茶色の文字で書いてある部分は、相当に細かい仕事の話なので、ふつうの読者の方は読み飛ばしてください。
先月のあらすじ: 月初めにちょこっとプールに行ったものの、なんか、いろいろあってその後はちっともプールに行けなかった田崎。 月の終わりになって、ようやくプールに行けそうになったのに、水抜き掃除のため 9 月いっぱいは閉館中と知って、地団駄踏んで悔しがるのであった。
というわけで、今日は晴れて(ていうか、雨だけど)10 月 1 日を迎え、久々にプールかというと、
久々に、風邪ひいた。
筋トレで体を鍛え、プールに通ってプール馬鹿になって、いよいよ腰痛にもならず風邪もひかない肉体を手に入れたと思っていたのだが、甘かった。 寝たり、起きたり、鼻をかんだり、くしゃみをしたりして、過ごしております(仕事もしてますが、本を書いたりとか、どちらかというと迫力の小さめの仕事です)。
ノーベル物理学賞は、宇宙背景輻射の精密測定か。 今、講義で黒体輻射をやっているところだから、タイムリー。 統計力学の本の最後の部分にも、宇宙背景輻射のかなり丁寧な解説があるよ --- と宣伝。
背景輻射は物理学にとって、ものすごく重要な観察事実だから、二つ目(だよね?)のノーベル賞が出ても、まったく不思議はないと思う。 ただし、今回は COBE という巨大プロジェクトの受賞。 千人規模の人が参加したらしい。 アンテナにいついた鳩を追い払いながらがんばった(←のだったと思う、ちょっとうろ覚え)ペンジアスとウィルソンの時代からは隔世の感がありますね。
学習院大学科学フォーラム 2006:ナノテクノロジーが拓く「現代の錬金術」
絵に描いたような秋晴れ。 学習院の門をくぐると、きれいな緑の中を、親子連れを含むたくさんの人が歩いていて、まるで行楽地のような空気。 もちろん、これだけの人が「科学フォーラム」に向かうわけではない。 今日は、模擬試験をはじめ、いろいろのイベントが学内で行われているようだ。
それでも、「科学フォーラム」には、中学生、高校生、大学生から社会人、そして、現役の、引退した研究者が、あわせて(おそらく)三百人以上、参加した。 四百人が入れる劇場のようなきれいな教室が、ほどよく一杯になる人数だった。
ぼくも、横で口を出していたら実行委員というのになってしまったらしく、当日は、マイクをもって質疑応答の司会とか、へたをすると通訳とかをすることになりそうです。と書いたが、まったく、その通りになった。
ただし、理学部の仲間で、とても上手に分業がおこなわれ、マイクを持って前に出る高橋さんとぼくは、会場のこととかマイクの手配とか、ややこしいことはいっさい気にしないで、司会進行だけをやればよいと言ってもらえたのだ。 これは、助かる(それでも高橋さんはいろいろ大変だったが、ぼくは、ひたすらマイクをもってしゃべるだけの野郎になっていた)。
ぼくは、Jerome 氏の講演の通訳をやった。 もちろん、同時通訳なんかじゃなくて、彼が聴衆に向かって英語でしばらく話したところで、ぼくが、そこまでの内容を日本語でしゃべるという、交互の通訳。 多分、こういう講演会では、これが正解だと思う。 Jerome 氏は、最初は、やたら長く話して、ぼくに「忘れ始めたぞ」とつっこまれていたのだが、だんだん、通訳にバトンタッチするタイミングを会得してきたようで、最後の方では、なかなかの名コンビになっていたと思う。 ちなみに、ぼくの横には高橋さんが座っていてくれて、ぼくが聞き逃したことを教えてくれたり、専門用語の日本語の定訳を教えてくれたりと、助けてくれたのだった。
お客さんは、若い人も多かったけれど、みなさん、きわめて一生懸命に講演に聴き入っていた。 最後は、ぼくがマイク係になって、質疑応答をしたのだけれど、中学生もちゃんと手を挙げて質問したし、色々な層の人が、かなりノリノリで質問してくれた。 講演者の三人が、一つ一つの質問にものすごく真面目に答えてくれて、実に、よい感じだった。
終わったあとも、たくさんの人が会場に残って講演者に質問したり、サインしてもらったりしていて、非常に、いい雰囲気になっていた。
よかった、よかった。 無事に役目を終えて、さすがの私も、ほっとしております(講演の中身については、何も書いていないので、ちょっと馬鹿っぽいけど、論文を書いたりと色々忙しいので、許してもらおう)。
いろいろとやることがあるので、ずっと家で仕事をする。
先週、風邪をひいて以来、回復したはずだが、どうも調子がでない。 今日も、なんとなくパッとしない。 ここで、大事をとって、おとなしく暮らしていたのが以前の私。 こういうときこそ、逆に体を動かして、一気に調子を上げようと考えるのが、今の私ではなかったか!
