やあ、7月だ。 梅雨明け宣言はまだないみたいだけれど、どーみても世の中は夏です。
学期末に向けて、試験問題を作ったり、レポートを採点したり、と6月から続いている慌ただしさの総仕上げになりそう。 おまけに、大学院の入試まであるんだ。
ただし、ファイルのコピーをいちいち手動でやる以外のやり方を知らないので、めんどーだとわかったら、前の方式に戻すかもしれません。
忙しい忙しいというくせに、ファイル構成をいじって遊んどる暇があるんかえと言われそうですが、確かにそんな暇はなかったので、今日の雑感を書いている暇がなくなってしまった。 おわり。
おととい、index.html にいちいちコピーするのがめんどい、と書いたら、さっそく親切な方から、
% ln -s 0107.html index.htmlとシンボリックリンクをはればよい、と教えていただいた。 (ありがとうございます。)
しん ぼりっ くりん く〜〜???と、まるで宇宙語を聞いたぞと言わんばかりの大げさな反応をしてみた私だったが、ふと、こりは噂に聞く「ゆにっくすこまんど」なるバテレンの技に違いないと気付いたから偉い。 (いや、親切な方は、ちゃんと「WWW サーバが UNIX でシェルが使用可能なら」と付け足してくださっているのだ。実は、「シェル」という方は未だ意味不明である。) 今日は、幸い、朝の8時前から大学にいて、講義の準備も済んでいることだし、と思い、おそるおそる、大昔にもってきていた telnet を起動し、古式ゆかしいコマンド入力を試してみる。
おお、なんか、ずっと昔に、バックアップしようと思って一番上のディレクトリーに入れておいたファイルが未だにあるではないか。 わけがわからないので消しておこう。
The UNIX Super Text という、大昔に買った本を片手に、ディレクトリーを移動。 @ に悩まされて少し苦しんだが、目指す www/d/ の階層に到着。 RPG っぽいねえ。
何も理解しないまま、教わったとおりのコマンドをえいやっと入力。 (その気になって考えると、こういうのも RPG っぽい。) なんか、うまく行った感じ。
どうですか? http://www.gakushuin.ac.jp/~881791/d/ を読むと、自動的に、この最新の日記になるはず。 ぼくが試した範囲では、オッケーのようだ。 問題があったら教えてください。
おお、おいらにもユニックスが使えたぞ! これで、Apple が滅びても、Windows なんか使わないで、Linux や Unix を使える(かもしれない)。 充実感を味わいつつ、別れの言葉
% byeを、端末に入力。 こういう対話式のコンピュータってのも、悪いものじゃないんねえ。
しかし、
bye: Command not found.らしい。
その程度の人語は解しなさい! (The UNIX Super Text をしばしめくった結果、正解は、logout。 無粋ですな。)
あー。
今日は、「ご職業は?」って職務質問されたら(←いや、ほとんどされないけど(でも、深夜に大学の正門を通ろうとするとほぼ確実に止められる))「物理学者」じゃなくて、「物理教員です」と答えよう。
午前中は、寝不足のままずっと講義をやって、珍しく声がかすれるくらいしゃべっていた。
お昼を食べた後は、やはり教員としての職務を少しやり、それからはずーーーーーっと飲まず食わずで解析力学のレポートを採点し続けて、なんと、なんと、
もう全部終わってしまったぞおお!自慢じゃないが(って、自慢しまくっとるのお)、ものすごい能率ではないか。 ふらふらである。 火曜までに採点を終えられるか不安だとか言っていたのが嘘のよう。(本当に不安だったのだ。) もう返却可能なので、部屋の前に出しておこう。 みんな是非とも早めに取りに来てください。 すぐ取りに来てください。今おいで。 あ、もう暗いか。 (って、あの学年の人は読んでるのかな?おおい、見てるか??) あー、なんか疲れと空腹を感じない相に入ってきてしまった。 文章も乱れてますなあ。 明らかに、ビートもうねりもあったもなじゃない。 ま、いいけど。
さ、これで、「科学者」に復帰して、瞑想にふけることができる
なんていうほど世の中甘くなくて、
統計力学のレポートの採点がまだまだあるんだよおおお。おまけに、二十四題の中から(去年(7/12/2000)は二十三題とある。一題くびにして、二題追加したのだ)三題以上選択ということにしたら、レポート数が
かなりきれいに均等化している (=採点に時間がかかる)いやが上にもハイになって、< big > のタグを四つもくっつけてしまった私であったが、こうしている時間も惜しんで採点の第二ラウンドに取りかかるのであつた。
深夜までレポート採点。
午前中、大学院入試面接。
午後、会議。
会議後、レポート採点。
江沢洋『理科が危ない --- 明日のために』新曜社を少し眺める。
それから、少しだけ、親切な(←7/4)中野さんの web 日記を見て、(彼のところに送られてきたという)次のフレーズを発見。 (無断引用)
天の川って7月7日にしか見れないんですよね。う。 う。 う。
○○のやつがいつでも見えるとか言ってるんですけど、どうなんでしょうか。
理科が、危なすぎる
統計力学のレポートにもすべて目を通しました。 ふら〜〜〜。 早めに取りに来てください。 今日はまだ明るいぞ。
あとは、試験問題!
