日々の雑感的なもの ― 田崎晴明

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茶色の文字で書いてある部分は、相当に細かい仕事の話なので、ふつうの読者の方は読み飛ばしてください。


7/5/2006(水)

昨日、web を巡回していた妻との会話。

妻:あなたの日記、ずっと更新されてないわね。

私:あ、そうだね。

妻:でも、書いてるんでしょ?

私:ぜーん、ぜん。

妻:なーんだ(と、どこかのページを読み始める)。

私:「なーんだ」って、毎週三つずつ講義をやって(そのうち、一つは新ネタ)、さらに内輪の勉強会で二回も話しをし、加えて、週末ごとに合宿だのお墓参りだの用事が入っているにもかかわらず、今学期のはじめにはほとんど存在しなかった統計力学の本の草稿がすでに、えーーと、 153 ページっ! これだけ日々、ものを書いているわけでだな・・・(妻、聞いていない)

私:だいたい、忙しすぎて、筋トレもさぼってて、プールも行ってないのに、日記なんか書いてる余裕はないのであーる。

というわけで、昨夜は久々に筋トレをフルセット(腹筋 100、背筋 50、腕立て 50、スクワット 50)。 そして、今日は、大雨の中、久々にプールに行って三十分強で 1000 メートル。あー、いい気持ち。

晴れて、日記が書けます。


7/6/2006(木)

今日もお風呂の前に筋トレをしたので、日記が書けるぞ(注:別にそういうものではありません)


週刊少年漫画雑誌(ていうか、ジャンプとか)の巻末にある読者投稿コーナーの「身の回りのイヤな奴」みたいなのがけっこう好きだ。 「何でもくり返して二回言う奴」とか、ありがちなのに混ざって「ひいおじいさんの代から世界の影の支配者」みたいな、ありえないのがあったりするのも、なかなかよい。

で、ぼくが考えた、(あり得ない範疇の)身の回りのイヤな奴は、

「自己相似な奴」
というので、なんか、指の先がまた手になっていて、その指の先がまた手になっているような奴が手をあげて挨拶している絵とかを描いて喜んでいた。 もちろん普通の人にはわからないので、ジャンプに投稿しようとか思うわけはなくて、ただ、個人として楽しんでいたのである。

そんなわけで、(テキストのみでご覧の方には申し訳ないですが)カネゴンさんのところで知ったこの画像は、なつかしくも面白かったのであった(あ、しかし前にも「ふらく太郎」とか似たようなことを書いているなあ。 画像をみると、「なんとなく、きもい」程度ではないぞ)。


ちなみに、上の画像の上位ページはこちら。 どういう人なんだろ?  物理を知っていて英語がほどほどに読める人には Kelvinism も面白いかも。 十九世紀後半を代表する理論物理学者ケルビン卿 (Lord Kelvin) にちなんだページ。 Lord には「神、キリスト、主」の意味もあることを思い出しておいて下さい。
7/8/2006(土)

期末試験中である高校二年生の息子は、期末試験中の高校二年生のつとめとして、明け方近くまで一夜漬けの試験勉強をしていた。 高校生の一夜漬け勉強の基本として、寝ないようにイヤホンで音楽を聴いていたのだが、なにやら、外で物音がするので、イヤホンを外した。 すると、外というより、わが家の上空の方から、バラバラバラバラとヘリコプターが旋回する音が聞こえる。 しかも、時おり、非常に大きな音になる。 まるで、家のすぐ上にヘリコプターがいるのではないかと思うほどの騒音、いや、轟音なのである。

と、その時、彼の部屋の真上の屋上で、人が歩くような足音がすることに気づいた!  ヘリコプターの爆音のために聞こえた幻聴かと思ったが、耳を澄ましていると、たしかに人が歩いている。 誰だ?  あり得ないと思いつつも、息子の脳裏には、ヘリコプターからわが家の屋上にピタッとした黒い服を着た男が降りたって家に潜入しようとしている mission impossible 的な映像(←息子談)が、ありありと浮かぶ。 そして、ついに、屋上から家に入るドアに手をかけて開けるような音がするではないか!  誰かが鍵をかけ忘れたのか、確かにドアが開いて、何物かが階段を降りてくる音が!!

