できるものだと思う。 この年まで物理の現場にいて、そういうことが、単なる標語ではなく、しっかりと (かつ、愉しく)実感できるようになってきたのは、とてもうれしいことだ。
プレゼンテーションはだいぶましになってきたと思うが、まだ、こなれた説明を付け加える余裕がない。 質問に答えて黒板に描いた図をちゃんとスライドの中に用意すべきだったな。
重力崩壊の最終段階でのスケール不変性の問題とか、特異点近傍でのアインシュタイン方程式の解の挙動といった問題は、要するに、ある種の偏微分方程式の漸近評価の問題だから、(もちろん、簡単ではないが)くりこみ群的な手法で厳密な解析ができる可能性はある。 昔、古池さんと原と足立さんが手がけた「ブラックホールの臨界現象」よりは易しいだろう(臨界現象は、けっきょく、厳密にはできなかった)。 後は、どれほどの苦労で、どれほど非自明で意味のある結果が出せるかというバランスか。
ずっと日記が書けなくなって、29 日頃に次のアナウンスメントを冒頭に書いている。
開催日:3月22日(土) 場 所:近畿大学11月ホール(午前),20号館1〜3号室(午後) <9:30〜12:00>全体セッション 物理学会会長挨拶(鹿児島) 蔵本由紀(座長:鹿児島) 三輪哲二(座長:谷嶋) 数学会会長挨拶(谷嶋) <13:30〜17:30>パラレルセッション セッションA(座長:早川) 田崎晴明、小澤正直、西成活裕 セッションB(座長:江口) 山口孝男、安井幸則、加藤和也 セッションC(座長:深谷) 西浦廉政、坂井典佑、押川正毅 (午前・午後ともに、各講師の講演時間は60分)(早川さんのブログに、より詳しいプログラムがあります)