夜の七時に家人を車で迎えにいく約束。 時計を気にしながら、書きかけの Gibbs のパラドックスについての原稿(←何度も決定稿をだすものの、そのたびに、鋭く厳しいコメントをいただき、書き直す。これが三度目の「決定稿」!)を直していると、ドアに元気のよいノック。
学生さん二人が「質問いいですか?」
もちろん、大歓迎。 ×××物理学事典には申し訳ないが、熱心な学生さんの相手をするのは、いつも楽しい。
最速降下線の微分方程式を導くところで、「計算がポンと跳んでいる」ところがわからないとのこと。
なるほど。
講義をしながら、面倒な分数式の微分をみんなの前でやってみせるかどうか秘かに迷い、残り時間(と残り体力)を考慮して、「ここは、ひたすら計算するだけだから、とばす。後でちゃんとやっておこうね」と宣言したのを思い出す。 復習していて、ひっかかるのは、きわめて健全。
「これは、一生懸命やれば、できるよ。やってみた?」と聞くと、二時間くらい奮闘したもののどうにもならなかったとの答え。 ともかく、やってみよう、ということで、ぼくの部屋の前の大きな黒板のあるお茶部屋につれていく。
もちろん、ぼくはさっさと椅子に座って、彼ら(←そうです。二人とも男子学生。老若男女を問わず、誠意を持って対応するのだ。)に黒板の前に立ってもらう。
「ま、とにかく、最初の式を書いて。
そうそう。で、素直に微分してひたすら整理だよ。 やりゃあできるよ。」
少し微分が進んだところで、こちらは約束の時間。 まだ式変形は二行目。
三十分くらいで戻るからやってなよ、と言い残して、大学の裏の駐車場から車を出し、明治通りを走る。 運転するときは、たいてい、懸案の研究のことを考えているのだが、今は彼らの計算のことが気になって、ちょっと不安になってくる。 ひょっとして、ぼくが講義で書いた式がまちがっているのかも。 それで、彼らは二時間ねばっても答えがでなかったんだとしたら、また出ないに違いない。 そうなると、彼らは、今頃お茶部屋の黒板の前で頭を抱えているのかな。 いや、四年生が出てきて、いっしょにやっているかもしれない。 それだと、うれしいな。
家族を家に届けて、大学へ。 約束どおり、ちょうど三十分たっていた。
「お待たせ。はあはあ(←四階まで階段をあがった。ちょっと夏ばて気味)。どう?」
「できました」
おお。二行しかなかった式が増殖して、黒板いっぱいに。 しかも、途中ではどうしようもなく汚くなった数式も、最後は、きれいな目指す微分方程式に落ち着いている。 よかった。よかった。 (四年生も同じ部屋にいたけれど、教える必要はなかったようだ。) こちらは方針を与えて、ちょっと背中を押し、あとは車に乗っていただけで、計算が完了していると、なんか得した気分。 素朴にうれしいものだ。
あとは、いくつか細かい質問に答え、ついでに、ある本(ぼくも持ってら)には同じ計算がずっと能率的にやってあることを教えてもらう。 にゃるほろ。 最初から先を見越して逆関数を使うと、明らかに変分計算は簡単になるのか。
「おお、ありがとう。来年はこれでやろうかな」とオチをつけたけれど、まじめに考えると、こういう選択は難しい。 変分法を理解し、体感してもらうために、最速降下線の問題をやっているわけだから、あまり「ずる」をして計算を簡略化するのも考えものなのだ。
昨日、大いなる自信をもって一部の人に送った Gibbs のパラドックスの解説の決定稿第三弾については、
より悪くなったという明快なコメントをいただいでしまった。
さすがに、ちょっと、がーーんであるが、こうやってはっきりとコメントしてくださる方がいるというのは貴重なのである。 しつこく改訂をつづけよう。 (編集者の方、今しばらくお待ちを。)