息子は、いざとなれば不審者を階下に降りる階段に向かって蹴り落とすプランをとっさに練り上げると、手近にあった武器になりそうなものを手にして、自分の部屋のドアを開けた。


何となく寝苦しい夜だった。

深夜くらいから消防車が何台も近所を走っていくらしく、ひっきりなしにサイレンの音がする。 ようやくサイレンがおさまったと思うと、今度は、家の外でエンジン音のような騒音がする。 道路清掃の車が夜中に作業していると、こういう感じの音がするのだが、どうも具合が違う。 しかも、大きくなったと思うと遠ざかり、しばらくすると、また大きくなる。 本当にうるさくなると、家のすぐ裏でトラックか何かのエンジンを思い切りふかしているような、やたら大きな音だ。 時計をみれば、明け方の三時。 ようやく、これは報道用のヘリコプターの騒音だと気づいた。

東京のど真ん中に住んでいるから、事件があったときに家の上をヘリコプターが通過するのは珍しいことではない。 しかし、こんな真夜中に、しかも、おそらくはわが家の上空にヘリコプターが飛び続けているなどという事態は初めてだ。

先ほどのサイレンも気になるし、どうせ眠れないし、屋上に上がってみることにした。

なま暖かい夜の空気。 遠くには、いつも通り、新宿のビル。 そして、何より、家の中にいたときとは比べものにならない、すさまじいヘリコプターの音。 見上げると、確かに、ちょうど真上あたりにヘリコプターとおぼしき灯りが見える。 騒音の大きさからして、目と鼻の先に機影が見えるのではないかと思ったのだが、案外、空の高いところにいる。 ヘリコプターの騒音というのは、等方的に伝わるのでなく、真下に向かって、かなり集中的に伝わるのかも知れない。 誰かに徹底的に嫌がらせをしたければ、マスコミを雇って、毎晩そいつの家の真上にヘリコプターを待機させておけば絶対眠れないだろう、などと考える。

で、ヘリコプターが取材しているのは何だろうとあたりを見回すと、ああ、あれだ、やっぱり火事だったんだ。 大通りをはさんだ向こう側の街並みからもくもくと煙が立ちのぼっている。 すでに消火活動が始まってから何時間か経過しているはずで、たしかに火の粉は見えないが、それでも、煙の質感と勢いは圧倒的だ。 尽きることなく、灰色のかたまりがもくもくと空へと登っていく。

火事で死者やけが人がでていないことを祈りつつ(幸い、けが人も死者もなかったことを後に知った)家に入って階段をおりると、息子が立っていた。 手に、阪神タイガース応援用の黒と白のミニバットをもって・・・・ (幸い、私だとわかったので、階下に蹴落とされることはありませんでした。)


午後、大学へと自転車で向かいながら、なんとなく、昨夜の火事の場所をさがしてみる。

屋上からみたときは家のかなり近くかと思ったのだが、実際には、ずいぶんと遠かった。 火事の夜景の遠近感など、まったくあてにならないのだ。 現場にはまだ消防車が何台も停まっている。 あ、これは、K さんちのすぐ近所ではないか。昨夜は大変だったろう。


7/10/2006(月)

午後から、学習院女子高等科にて出張授業。 (去年も行っているし、けっこう気に入っているのか?)

去年はあまりに内容を詰め込みすぎたので、今年はもっと気楽に、「ニセ科学」の話題を少々。 「水からの伝言」の内容を写真を見せながら紹介し、なぜダメか、教育にどう影響しているかなどを話す。 ついでだから、もっときれいな雪の結晶の写真を見せて、結晶成長の面白さ美しさを熱く語る。 で、いろいろな「ニセ科学」を簡単に紹介して、なぜ困るのかなどを話し、どうしたらいいか皆さんも考えて下さい、で50分を少し超過。

