茶色の文字で書いてある部分は、相当に細かい仕事の話なので、ふつうの読者の方は読み飛ばしてください。
これは、まだ書きかけです。
さて、5 月もいろいろとあわただしいわけだが、渡米あたりが最大のイベントだったので、そのあたりについて忘れないうちに書いておこう --- と書いたのもかなり前。まあいいや書くぞ。
木下是雄先生一周忌記念講演会 「物理・山・ことば」を考える
5 月 9 日(土)、学習院大学 西 5 号館 B1 教室
ロゲルギスト同人であり、『理科系の作文技術』の著者の木下是雄先生の一周忌を記念する一般向けの公開講演会です。ぼくも全力で一般向けの講演をします。ご興味のある方はぜひどうぞ。
講演会はあくまで一般の人向けということで、木下さんの紹介や思い出話ではなく、ロゲルギストや木下さんの話を「枕」にしつつ、最近の面白い物理の話題を提供することを目指した。 それで、マクスウェルの悪魔や情報熱力学の話をしたのだった。 それを如何にロゲルギス・木下さんと絡めたかまで書くと長くなるけど、われながら、けっこう上手にやったと思っている。
今回の講演会では、ぼくは「木下さんと縁が深い」という基準ではなく、「一般向けに上手に話をする」という基準で選ばれたと思っている。 それを知って引き受けた以上は、絶対に「すべる」わけにはいかない。 「エネルギーってなんだっけ?」というレベルの知識の人たちに、マクロ系の不可逆性やマクスウェルの悪魔や(沙川・上田の)情報熱力学における第二法則の話をして(少なくともその場では)「へぇ〜」と思ってもらえることを目指し、講演のストーリーと構成を徹底的に練りに練った。 さらに、これまでの一般向けの講演で培ってきたノウハウやら反省やらをすべて総動員して、できる限り目を引いてわかりやすいスライドを作る事を目指した。 その結果が、たとえば右上のスライド画像だ(妻とぼくが使用権を持っているリカ先生の画像と、ネットでみつけた画像を組み使ったんだけど、著作権的にはすべて問題ないのでご安心を)。
そして、当然ながら、上手にしかも時間通りに話さなくてはいけないので、ともかく、徹底的に練習した。 いつも言っていることだが、できあがったスライドを眺めながら、口のなかや頭のなかでボソボソとトークしたつもりになっても絶対に練習にはならない。 立って、馬鹿でかい声を出して、本番と同じつもりで練習をする。 そして、うまく話せなければ、スライドを書き換え、構成を練り直す。 また練習して、また書き直し、ということをくり返す。 この時期、ぼくの家の前を通った人、ぼくがやたらでかい声で(しかも、(下で書くけど)半分くらいは英語で)講義してるのが聞こえてびっくりしたと思う。 そうやって練習・調整しながら、時間配分も決めて行く。 多くの場合は、アドリブの余地を残すために、いくつかの「チェックポイント」の通過時間だけを決めるのだが、今回は、たった 20 分しか持ち時間がないので、すべてのスライドに 30 秒単位で時間をわりふった。 ちょっと見苦しいのだけれど、実は、上のスライドの右下にある「15.5-17」という数字は 15 分 30 秒くらいから 17 分くらいまがこのスライドという意味なのだ。 トークが異様にうまい人の中には、こういう小細工をしないでも時間がキープできる人がいるんだけど、ぼくはそういう天才ではないので、スライドに時間を書き込み、iPhone のタイマーをちらちらと覗きながら話すのである。
というわけで、万全の準備をして臨んだだけのことはあって、ほぼイメージ通りに話せたし、みなさんにも好評だった。
しかし、短い時間とはいえ、相当の集中力と緊張感でやっているので、かなり疲れた。前日の金曜日は,朝から講義で、午後は四年生とのエンドレスのゼミというハードな日だったので、その疲れも残ってるのかもしれない。
講演会のあとの(内輪の)懇親会に顔を出したあと、家に帰ると、さすがにばてていたし、暑い日で汗もかいていたし、このままシャワーを浴びて寝たいなあという気分だったけれど、実は、そういうわけにもいかなかったのだ。