というわけで、夕方からプールへ行くことに。
プールの日記のはずの「日々の雑感的なもの」に全くプールの話が出てこなかったのは、一重に、プールに行っていなかったからだ。 忙しくて行けず、水の入れ替えのため行けず、そして、風邪ひいて行けなかった。しくしく。
実に一ヶ月ぶりのプールは、どうかなるほど、気持ちよかった。
無理せず、ゆっくりと泳ぎながら、ハバードの金属強磁性についての田中さんとの共著論文での証明の書き方、モデルの提示の仕方を、ゆっくりと頭の中に展開する。 プールに来る前、下書きをしようとしても、どうもすっきりせず進展が遅かったのだが(実際の仕事は異常なペースで進むのだが、まとめるのは、どうも並以下のペースになってしまう)、ようやく全体像が見通せて気分がよくなった。
久しぶりで、どうなるかなと思ったけれど、ゆっくりと 1000 メートル泳いだ。
このようなシーズン外れで、しかも週末でない日の夕方のプールには、老人が多い。 今日は特に、ぼくが泳ぐ「完泳コース」に、おじいさんがたくさんいた。 小太りのおじいさんなんだけど、肩とか腕の筋肉は、すごい。 昨日、今日についた筋肉じゃなく、長年にわたって鍛えられた、古くたくましい筋肉である。 しかし、そういう筋肉たくましいおじいちゃんたちが、コースのはじっこで、すぐに立ち止まって話したりしている。 まあ、お暇なんだろうけど。 また話してるなあと思って横を通り過ぎるのだけど、時たま、思い出したように泳ぎ始めると、速い速い。 ゆっくりしたペースなのに、ぐいぐいと水をかいて力強く進み、ぼくなんかを軽く追い越していく。 おじいちゃん、おそるべし。
家に戻って、論文の草稿を、書く。
明日は、京都に行って、「数理解析の諸相」という研究会に参加してきます。 高橋陽一郎さんの還暦を記念する催しです。 ぼくは、学生の頃から、色々な局面で、高橋さんにお世話になってきたと(勝手に)思っているので、せっかくだから、顔を出す次第です。 参加される方とは、あちらでお目にかかりましょう。
事務に出張届けをだしたところ、先ほど「出張先は京都大学と書いてありますが、どこのキャンパスでしょう」という問い合わせがあった。 いやいや、京大のキャンパスは基本的に一つだし、ぼくが行くのは数理解析研だよ、と思ったのだが、念のため調べてみると、確かに京大のキャパスは一つだけど、ぼくが行くのは数理研じゃなくて「京大会館」という場所だった。 問い合わせをしてくださった方、ありがとうございました。 (付記:早川さんに速攻で教えてもらいましたが、「京大のキャンパスは一つ」というのは、間違いでした。 吉田、宇治、桂の3つのキャンパスがあるそうです。 お詫びして訂正しますが、出身者の井○さんに聞いたから大丈夫だと思ってたんだよな。 ○田さん、しっかりしてくれよ。)
予告どおり、「数理解析の諸相」に出席。
朝、5時半に起き、6時に家を出て、(とちゅう池袋で、もたもたと切符を買い)東京駅を6時50分にでる「のぞみ」に乗る。 9時10分を少し過ぎたあたりで京都に到着。 いつもなら寝てる時間じゃないか。
タクシーを使ったので、開始時刻の10時よりかなり前に会場の京大会館に着いた。 ぼくは、京大会館という場所の存在を、昨日、はじめて知ったつもりだったが、着いてみると、なんか知ってる。どうも、昔、泊まったことがあるみたいだ。
会場には、すでに、服部さんご夫妻と原さんがいて、ぼくは、服部さん(夫)と原さんが座っていた(前から二番目の)机にいっしょに座った。 実は、ずっと昔、この三人で共著論文を書いたこともあるのだ。
研究会: 「数理解析の諸相」 日時: 2006年10月14日(土) 10:00 -- 17:45 場所: 京大会館 101号室 住所:京都市左京区吉田河原町15-9 電話番号:075-751-8311 プログラム:(敬称略) 10:00-10:45 砂田利一 (明治大学) 「On the $K_4$ crystal」 11:00-11:45 盛田健彦 (広島大学) 「1次元拡大的 Markov 写像に関連した転送作用素とゼータ関数」 13:00-13:45 津田一郎 (北海道大学) TBA 14:00-14:45 室田一雄 (東京大学) 「「凸関数に似た離散構造」と「離散構造をもつ凸関数」」 15:00-15:45 舟木直久 (東京大学) TBA 16:00-16:45 楠岡成雄 (東京大学) 「Dirichlet 条件付き拡散過程と Malliavin calculus」 17:00-17:45 高橋陽一郎 (京都大学) 「悠久の過去を持つ時間発展と持たない時間発展」 18:00 - 18:15 パーティ受付 (210号室前) 18:15 - 20:15 パーティ (210号室)