床に本が積んであるという最悪の状況だけは脱した。 書類はまだ床に積んであるのだが。
書類の瓦礫の下から「教職員健康診断のお知らせ」を発掘。 げげ。とうにおわっている。
今年は、健康診断が遅いなあ、保健室がもたついているのだろうか、などと不遜なことを思っていた私は馬鹿であった。 健康診断に行って、悪い血を抜いてもらうと、調子がよくなるんだけどな。
前期の講義はすべて修了。 あとは二つの期末試験をやって、採点(←きらい)すれば、教育関係の業務はおわる。 やるべきことをあまりにもたくさん放置してここまで来たので、 何から片づけていいのかわからなくなる。 しかたがないので、目先にある面白そうなことからやっていくことになるのだなあ。
学生さんのリクエストがあって始めた講義で、果たして、どこへ行くのか、ネタが尽きないのか、心配だったが、無事に最後まで来た。 phi^4 場の理論について、むかし、阪大の素粒子の集中講義で使った OHP がどばっとあって、いざとなれば、それを使って時間を稼ごうというせこい考えをもっていたのだけれど、結局、それに頼るまでもなくフルに講義できたのはうれしい。
せっかくなので、自分の記録として、何をやったか書いておこう。
最後までお付き合いいただいたみなさん、ありがとうございました。 途中までのみなさんも、どうかお気にならさず。
本屋へ。
ふと見ると
ガモフ + スタナード 不思議宇宙のトムキンスが平積みではないか。
嗚呼、少年易老酔歩不帰(1/12)、黒いハードカバーのトムキンスを心躍らせて読んだ少年の日がなつかしい。うるうる。
最初にでてくるのは、たしか、光速 c がやたら小さい世界を書いたエピソード。 自転車が縮んでいたりするのだ。 で、タイトルが
のろい町で、なんか、これって
呪い町みたいで、ガモフの意図とは(おそらく)無関係な独特の雰囲気が付与されていてそれがまたよかった。(←「亀の呪い」みたいなもんか。)とにもかくも、ほんと純粋素朴にわくわくしたのでありました。
というわけで、早速、ジャーナリストが書き足したという現代版トムキンスを手に取るのであった。
のろのろ町・・・
なんかさえないぞ。
どーーん
昨日の解析力学と、今日の統計力学の試験答案です。
なんとなく積み上げて、つい出来心で撮影して、思わず公開してしまった。 いまにも崩れてきそうな重厚な雰囲気があり、単位取得にかけるみなさんの強い意志がひしひしと感じられますなあ。
などとバカ言ってないで、ともかく採点しまーす。
おお。 隠れた人気読み物「くりこみ群とは何か」に間違いがあることを教えてもらった。 ありがとうございます。
実は、くりこみ群に入るより前の、古典力学の計算のところなのじゃ。 最大到達高度の発散を表す (2.6) 式のすぐ下の C = √(8KR) とあるのは、正しくは、C = √(KR/2) なのであった。
もちろん、本文を読まれた方はわかっているとおり、この係数 C は普遍的な量じゃない。 このあと、くりこみ群を使って同じ高度の発散を導くのだけれど、そのときは、(普遍的でない)係数 C はまったく見ずに、普遍的な発散の指数だけが計算できてしまう、というところが、くりこみ群の味噌。 あえて言えば
その威力を引き立たせるべく、普遍的でない係数 C の値は間違っていた!という著者も知らなかったオチがついていたのである。 さすがは隠れた人気物。(時間があるときにファイルがみつかったら改訂します。)
ちなみに、この間違いを教えてくださった方の名は・・・・・・「名無しさん」??
