茶色の文字で書いてある部分は、相当に細かい仕事の話なので、ふつうの読者の方は読み飛ばしてください。
やれやれ。 7 月はなんかとんでもないことになってしまった。
ときどき日記にも書いているけれど、去年から JST の
という二つのプロジェクトの領域アドバイザーというのをやっているわけだけれど、これらに関連したイベント(審査のための会議、函館に泊まり込みの領域会議、選考のための面接)で一つを除いたすべての週末がふさがり、残っていたたった一つの週末も学科の会議と大学院入試の面接でつぶれてしまった。週末すべてお仕事である。 JST 関連はただ会議に出ていればいいというものではなく、膨大な応募書類を読む作業がある。 もちろん普通に大学での仕事もあるし、(まあ、これはさぼっていたんだけど)8 月の滞在型の研究会の企画もあるし、ま、他にもいろいろあるしで、ほんと大変であった。体力がないと言われるだろうけど、やっぱり「遅くまで寝ていて、家にずっといてごそごそと仕事をしている」という日が定期的にないと疲れが蓄積していく。 二十日くらいずっと外出して何やらやり続けていたあとはマジで疲れたなあと思った。 これは年齢のせいもあるよね。
た だ し、 この愉しさは「罠」だね。 そう思うことにした。
科学者として生きていれば愉しいことはたくさんある。でも、それら全部に首をつっこんでいたら人生はあっという間に終わってしまうだろう。
もともと「自由に研究できる人生を楽しませてもらっているから、生涯に一度くらいはなんらかの貢献を」みたいな気持ちで引き受けたのだから、(今後、こんなお話が来るとも思わないけど)もうしばらく続く今回のお仕事できっぱりと最初で最後にしよう。 決めた。
だいたい、ぼくはこの JST のアドバイザー以外に、京都大学基礎物理学研究所運営協議会委員というのを(二回目になるのだけれど)やっていて、さらには東京大学物性研究所協議会委員というのも(これは今回が初めてだけど)やっている。 いや、もっとずっと重要そうな仕事をはるかに大量にぞろぞろとやっている研究者(あるいは、元研究者)がたくさんいるのは知っているけれど、でも、ぼくの基準からしたら、これは既にアホみたいな「えらい先生」路線である。 なにをやってるんだ、おれは?
さらに恥をしのんで告白してしまえば、少し前に、とある人から学術会議の会員というのに推薦したいと言われ(例によって、「えええ、それは明らかに性に合わないけれど、好き勝手に研究してきたご恩もある・・」みたいなことを思って)引き受けたということもあったのだ。 そのときにどういう人が選ばれているかを見て、これは俺がノミネートされたらほぼ確実に選ばれるなあと思っていた。でも、けっきょくは何も言ってこなかったので、落選したらしい。 学術会議の「偉い大先生」たちがそういう判断をしたことについては「へぇ」と思わないでもないが、まあ、それはまた別の話。 ヘタをして選ばれていたら、もっともっとアホみたいなことになっていたわけだ。落ちてよかった(だいたい、政府にもの申していた昔の学術会議とは違って最近の学術会議は骨抜きらしいし)。
そのように方針を決めたらかなり気が楽になった。 残りの人生で、研究はできる限り続けてできるかぎり進めたいし、それ以外に、何冊かの本を英語と日本語で出さなくてはいけないのだ。それは絶対。 大学の仕事だけをしていても時間が足りないくらいじゃないか。がんばらなくては。
そういう方針決定をした直後に --- 運良くというか運悪くというか --- 意義もやり甲斐もありぼくなりの貢献ができそうな委員に就任してくれというありがたいお話があった。 これは、以前のぼくだったら、迷いつつも感謝して引き受けていたかもしれない性質のものなのだけれど、でも、方針を決めたばかりだったので、心を鬼にしてお断りした。 誘ってくださった方には本当に申し訳ないけれど、でも、これでよかったと思う。 それに、こんな魅力的なお話さえも断ってしまったのだから、今後は万が一別の話でお声がかかっても「あんな楽しそうなのも断ったんだから、これを引き受けては申し訳ない」と断れる心の強さがつくというものである(ていうか、実際についた)。
お暇な方はそちらもご覧ください。
暑い日が続きますが、みなさま、どうかご自愛ください(←強引な結び)。