研究会は、ぼくが思っていたよりも、高橋さんを知る人(とくに、確率論)の内輪の会という雰囲気が強かったが、それでも非常に楽しかった。 講演の話題はきわめて多彩で、どれも、おもしろかった。 圧倒的な寝不足にもかかわらず、すべて、ちゃん楽しく聞くことができた。
今日は、ぼくは部外者だから、おとなしくしていようと思い、実際、おとなしくしていて、多分、三つか四つくらいしか質問をしなかった。 のだが、後から考えると、中心人物の高橋さんを除けば、ぼくがもっともたくさん質問していたかも知れない・・・
離散凸解析というのは、室田さんが作り上げた分野のようで、まさに第一人者による解説というわけだ。 派手ではないが間を上手にとった巧みな話術、簡単な例を通じた動機の明確な説明、欲張り過ぎない内容の選択、など、素晴らしい点はいくらでもあるのだが、おそらく、もっとも重要なのは、鍵となるいくつかの概念を、(定義だけじゃなくて、その背後にある数理的イメージを含めて)きわめて強く明瞭に、聞き手に伝える能力(そして、研究者としてのオーラ)だったと思う。 仮に話の内容を忘れたとしても、主要な概念のもっている「数理的雰囲気」みたいなのだけは記憶に残るだろうなあ、という、そういう感じ。
まったく初めて聞く話だったし、(当面は)物理と関連することもなさそうな話題だったが、完璧に引き込まれ、主要定理の美しさに打ちのめされた。 鍵となる離散凸性の一つの定義(M natrural)に関連して、誰でも思いつくだろう自然な疑問点(FAQ の一つだと思う)をどうしても聞きたくて、がまんできず、質問した。 意外なことに、想像したような答えは返ってこなかったのだが、高橋さんが「自分も同じことを考えたことがある」とコメントしてくれたので、ちょっと、うれしかった。
しかも、最初の話題は(高橋さんに関連させるための話題選択だったのだが)BZ map における noise induced order という話で、これぞ、院生の頃に聞いた話だった。 その後に、その後のいくつかの研究のお話をされたので、時の流れをひしひしと感じながら、聞いた。
あのときは、たしか、カオスの国際会議で、ぼくは、いわゆる一つの超生意気な M1 として参加していて、なんか偉そうにアホみたいな質問をしたりしていたのだ(高橋さんにも質問した)。 高橋さんは一次元カオスについての有名なお仕事の話をされた。 決して派手な講演ではないのだが、ご自身は完璧に厳密な数学を進めながらも、物理学者を過激に挑発される様子を目の当たりにみて、強い衝撃を受けた。
あれから幾星霜。 今日のお話は、ごく最近、考えていらっしゃることで、今のところは、(高橋さんにとっては)ちょっとしたパズル解きのように見える(ご自分の還暦記念の会だからといって過去をふり返って、ご自身の偉大な業績をレビューしたりは、されないのだ)。 それでも、「ご飯を食べながら思いつけば十分で終わるエレガントな証明」を喜々として説明されたあと、ちゃんと恒例の「物理学者を挑発する」ための解釈の部分があった! しかも、今回は、わざわざ私たち数理物理学勢が座っている一角にマイクをもって近寄ってきて、「物理出身のみなさんは、ここに違和感をもつでしょう」と挑発に来てくださったのだ!! まったく、ありがたいサービス(←あえて名付ければ、「出張挑発サービス」やね)としか言いようがない。 とはいえ、さーて、挑発のテーマが「平衡への接近」だけに、ぼくとしては軽率に挑発に乗ることはできず、「うーん、ニワトリが先か、卵が先か、みたいなもんだしね・・・」と服部さんの方を向いて呟いていたのでありました。 この「挑発」については、確率の物理的な意味という問題とも絡めて、じっくりと受け止めたいと思っています。
