茶色の文字で書いてある部分は、相当に細かい仕事の話なので、ふつうの読者の方は読み飛ばしてください。
ひえ〜。ぜんぜん日記を書いていない。
この前も、物理学科の学生が「最近、書いてないですね。みんな心配してますよ」と言ってくれた。 まあ、学習院にいれば、ぼくが普通に元気にしていて、普通でなくバカ元気に講義をしているのは知っているけれど、近くにいない読者の人にはマジで心配をかけているかもね --- という話になった。
昨日は日帰りで京都に行って会議に出ており、今日はずっと次の国際会議でのトークの準備をしていた。 おっと、明日の駒場の講義の準備(蔵本振動子のお勉強!)はまだこれからだった。 明日は午前中に講義したら帰ってきて、荷造り。明後日の朝からスペインに行って、
kT log 2 '12 Cuencaという、分かる人にしか分からないタイトルの会議に出てくるのでした(解説:kT log 2 は、1 ビットの情報に対応する自由エネルギー。つまり、これは情報理論と熱力学の関連などについての会議ということ)。
Quantum fluctuations and Information
会議は、岸壁の上の古く美しい都市クエンカのパラドールでやるみたい。 古い修道院を改装したホテルらしくて、なかなか、かっこよさそう。期待が高まる。 「水曜どうでしょう」ファンの皆さんにはお馴染みの土地とパラドールでもあります。(←マイナーすぎるネタなので、小さすぎる文字にした。)
あと、1 日で速習だ! オラ!
あわただしいけれど、朝は早起きして、家の前の道に出て日食を見る。
7 時頃はかなり雲も薄く、日食眼鏡を通して、太陽がだんだんと欠けていくのがきれいに見える。
部分食から金環へと移っていくプロセスもずっと追うことができた。 オレンジ色のほぼ完全な円環が出現し、近所の小学校からも歓声があがった直後に、日食眼鏡から太陽が消えた。 厚い雲が急に流れてきたようだ。
おそるおそる、日食眼鏡をどけて、そっと肉眼で空を見ると、雲の向こうに白い光。 そのまま目を細めてみると、白く光る完璧な円環が雲を通して浮かび上がっている。
すごい。
もちろん、日食眼鏡で見るのも素晴らしいとは思うが、やはり、日常的な風景、ごくありふれた曇天の空に、生まれて初めて見る光の円が浮かんでいる様子は圧巻。 なるほど。これを予告もなく見せられた古代の人たちは、本当にすさまじい衝撃を受けたことだろう。 天界には幾何学が好きな神様が住んでいると思うのも実にむべなるかな。
ただし、雲を通して見ても、赤外線は雲を透過してくるので目によくないと後で教わった。 300 年後に見る人は、真似をしないでくださいね。
明日は雨みたいでイヤだけど、行って参ります。