エアコンのきいた地学教室で、十数名の生徒さんたちが素直に(でも、上品に)リアクションしながら一生懸命に聞いてくれて、とても楽しい授業になった。 終わった後も、「水は答えを知っている」の現物を見ながら、「いかにも胡散臭い」、「ヘビメタを聴かせると汚くなるとかいうのが嫌だ」、「『しようね』はよくて『しなさい』はダメとかいうセンスがすごい」などと盛り上がる。

実際、「水からの伝言」に表れている価値観は、きわめて旧弊な(悪い意味で)「オヤジ臭い」ものだと、つねづね感じている。 今日、高校生たちに話してみて、その感じ方は正しいと再認識した。 そういう古くさい話しが、頭の古い小学校の先生の琴線に触れてしまったのはまだ理解できないではないのだが、なんで、最近の若いタレントなんかにまで影響力を持つのか、そのあたりがちっともピンと来ないのだなあ(ま、要するに、通読しているわけじゃなくて、自分にとって気分がよかったところだけが印象に残って気に入っているというだけのことなんだろうけど(そもそも、本の中の主張は一貫しているわけじゃなくて、いろいろなことが気分で書いてあるので、まさに、そういう読み方こそがふさわしいわけだ))。


7/14/2006(金)

本日で一学期の講義は終了。

「数学 II」の着地が大いにあやぶまれたのだが、ディターミナントを導入し、2 行 2 列の場合の定義を抽象化し、そこから(実はより高次の場合への一般化をにらみながら)3 行 3 列での定義を導き出すところまでできたので、ほっとしている。 完璧にきりがいいとは言わないが、ディターミナントの途中で切れるとしたら、ここで切るしかないでしょう。

来学期には、怒濤のようにディターミナントの一般論や対角化など、行列の本格的な理論をみることになる。


水曜に終わった「熱・統計2」も、講義用のノート(というか、汚いメモ)を紛失するというトラブルがあったが、結晶の比熱のところまでちょうど終了。

(本の草稿の方の)講義ノートも、驚くべきことに、講義に追い抜かれたり追いついたりしながらも、最終回の一回前には一学期の講義のところはすべて書き終えて配ってしまった。 ちょっと偉いかも。


先週の月曜に一足先におわった駒場の「現代物理学(物理学における不可逆性)」も、われながら驚くけど、ちゃんと着地できた気がする。 位相空間やリウヴィユの定理を手作り的に知ってもらった上で、平衡分布やエントロピー増大則というスタンダードなものだけでなく、最後の回では、跳ね返りの問題での非弾性衝突と(そのマクロな時間反転である)超弾性衝突との対称性の関係まで話してしまった。

しかも、この話もミクロカノニカルのバージョンが可能だということに気付いたのが、話をする二週間前、デルタ関数を使わない導出を作り終えたのは最終の講義の前日の日曜日の午後、合宿から戻ってきて昼寝をしてから(しかも、前の土曜の晩は入沢さんと朝5時まで(大事なことを)話していたので睡眠3時間弱)という急場しのぎだったのだ。 とはいえ、完成度はそれなりのものだと思うけど。

例年そうだけど、緊張感をもって愉しく教えられたと思う。


7/21/2006(金)

あ、「数学 II」の7番の問題、まちがっているではないか。 こんなこと成り立たないから、証明できないよ。

まちがった出題を無視して、正しい命題を証明している人もいるなあ。 ミスプリですよって教えてくれればよかったのに。

あ、しかしながら、この問題は全員満点などという、マヌケな大学入試のようなことはしませんぞ。 書いてあることを見て、まともなことが書いてあれば、それに応じて点を出します。


7/22/2006(土)

朝おきてきたら、テレビにげっそりとした顔の村上ファンドのおっさんが映っているので、ここはボケてやろうと思って、「あ、欽ちゃんだ」と言ったら、実は本当に欽ちゃんで、ボケにならずにがっくりしてしまった全国のオヤジの皆さん、こんにちは。