特筆すべきは、樋口さんに、三角格子上のパーコレーションの conformal invariance を証明した Smirnov の仕事のアイディアを、必死で思い出して(紙、二、三枚に絵と式を書いて)説明したこと。 樋口さんに、パーコレーションのことで、(もちろん、すべて他人の話なのだが、それでも)少しでも何かを教えることができるとは、何とも貴重な体験である。
室田さんと話して、ファンになりましたと告白しようと思っていたのだが、早めに帰られたのか、チャンスを逃してしまった。
ぼくが、こういう風に、年長者への尊敬をあからさまに書き記すことは、ほとんどないので、この「雑感」は珍しいぞ。
京都での二日目。
朝、原と待ち合わせて、さっそく共著の本についての議論。 論文や原稿を広げて、二変数の場合の解析接続の微妙さについて、教えてもらった。
いや、もう少し、正確に書こう。 待ち合わせたのは、ぼくが泊まっていたホテルのロビー。 原が、自分のホテルからわざわざ来てくれたのだ。 「わがままな田崎が、人の良い原さんを歩かせたのだな」と思った読者のみなさん、ぼくだって、原にばかり歩かせては悪いと思い、中間地点で出会う案などを色々検討したのだ。 しかし、なかなかよい待ち合わせ場所がない上に、ぼくの場合、ひとたびホテルを出てしまうと、かなりの確率でどこか違う方向に向かってしまって、時間をロスし、結局は原に迷惑をかけることになる、という深い考えと長年の友情にもとづいて、このような対称性が自発的に破れた計画になったわけです。 ちなみに、昨晩、ホテルに帰るときも、「地図を見れば、わかるから大丈夫」と言いながら、間違った方向に向かいそうになった私を見かねて、「ついでだし、散歩するから」と言って、原がぼくのホテルの側まで来てくれたことも、感謝をこめて、ここに記しておこう。
なんか、ただ情けないだけのキャラのようだが、ま、実話なので仕方ねえ。
かつては、こういう山登りではすぐに息がきれてしまっていた私だったが、今回は、かなり平気でひょいひょいと登り、プールがよいの威力を原にみせつけてしまった。
遠足の途中も、いろいろと仕事の話などをし、昼食によったおそば屋さんでは、本の原稿を広げて、延々と議論をした。 最近の原の努力のお陰で、ようやく本の基本的な姿が見えてきた。 しかし、完成を焦らず、じっくりと時間をかけて、意義のある本にしたいと思う。
旧友と話すのはそれだけで楽しいことだが、とくに、大学院の頃にいっしょに研究を始めた原と話すと、これまでのお互いの研究生活や、今のそれぞれの「立ち位置」について、色々な思いが浮かぶ。
娘が見ていたので、つい、いっしょに見てしまった、「のだめカンタービレ(実写版)」(ミニ解説:「のだめカンタービレ」は、音大を舞台にしたクラシック音楽マンガ。 お話の中で、いくつかの曲(九分通り、わが家に CD があるくらいのポピュラーな曲)が上手に紹介されていくので、西洋古典音楽のファンが増えるんじゃないかと期待)。
リアリティーとか追求せず、マンガに徹しているのが、ナイス。 学園でのシーンでの群衆の配置なんて、ドラマじゃなくて、舞台風だよね。 竹中直人の演じるシュトレーゼマンの「ベタな外人」ぶりも笑える。 考えてみたら、ぼくらが子供ころの外人というのは、「ハーイ、ワターシ、ガイジンデース、ペラペーラ、ペラペーラ」とか言っていたものだと思うが、最近は、そういうのは珍しくなってしまった。
で、何と言っても楽しいのが、のだめちゃんのピアノ。 マンガでは「デタラメなようで、すごい」とか説明が書いてあるだけだったのを、上手な人が、まさにそれっぽく弾いているではないか。 こうなったら、「ラフマニノフの協奏曲を最初からフォルテシモで」っていうのが、ぜひぜひ聴きたい。 のだめがコンクールで弾くペトルーシュカも、ぼくの大好きな曲なので、楽しみ。 のだめちゃん、がんばれ!
お、駒場から、今年の「現代物理学」の授業評価アンケートの集計結果が届いたぞ。
こういうのは、どう受け取ってよいのか、なかなか、わからないのだが、ともかく謙虚に受けとめて、今後の授業の参考にさせていただこうと思います。
というわけで、いくつか、公衆の面前で受け止めてみよう!
