2001年度卒業生 共同研究 
1、アメリカ大統領選挙の仕組みと問題点
2、ジョン・F・ケネディと大統領選挙
3、アメリカ大統領選挙とキャンペーンマネー
4、2000年アメリカ大統領選挙とメディア
4、2000年アメリカ大統領選挙とメディア
  【各メディアの特質】

@新聞・・・一覧性、記録性、網羅性、詳報性、解説性、保存性
 有権者が数多くの立候補者のうちから政策、政権をじっくり検討して支持者を選ぶ資料となる。選挙日程を追ってキャッチした事実を紙面化し、論評も掲載して、立候補者の中から支持者を絞り込んでいく指針を与えてくれる。

Aテレビ・・・速報性、同時性、平易性、娯楽性
 現場から、直接、臨場感と迫力に満ちたニュースを伝えるリアルタイム機能を持っている。庶民の選挙に対する親近感を抱かせ、開票速報をショー仕立てで行い、驚くほどスピーディーに当確者を打ち出していく。短所として、一つ一つが短く項目数も少なく、突っ込みが浅い。また、記録として残し、反復することができない。

Bインターネット・・・速報性、同時性、一覧性、解説性、詳報性、保存性、網羅性、選別性
  オンライン中継→新しい党大会報道の形を模索している。
  バーチャルでインタラクティブな報道→視聴者が見たい場面を選んだり、チャットで議論したり、自
  宅にいながら大統領候補誕生のプロセスに参加できる。


  【ブッシュ、ゴア選挙戦においてのメディア】

 *新聞社各社の支持
 タイムズ、ワシントンポスト、フィラデルフィア・インクワイア、サンフランシスコ・クロニクルなど
  東部の有力紙→ゴア支持
 シカゴ・トリビューン、シカゴ・サンタイムズ、シアトルタイムズ、シンシナチ・クワイアなど
  中西部や西海岸の主要紙→ブッシュ支持

・新聞の支持表明の影響について
 「愛読紙の社説に大いに影響される」という有権者は 1%
 「ある程度参考にする」 10%
 「まったく影響されない」 89%

・テレビ討論会の影響について
 第1回目の討論会直後の調査ではゴア氏がブッシュ氏を引き離したが、その後ゴア氏のデータの不正確さや「ため息作戦」が批判されるなどして差は縮小。この討論会直前に発表されたCNNとUSAトゥデイ、ギャラップの共同世論調査では、ブッシュ氏支持が47%でゴア氏の44%をわずかに逆転していた。

 2回目の討論直前の3社の世論調査ではまったくの互角で、1960年のケネディ対ニクソン以来の大接戦といえる。このようにテレビはメディアのなかでも有権者に多大な影響を与えている。


  【歴史的大誤報】

 VNSは、米国の主要テレビ局とAP1990年、選挙取材のコスト削減を目的として共同で設立した調査機関。CNN11月7日夜、まず「フロリダ州でゴア候補が勝利」との誤報を流し、8日未明になってこれを撤回して「ブッシュ候補の勝利」と報道した。いずれもVNSのデータに頼った結果だったが、実際の開票が進むにつれ、両候補の得票差がごくわずかだったことがわかり、いずれの当確報道も取り消された。

 VNSはフロリダ州での動向を見極めるための電話調査なども、「相当のコストがかかるため」実施していなかった。「ここ数年で不在者投票数は増加しているがVNSは場当たり的なやりかたでそれに対応していた。また、メディア全体においても、過熱する速報競争の圧力があり、それもこのような大誤報が起きた大きな原因と推測される。


  【最後に】

 
情報化社会において、多チャンネルのケーブルテレビやインターネットの普及で選挙情報が大量にあふれ、有権者を混乱させた。情報過多の現代において、私たちは、すべての情報を鵜呑みにせず、一つ一つの情報をよく吟味し、何が真実なのか見極めていくことが必要である。