仲良くしましょう・・


以下、某掲示板に書いてしまったことだけど、気に入ったので、こっちにも書いてしまおう。

パソコンを使った、なかなかナイスなアイディア商品で、スポーツミラーというのがある。 ビデオカメラで撮影した画像を、設定した時間だけディレイをかけて、パソコンの画面に表示するというもの。 これで、少し前の自分の姿を(鏡で見るように)見ることができるので、スポーツのフォームの練習とかに使えるというわけだ。 腕のある人なら自分で作れるかも知れないけれど、スポーツマンにも使えるように 誰でも簡単に使えるようにすべてが USB のチップに仕込んである。

うちの父親が家に持ってきて皆で遊んだことがあるが、なかなか楽しい。 皆でわいわい話している横で、ディレイを十分くらいにして置いておけば、十分前に盛り上がった話題がリアルタイム(じゃなくて、リアルから十分遅れタイム)で見られて愉快。「言った、言わない」のトラブルも解消だ。

ディレイ時間はパソコン側のハードディスクに余裕さえあればいくらでも大きくできるようだ。 ふと画面を見たら、なんと、二十数年前の父の姿が写っていてびっくりしたのだが、そんなことで驚いていてはダメで、次に見たら、なんと六十年近く年前の父の姿が写っていた!! (身内の話で申し訳ありませんが、ぼくと息子です(当事者が言うのも何ですが、似てます))

ディレイの時間は、画面の下のコントロールバーみたいなのをマウスでスライドして決める。 左に動かしていくと、1分、2分、10分とディレイ時間が大きくなっていく。 右に持って行って、0分にすると、要するにこれはその場で入力された画面がそのまま見える、普通の鏡の状態。 で、さらに右に動かして、マイナス1分、マイナス10分とやれば、そこに写るのはちょっと未来の映像。 回線の余裕さえあれば、かなり未来まで見ることができて、おおっ、そこには、三十年後、六十年後の息子の姿がっ!!


7/28/2006(金)

大学に行こうと思っていたら、メールが届いた。

人体実験への誘い
という、いかにも胡散臭(うさんくさ)いタイトル。 またしても、鉄壁のスパムフィルターをかいくぐって、スパムがやって来たのか。 しかし、まあ、アルマジロの次が「人体実験」とは。

で、どんなおぞましい人体実験の話かと思って読んでみると、なんのことはない

僕の体を使っての実験では、通常のシャンプーを使うと、髪が細くなって白髪が増えてくるのに対し、添付の写真の石けんシャンプーを使うと、ご存じのような僕の髪(太くて白髪が少ない)になります(付記:「せっけんシャンプー」という商品はたくさんあるらしいが、これは完璧に無添加。リンスの方もクエン酸で中和するだけ)。
これは、何度も実験して確かめています。
そこで、他の人にも効果があるのかどうか調べてみたくなりました。 だまされたと思って試してみて、結果を知らせていただけると嬉しいです。
というシャンプーの宣伝だ。

これだけなら、あっさり無視するところなのだが、メールの差出人は尊敬する物理学者の先輩の○○さんではないか。 確かに、彼は、ぼくよりも三つくらい上のはずなのに、髪は実にしっかりしている。 そういう秘訣があったのか・・・  いや、しかし、一人の例だけを重んじるのもいかがなものかと思っていると、今度は別の物理学者の◇◇さんからもメールが。 ○○さんが、まとめてメールを送った宛先に◇◇さんも入っていたのだ。 ◇◇さんが言うには、彼も前々からそのシャンプーを使っているし、お医者さんは化学物質過敏症の人にそういうシャンプーをすすめているらしい。 そして、◇◇さんも、髪はかなりしっかりしている。

ううむ、こうなった以上(どうなった??)、ぼくも使ってみるしかないと思い立ち、大学に向かうため目白通りを1キロほど自転車で走るあいだ、次々と薬局に入ってさがしてみた。 実に五軒の薬局をめぐった(目白通りは薬局が多いのだ。実は、これでも全部ではなかった)のだが、炭だの泥だの椿油だの「地肌保護宣言」だの色々とあるものの、目当てのせっけんシャンプーはみつからなかった。

