[2022年度第3回例会]青山薫氏講演会のお知らせ

2022年度第3回例会として、青山薫氏(社会学、ジェンダー/セクシュアリティ研究)をお招きし、講演会「氾濫する性風俗言説・表象をどう読み解くか」を開催します。オンライン(Zoom)での実施となりますので、みなさま奮ってご参加ください。

チラシはこちら

【概要】
 2000年代以降、当事者・非当事者を問わず、性風俗に関するエッセイやルポルタージュが多数出版されるようになった。デリバリーヘルスを舞台にしたマンガ『フルーツ宅配便』がTVドラマ化され、第45回放送文化基金賞奨励賞を受賞したように、単なる性的な好奇心を超えたレベルで、性風俗産業に従事する当事者(セックスワーカー)に対する社会的関心は高まりを見せているといえるだろう。とりわけ近年では、SNSなどにおいてワーカー当事者による言説が増加しており、その中にはセックスワーカーに付きまとうステレオタイプな思い込み(経済的困窮、望まぬ就労など)を覆すような表象も見られる。
 その一方で、ワーカーへの関心の高まりは、その動機(なぜそのような仕事を選んだのか)を安全な位置から垣間見たいという消費者の欲望と表裏一体である。悲惨な生い立ちや心身の苦しみ、あるいは性的・倫理的に逸脱した傾向といったワーカーの「特別な事情」こそが、商品としてのエッセイやルポルタージュに、ひいてはワーカーの自己表現にすら期待されていることは否めない。そしてその期待にまったく応えることなしに当事者たちが表現していると素朴に考えることは難しいだろう。ならば、言説の増加はもとより当事者による発信それ自体をどう捉えるべきか。それはワーカーに課せられたスティグマの克服に果たして繋がりうるのか。
 このたび本学会では、神戸大学教授・青山薫氏による講演会を開催する。主体的に選択しうる労働と構造的に強いられた奴隷制という性風俗産業に対する二元論的な認識を超える見地を求めてフィールドワークを行ない、また実際にセックスワーカー支援活動にも携わる青山氏の目に、これら表象・言説の増加はどのように映るのか。氏の考えを伺い、セックスワーク表象の両義性を検討する機会にしたい。

【青山薫氏:略歴】
神戸大学国際文化学研究科教授。主著に、『「セックスワーカー」とは誰か』(大月書店、2007)、Thai Migrant Sex Workers: From Modernisation to Globalisation(Palgrave/Macmillan, 2009)がある。日本社会学会、British Sociological Association 会員。ピープルズ・プラン研究所、SWASH(Sex Work and Sexual Health)などで社会活動を行う。

【詳細】
日時:2022年8月13日(土)14時00分~16時00分(予定)
場所:Zoom

【申込方法】
参加を希望される方は、guscscvr1@gmail.comまでご連絡ください。ZoomのURLを折りかえしご案内いたします。