ストークスの定理について
周回線積分と麺積分をつなぎ合わせるストークスの定理について説明する。
目次
概要
ストークスの定理は以下の式で表される。 \begin{equation} \oint_C \vec{A} (\vec{r}) \cdot d\vec{r} = \iint_S \left ( \vec{\nabla} \times \vec{A} (\vec{r}) \right ) \cdot \vec{n} (\vec{r}) ~d^2 S \end{equation}
つまり、ベクトル場 \(\vec{a} (\vec{r}) \) が与えられたとき、閉経路 (閉じた経路: スタートとゴールが同じで途中で交わらない経路) に沿って行った線積分 (左辺) は、ベクトル場 \(\vec{A} (\vec{r})\) のローテーション (回転) が閉経路 \(C\) の作る面 \(S\) を垂直に貫く成分の和 (右辺) に等しい、ということを言っている。
簡単な説明
はじめに、直感的な説明を行う。
まずは、閉経路 \(C\) の線積分はそれを小さく分割した閉経路 \(c_1, c_2, \dots\) の線積分の和に等しいことに気づくだろう。 図のように隣り合う \(c_i, c_{i+1}\) の線積分の重なる部分の寄与は打ち消しあうからである。
つまり、線積分は以下のように分解できる。 \begin{align} \oint_C \vec{A} (\vec{r}) \cdot d\vec{r} & = \oint_{c_1} \vec{A} (\vec{r}) \cdot d\vec{r} + \oint_{c_2} \vec{A} (\vec{r}) \cdot d\vec{r} + \dots \\ & = \sum_n \oint_{c_n} \vec{A} (\vec{r}) \cdot d\vec{r} \end{align}
つぎに、各経路 \(c_i\) を十分小さくとって、一辺 \(\epsilon ~(\ll 1)\) の正方形にする。
すると、この線積分は \(\vec{A} (\vec{r})\) の経路に対する回転具合を表すのではないだろうか。ベクトル場の局所的な回転具合 (回転の勢い) を表す計算としては、ローテーションを習っている。面に対する回転なので、面の単位法線ベクトルを \(\vec{n} (\vec{r})\) として \(\left ( \vec{\nabla} \times \vec{A} (\vec{r}) \right ) \cdot \vec{n} (\vec{r})\) を上の線積分の代わりに用いて、 \begin{equation} \sum_n \oint_{c_n} \vec{A} (\vec{r}) \cdot d \vec{r} \simeq \sum_n \left ( \vec{\nabla} \times \vec{A} (\vec{r}) \right ) \cdot \vec{n} (\vec{r}) \epsilon^2 \end{equation} としてはどうだろうか。ここで、経路 \(c_n\) は面積 \(\epsilon^2\) を持つので、ローテーションが面積 0 の極限であることを考慮して面積倍した。
これをさらに \(\epsilon \rightarrow 0\) の極限を取って、総和の記号を積分に直せば、 \begin{equation} \sum_n \left ( \vec{\nabla} \times \vec{A} (\vec{r}) \right ) \cdot \vec{n} (\vec{r}) \epsilon^2 \simeq \iint_S \left ( \vec{\nabla} \times \vec{A} (\vec{r}) \right ) \cdot \vec{n} (\vec{r}) ~d^2 S \end{equation} が得られる。