すみません。できる範囲で、わかりやすく書く努力をする所存です。ご指摘、ありがとうございました(しかし、一番上に○をしてくれた三人の方は、親切だよなあ。さんきゅー!!)。
ううむ、さすがに、しんどいぞ。
ぼくは、今学期になってからも、
統計力学の「講義」をしながら、リアルタイムで「講義ノート」(=本の草稿)を清書して、配るという荒行(あらぎょう)を続けている。 まだ、なんとか破綻していないのだが、ここのところ、なかなかの難所で奮闘しているのだ。 「熱力学的構造、確率モデルの等価性」という章(講義配布版では8章、一般公開版では9章)を書いているわけだが、おわかりの方にはわかるように、いわゆる「アンサンブルの同値性」がテーマだ。
講義ではほとんど取り上げたことのない内容だから、新たに証明をやり直し、説明や構成を考えて、一生懸命、書き下ろしている。 むかし書いた「グランドカノニカル分布とその意味」という講義ノートがあるので、それを使い回せるかと思ったが、けっきょく、まったく再利用せず、すべて、今の本のコンテクストに合わせて、ゼロから作った。 試行錯誤しながら書いているので、書くべき内容もどんどん増えるし、用語なども変更になってしまう。 ついには、熱力学の部分の長い解説まで書き下ろしてしまった。 短めの章になるかと期待していたが、けっきょく、30ページに迫る長い章になってしまった。
というわけで、既に二週間以上、この章に取り組んでいる。 会議だの、論文書きだのと平行しているとはいえ、ぼくとしては、ペース遅すぎ。
そうこうしているうちにも、講義の方は着々と進んでいて、既に配ってある「グランドカノニカル分布とその応用」の章は、今週の講義の最初30分くらいで終わってしまうはず。 そうなると、「『講義』が、『講義ノート』を追い抜いた」という状況になるわけで、「講義ノート」サイドとしては、いよいよ、がんばらないといけないのだ(ま、「講義」サイドも、俺なんだけど。自分との闘いって奴だな)。
これで、「『講義』対『講義ノート』」という自分との闘いで、「講義ノート」側が大きくリードすることになる・・・
かというと、実は、この 30 ページに対応して、講義で使う予定の時間は、5分!!!
いわゆる一つの「一歩上を目指す人に読んでほしい」章なので、講義では、やらないのですよ。 なんて無情な・・
というわけで、次の「量子理想気体」の章も、がんばって書かねばならないのである。
30 ぺえじハ、ナガイ、ナガイ。
ケッキョク、キョーモ、のだめちゃん TV 見テシマイマシタ。 小一時間ノろすデース。オマケニ、「ベタな外人」ウツリマシター。 コーユーフーニ、たいぷスルノ、メンドクサイ。
昨日の午後は、オープンキャパスでひたすら働いたので、さすがに疲れた。
今日は、基本的に、論文の仕上げに専念するが、やはり体を動かした方がいいので、夕方から妻と散歩に出かける。
実は、ぼくが前に一人で散歩したとき、いつも通る高台の高級住宅街の裏の道を抜けると、な、なんと、(以前、まったく別のルートで発見した)立派な宗教団体の施設のある不思議な街に通じていることを発見したのである。 今日は、妻にも、この時空の離れた点がワームホールで結ばれるのにも似た驚きを味わってもらおうと思い、彼女が初めて通るという裏道を案内してあげた。
妻も、時空のねじ曲がる奇跡に感銘を受けて絶句するかと思いきや、別に驚いた様子もなく、「ああ、ここに出るのね」とか納得している。 まったく、これだから、「重症の方向音痴じゃない人」というのは、面白味がない。
それから、二人でどんどん先まで歩いて、ぼくが一人で来たときと同じように、目白大学の側をとおる。 今日は、学園祭をやっているようなので、門のところまで行って、学園祭の夜ならではの不思議な空気を吸い込む。
実は、このあたりを前に一人で散歩したとき、田中さんとの金属強磁性の仕事に大きな進展があったのだ。 懐かしいなあと思って調べてみると、すでに先月の28日のことだ。 あれまあ、随分と前だったのだ。
あれから、田中さんが証明の改良を色々と提案してくれたので、とても見通しがよくなってきた。 自分で言うのもなんだが、無茶な評価のない、読んでいて楽しい証明に仕上がってきたと思う。
前書きまで含めて、一通り書き終えたところで、すべてをまとめて田中さんに送る。
今日もまた明日のための講義ノートを作る。
先週、講義が先行してしまったところに、なんとか追いつく。 が、確実に明日の講義ではこれよりも進むから、また追い抜かれるのだ。
ブックマークしてあった以前ぼくが作ったページを訪れてみる。懐かしい。
と、書いたのだが、夜おそくなって試してみると、昔のページには辿り着けない。 ついに、URL をシャッフル? (付記:一時的な不調だったみたい。ちゃんと辿り着けます。)