昨日は、佐々さんとメールおよび電話で少しつっこんだ議論。
で、そうやって、ふたつの系を上下に方向にはりあわせると、温度差がバランスして・・話が、あわなかった。いや、その場合のバランスの条件はちがう。 熱が縦に流れるから・・
いやいや、ちがうぞ。
それもそのはず。 ぼくは、左右の壁に温度差がある右図を見ながら書き・話していたのだが、佐々さんは、これを九十度回転させた、上下の壁に温度差がある絵を見ていたのだ。 ちゃんちゃん。
いずれにせよ、熱流系や「ずり(=shear)」のある流体系についての定常状態熱力学 (SST) は、かなり以前(三ヶ月くらい前?)に(最終的に)完成し、その後の研究会発表・セミナー・議論・そしてわれわれ自身による徹底的な批判的検討にたえて今日に至っている。 当然ながら、完成した部分については、論文としてまとめて世に問う時期であろう。
というわけで、ぼちぼち書きます。(というか、佐々さんと二人で、少しずつ書いてます。)
やたらいっぱい考え違いをしているし、どうでもいいことに気付いて安心したり喜んだりもしている。 この「雑感」を読んで SST を学ぼう、という人はまさかいないと思うけれど、念のために注意しておくと、ぼく(ら)が科学者として自信をもって発表するのは、これから論文に書くことであって、ここに書いたことじゃないよ。
明らかな間違いとは言えないけど、なんか微妙で、おもしろいのは、四月のはじめ頃に「SST の危機」を乗り越えて到達した(と自分で言っている)「示強変数を使うべしという悟り(4/2)」。
このときには、「これで、熱力学のみならず、来るべき統計力学の姿をも見通した!わはは。」という気になったし、平衡系と非平衡定常系の本質的な違いに気付いた気にもなっていた。 しかし、佐々さんには「それは、この前の学会のとき、昼飯に行く寸前に大野さんが言っていたことと同じではないのか」と言われ、いやもっと本質的なことなのだ、と必死で「悟り」の内容を伝え折伏しようとしたものだ。
で、その後の、ぼく自身の考察は、この「悟り」に引っ張られる形で進んでいって、その結果には結構満足している。
ただ、つよい「悟り」がどうなったかというと、これがいまいちわからないのであった。 結局のところ、できあがったものを見てみると、まさに「大野さんが昼飯前に言ってた指針」に従っただけのものと見ることができるし、ぼくが「見てはならぬ」と主張した示量変数は、今やΨという立派な(?)名前ももらい、将来の統計力学で主役をはるのではないかと嘱望されている。 ある意味、「悟り」などいらなかったし、今となっては、そんなのは単なる混乱の元かもしれないのだ。 (ただし、上にちらっと書いた「縦の物を横」の謎に「悟り」が絡んでいる気がするのだ。しつこいけどね。)
しかし、しかし、しかし。 研究をするときというのは(学習でも、だけど)、いつもがいつも、地道にできることを既存の方法で地味にこつこつやってるわけじゃない。 (こつこつが必要がときも多いけどね。念のため。) やっぱり、自分にできるかできないかというレベルのこと(←あくまで、「当社比」ですので)をするには、なにか、猛烈に強い信念というか偏見に支配されている必要が、どうしても、ある。
じじいの昔話になって恐縮ですが、 Hubbard model の一変種での強磁性の存在を証明した(今でも、最高の仕事(←「当社比」)と思っている)ときも、何年も悩みつづけた末に、証明のあるべき姿というか電子クンたちが何をしているかについての、非常に生々しく強烈なイメージをつかんで、それにぐいぐいと引っ張られて、ようやく証明が完成した。 後になってくると、その生々しいイメージ(←ある意味で、言語化されきっていない)は、急激に薄れていって、自分でも朧気な雰囲気しか思い出せなくなってしまった。 (おまけに、後になってみると、そのイメージは微妙に間違っていて、そのために、PRL に書いた証明はもっとも自然で能率的なものではなかっったことがわかった。 もっときれいな証明は、本論文に書いてあります。 あ、でも、まだ下書きのまんまじゃん。) それでも、あの生々しくも不可思議な(ほんで、実は不正確な)イメージは、あの仕事を完成させるためには、絶対に必要だったと信じている。
今回の「悟り」も似たような(あるいは、もっと「はずして」いる)思いこみだったのかもしれない。でも、それなくしては、ぼくは SST について何かまともなことを言ったりはできなかったと思う。(実際にやったことは、今になってみれば、ほんのちょっとだけど。)
つまり、そういう
建設的な偏見を抱くことができるというのは、研究者にとって極めて有益で幸運なことだとぼくは思っているのであった。ちょっと大げさだし、オチもないけどさ。