やれやれ。

シャンプーが買えないまま大学について自転車を降りたら、(既に定年になった)川路先生がいらっしゃった。 ご存知の方はご存知のように、川路先生は、70をかなり過ぎても、かなりふさふさした美しい白髪をしている。 せっけんシャンプーの話をして、「先生は何か秘訣が?」と尋ねてみたが、「ごく普通のシャンプーを使っている」とのお返事であった。 そんなもんかもな、とも思った。


7/29/2006(土)

夏休みになったのに、ちっとも仕事が進まない。 書きかけのものをちょっと見直して手直しした程度で、いじろうと思った論文もまったくやっていないし、まとめるべき非平衡の仕事も手つかずだし、秘かに考えていること(またしても、無謀にも、電子系に舞い戻っている)も進展ゼロだ。

いったい、おれはどうしちまったんだ!!

が、よく考えると、

  1. 統計力学の本の草稿をいじっていて、「ちょっと一通り見直して手直し」と思っても、実は200ページ強もあるので、なかなか終わらない(ようやく、おわりそう)。
  2. 今まで書かなかったが、「学習院大学理学部に、2008年度に生命科学専攻、2009年度に生命科学科を設立する構想を計画(←認可がおりていないから、こう書かないといけないらしい)」するための委員会というのに入っていて、(主力になっている人たちの忙しさに比べたら何でもないのだが)会議などで時間を取られる。
  3. ていうか、まだ夏休みになって大して時間が経ってない。
というのが正解とわかった。
さて、お陰様で好評を博している拙著「熱力学:現代的な視点から(←げ、このページ全然更新してない(第3刷以来、印刷されていないみたいだけど、毎年コンスタントに増刷してくれています))」だが、これを英語に翻訳しようという計画がちょっとずつだが進んでいる。 英語がネイティヴで、物理ができて、しかも日本語の読み書きも完璧という、得がたい人物(これだけで、わかる人には誰だかわかってしまうなあ)が翻訳を進めてくれることになっている。

昨日、本の最初の部分の翻訳稿を受け取って、コメントするためにパラパラと眺めている。 自分の本の英訳を読むというのは、なかなか不思議で愉しい体験だ。

内容は、確かに、ぼくがあそこに書いたものなのだけれど、すべてが無理のない少し堅めの(もとの日本語も、堅めなので、ちょうどあっている)完璧な英語である。 のめり込んで読んでいるうちに、ごく普通に英語の本を読む感覚になり、うなづいたりしながら読んでいる。 で、ふと記憶に強く残っている文章に出会って、しかも、それが英語としてあまりに自然な流れで書かれているのを読むと、一瞬、ぼくが今読んでいる英文こそがオリジナルであり、ぼくがあそこに書いたのはその日本語訳なんじゃないのか、みたいな不思議な感覚に陥ってしまうのであった。


7/30/2006(日)

妻と、車で中野のホームセンターに行き、無添加のせっけんシャンプーとリンス(28 日)を購入。 詰め替えまで買ってきた。

人体実験の開始である。

せっけんと水と髪に「ありがとう」と言葉をかけながら泡立てると、信じがたいほどに効果覿面(てきめん)で、シャンプーする指の中で髪がぐいぐいと太くなっていくのがわかる。 ノギスを使って計ってみると、実際にその場で直径が大きくなっていくのが、きちんと測定できるのだ! というのは、さすがに嘘で、さしあたっては、いっさいの添加物が入っていないので、(泡立ちはものすごくよいが)髪がごわごわした感じが残るなあという程度の印象。 通常のシャンプーやリンスに如何に混ぜ物が多いかがよくわかる。 しかし、風呂から上がって髪を乾かしても、それほど「ごわごわ」ではないので、続けられそうである。


ところで、今日の中野への買い物が、今の車での最後のドライブになるはず。

なんと、十二年間も乗っている(その割りに走行距離は二万キロちょっと)。 それでも、(あまりに乗らない期間が続くので)バッテリーが空っぽになってしまう以外、トラブルらしいトラブルがなかったから、立派なものである。 家族を安全・快適に運び続けてくれたスプリンターのマニトウに心から感謝を捧げたい。

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田崎晴明
学習院大学理学部物理学教室
田崎晴明ホームページ

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