少しだけ雑用が片づいてきた(と自分で勝手に思いこんだ)ので、夕方から、「FIO (flux-induced osmosis, 5/9, 5/16) を示す minimum model を構築する」という前からやろうと思ってバックグラウンドで考え続けてきたプロジェクトを本格始動。
といっても、初期段階は、ひたすら瞑想なので、周りからみると、ただぼけっと道ばたに立ち止まったり、スーパーの野菜売場をおろおろ歩いていたり(アツサノ夏だしな)、突如、自動車を洗ったり、単に寝たりしているのではあるが。
Ψの本質は、ある種の「エネルギー等分配則の破れ」(エネルギー輸送に関わる自由度が余分にエネルギーをもつ)のはずだから、それを実現しうる最低限のモデルを目指す。 各々の粒子のもつ自由度は、四つの値をとる速度と、二つの値をとる内部自由度のみ。 ここに、相当に強引なノイズを入れて、ある意味で無限次元バージョンのモデルをつくる。 解析は、おそらく Boltzmann 方程式からの展開に(雰囲気)にているだろうけど、はるかに簡単だろうと思う。 でも、Ψの現れは自明とはほど遠く、この段階では見通せない。
モデルが具体化してくると、夜になってビールを飲んでいても、頭の中に粒子たちが行き来するようになってきて、これが無性に快感。 やはり、具体的で生き生きとしていて、なおかつ明快な目標がある問題を考えることこそが最高に楽しい。
おや。 随分書いてなかったですね。
人並みに連休をエンジョイしていたかというと、そもそも大学は夏休みだし、子供たちは林間学校だの部活動だのに行ってしまうし、ほとんど曜日というかお休みの感覚なく、雑用をしたり仕事をしたり私用をしたりと普通に過ごしていたのだ。
さすがに、こう暑いと、雑念も雑感も湧かないのかもしれない。 (すみません。一部虚偽があります。)
佐々さんから、今まで大手を振ってきた確率モデルを平衡から遠いところで信用してはならん、との注意。
たしかにそうなのだけれど、Boltzmann 方程式などは、ある意味で、平衡分布さえ参照しないで「導く」ことができるとされている(たとえば、今、四年生と読んでいる Huang の本なんかでもそういう書き方だよね)わけだし、形を見てもきわめて素直で単純だから、信じてもいいんじゃないかとぼくなんかは思ってしまうのだ。 (佐々さんのように「非平衡のこわさ」を味わってないから、こう思うのかもしれないけど。 もしそうだとしても、やっぱり、「こわさ」を味わうところまで行く必要があるだろうな。 それはそれで、きわめて役に立つはずだから。) そういう意味で、Boltzmann 方程式からの体系的な展開で SST の姿がどう見えるか(見えないか)については、やはり興味津々である。期待しております。
↑ 本当の宿題をいっぱい忘れてないか?
理科が危ないとタイプしようとすると
梨華が危ないと変換されてしまうけどそのままにしている一部マニア(および、そうではない大多数)のみなさん、お待たせしました。 (といっても、「雑感」は予告した内容を書かないことが多いので、誰も待ってないと思う。)
前(7/9)に話にでてきた『理科が危ない --- 明日のために』について、簡単に書いておきましょう。
明快で力強い江沢節。 押さえた語り口ながらも伝わってくる強い危機感。 月並みな「教育論」に流されないしっかりとした視点を得ることができるはず。
ま、一言でいうと、
買って、読もう。特に、学習院の方、および近隣にお住まいの方は、ぼくが本屋さんのおじさんに「学生さんに薦めるからいっぱいいれておいてください」と頼んだので、ぜひ買いに行ってみて下さい。
以上
教育について多くの人の言うことが、ぼくにはオウムの繰り返しに聞こえる。 画一的な教育が個性を押しつぶす。 創造性を育てよう。 暗記はいけない。当世流行の薄っぺらな「個性の尊重」への批判は手厳しい。 ほかにも、たかだか科目の選択の幅を広げるだけで「個性の尊重」などと主張することへの批判もあった。 (今みたけどみつからないや。確か、あった。) RPG とかで、「主人公に個性がある!」とか言って、「魔法力」とか「体力」とかの項目を数値的にいじるのがあるけど、ほんと、生徒の個性ってそんなもんかね? みんな怒るべきだ。どれも、もっともらしい。 でも、天の邪鬼は思う。 なんと、ひ弱な! 個性とは、押しつぶされそうになっても撥ね返すくらい強いものではなかったか? 創造とは、すなわち反抗ではなかろうか? わかりきった公式でさえ頭に浮かばなくて考えごとができるものだろうか? (p. 36)
「暗記ばかりではいけない」「詰め込み教育はダメだ」という、ある意味で正しい主張から出発して、
知識の習得や技術の練習を減らして、「考え方」を教えるというキチガイじみた教育理念が横行していることは、ぼくも日頃から怒りまくっているところ。 前にも書いたかな?
もうひとつ。高校生向けに、河合塾(ほお。「大学ランキング(4/14, 4/15)」だけじゃないんだね。)から出た本に江沢先生が書かれた文章から引用して終わりにしましょう。 (こう暑いと適切なオチも浮かばないので。)
よく「科学は疑問から始まる」というけど、単に「何故?」と訊ねるだけなら誰だってできる。 そんな受け身の姿勢から生まれる科学は知れている。「自分の知識からすれば、こうなるはずなのに、ならないのは何故だ? おかしい!」 という「主張を含んだ何故」が、科学の疑問なんだ。 これが、ぼくの科学観。
だから、疑問をもつには力が必要だよ。 疑問を問題の形に練り上げるには、もっと力が必要だ。 そこまでできたら疑問は半ば解けたようなものだけれど、解ききるには、やはり力が必要だ。 (「教育の基本が欠落 --- 高校生に」p. 75、(品のない)強調と文字サイズ変更は引用者による。言うまでもないが。)
頭痛がひどく活動できずに、けっきょく、一日半完全に寝込んだ。
やれやれ。いわゆる夏ばてか。さ、仕事仕事。
↑ それだけかえ!
夏ばてをしているうちに、情報科学の会議の日が迫ってきてしまった。 実は、この会議への精神的な準備をしようと思って、
Richard Ellisという本を悠長に読んでいたら、夏ばてになったのだ。 Ellis めえ。(というものでもなかろう。)
Entropy, Large Deviations, and Statistical Mechanics
Springer
というわけで、話す材料はそろっているけれど、それをどう料理するか、悩む。
そういうときは、聞いてくれる人たちの顔を思い浮かべて考えるのが正しいと思うのだけれど、今回の聞き手で知っているのは、ぼくに声をかけてきてくれた旧友の W だけなのだ。 (重要な追加:この記述は誤解を招きかねず、IBIS を運営されている皆さんにご迷惑をおかけするかもしれないとのご指摘を他ならぬ W から受けました。 私が講演することになったのは、旧友の W が選んだというわけではなく、委員会の投票の結果、田崎が選ばれたので、Wが連絡担当をしてくれていたのでした。 いい加減な発言があって、申し訳ありませんでした。) しかし、彼はというと、物理(といっても、どう婉曲に表現しても、相当に変わった物理学科生)から数学(といっても、物理との交点のしかもかなり際どく難しいところ)へ、そして、情報科学へ(これについては、よく知らないけど、きっとあまり普通ではない情報科学をやっているにちがいない)と移っていったという、きわめて独特のキャラクターなのだ。 W を、この会議での聞き手の典型例とするのは、たとえば、太宰治やのび太君を地球人の典型例とするのと似た、無理な話であろう。 (って、だいたい、名前を伏せる必要などないのだが、なんとなく、旧友とかをアルファベット一文字で表すのとかって、それっぽいではないですか。 W というのは、ぼくの大学時代の同級生の渡辺澄夫さんですが。)
で、再び、悩むのだが、とりあえずはお昼ご飯だ。
今週は、ibis 2001 への参加、(寸前までの)発表の準備、めずらしく、お客さんをむかえてセミナーと議論、と過密スケジュールなので、ここの更新はしないと思います。
と、忙しい一週間のはじまりだというのに、昨晩かは、何年かぶりのひどい不眠で、朝方まで不毛に眠れなかった。 新しいアイディアを思いついて、とかいうならかっこいいのだが、ひょっとすると、昼過ぎに飲んだリポビタン D が効きすぎたのかも。
From: "xxxx xxxxxx"というわけで、今、話題のこれのようです。To: hal.tasaki@gakushuin.ac.jp Subject: xxxxxxxxx Content-Type: text/plain; charset=ISO-8859-1 Content-Disposition: message text Hi! How are you? > I send you this file in order to have your advice See you later. Thanks
学習院の計算機センターでは、メールにウィルスが含まれていないか事前にチェックし、ウィルス入りの添付ファイルを削除するシステムが動いているので、問題の添付ファイルは消えていました。 (おまけに、ぼくは Mac しか使わないので、これは無害。)
ある ML に加入していたために、すでに、数通これを含んだメールをもらっているのですが、物理コミュニティーにも広がっているようで、いやな感じ。