茶色の文字で書いてある部分は、相当に細かい仕事の話なので、ふつうの読者の方は読み飛ばしてください。
さて、今日は、いわゆる一つのエイプリル・フール。
この日に日記に書いたことは、みんなウソになってしまうという、現代科学でも決して解明できない不思議な日なのじゃ。
というわけで、
今年度、おれは、学科主任だああああっ!!!
実は、前に N 君と話していたら、彼は、曾祖母の話はすべてぼくの作り話だろうと思っていたらしい。 いやいや、とんでもない。 わざわざ、こんな作り話はしません。 曾祖母の話はすべて実話、というより、むしろ実話の縮小版でしかない。 実際、強烈な個性の持ち主であり、きわめて独特の人生を生きた人なのである。
しかし、過去四回にわたって書いてくると、だんだん書けるネタがなくなってきた感もある。 別にネタそのものは尽きないのだが、さすがに一族の他の人が関わってくる話になると、まあ、いろいろとデリケートで書きづらいのだなあ。 何が書けるか、ちょっと落ち着いて考えなくては。
さすがの曾祖母も、最晩年には、時々体調を悪くして、入院したりしていた。 で、見舞いに行くわけだが、心臓を始めとした内臓がきわめて強い人だったので、少し栄養を点滴してもらえば、もう元気回復して、病院のベッドにどかんと寝て、いびきをたてて寝ていた。 あらら、ばあさん元気そうに寝てらあなどと思っていると、近くで入院している老人に付き添っている人などが話しかけてくる。 まあ、入院患者の付き添いは退屈だろうから。 で、「このおばあちゃんは、すごいお歳なんですって?」とか聞いてくるので、「そうですね、今年で百×歳。ぼくが、彼女の曾孫。ぼくの娘が玄孫(やしゃご)でちょうど×歳だから、百違いなんですよ。」とか話すと、それはすごいそんなのは初めて聞いたとか、あなたもそんな大きなお子さんがいらっしゃるようには見えないとか、ひとしきり、興奮して喜んでくれる。 そして、ご自分が付き添っているご老人が、力無く寝ているところに近寄って行って、大声で、
「おじーちゃん、お隣のおばーちゃん、百×歳ですってよ! 八十五なんて、まだまだ小僧っ子ですよっ!! しっかりしてください!!!」いや、いくら、隣が大年寄りでも、調子が悪い物は仕方がなかろう。
年度が替わって理学部事務室に新しい方がいらっしゃるので挨拶。 事務長に、「物理学科の主任」と紹介された。 エイプリル・フールの効用はなく、やっぱり学科主任らしい。
「主任虎の巻」「主任心得」などの極秘の書き物があるらしきことは前々から耳にはしていたのだが、それらが本当に実在することを知った。 おお、これはっ!! いや、その中身については、口が裂けても指が裂けても書くわけにはいかない!!! 渡辺さん、平野さん、西坂さん、井田さん(←年齢順)、見たかったら、早く主任適齢期になって主任になってくださいね。
さあて、今年度の最初の講義。 何年やっていても、休み明けの講義は緊張する。
今日は統計力学の一回目なので、基本的な思想を語っていたら、やっぱり、どんどんと時間が経ってしまった。 少しだけ確率論をやってから、講義ノートを配る。
400ページ強の冊子を五十冊。 手で運べる量ではない。実は、昨晩のうちに台車と荷物用エレベーターで一人でごそごそと運びこんであったのである。
実は、S さんは、社会的地位のきわめて高い方で、本業を引退されたあと、履修生となって、物理を学ばれているのだ。 今年で七十五歳だそうだが、エネルギーにあふれていて、遅刻の夢をご覧になるほどだから、精神的にもお若いのである。 すばらしいことだ。
坂井さんは、三年以上前の日記(1/6/2004)にも「オランダでポスドクをしている S さん」として登場している。 そのときに、坂井さんから SLE のことを初めて教えていただいたのだった。その頃は、日本では、ほとんど話題になっていなかったようだが。
坂井さんは、その後、イジング模型の lace expansion という、すごい仕事を完成させた。 この展開が完成したことで、高次元のモデルの臨界点での相関関数のふるまいが、ついに厳密に制御できるようになった。 それを聞いたときは、まさかできるとは思っていなかったので、正直、驚いた。 これは、Aizenman らに始まる、平均場的な臨界現象を厳密に証明するという実り多い数理物理学の研究の流れの、ある意味で、最後の仕上げともいえる重要な業績である。
1987年あたりのコーネル大での研究会で、(lace expansion の創始者の一人である)Tom Spencer が、イジング模型でも lace expansion を用いた相関関数の評価が「原理的には」可能だと発言したのを覚えている。 しかし、会議に集った専門家たちのうちの一人として、それが「実際問題として」証明可能だろうと考えた人はいなかったと思う。 Tom 自身も、もちろん、それは非常に困難だろうが、ということを付け加えていたと記憶している。
それから、ほぼ二十年の後、その問題を、若き日本人であり、何を隠そう、ぼくの親友の原(← self-avoidng walk の lace expansion で歴史的な仕事をしている)のかつての学生さんであった、坂井さんが完全に解いたのだ。 なんというか、うまい言葉は出てこないが、すばらしく感慨深いことである。
などと、柄にもなく、じじくさい文章になってしまった。 坂井さんに負けないよう、わしらも、がんばらねばのお。ごほごほごほ。
確かに、事務・雑用は多い。 特に、締め切りが明記されたどう処理していいかわからない書類がまわってくるのが、つらい。 まわりの皆さんに頼りながら、一つずつ処理していくしかないのだろう。 それから、ぼくには書類や情報の長期的な管理のノウハウが全くない(今まで、事務仕事は、すべて頭に入る範囲で瞬発的に片づけて、書類は、さっさと廃棄してきた)ので、そのことが致命的になる日が遠からずやってくると思う。 何とか、方法を確立しないと。
主任のお仕事があるといっても、実は、今の段階では、主任とは関係なく前年度から引き受けてしまった仕事(生命科学科開設のための諸々のお手伝い、広報関連の諸々のお仕事)の負担の方がずっと大きい。 おそらく、主任業務の真の大変さを知るのは、これから先なのだろう。
というわけで、今のところは、自分の時間も確保しており、仕事を少し進めたりしている。
ここ二、三日は、数学の講義ノートに、ベクトル解析の極座標表示の節を書き足す作業をしていた。 悪名高いラプラシアンの極座標表示も、技巧に走らず、ダイバージェンスやグラディエントの幾何学的な意味にもとづいて素直に導出している。 けっきょく、これがもっとも分かりやすいのではないかなあ?
実は、この節は、物理学科の K 君の提案で書き始めたのだ。 量子力学を学ぶときにも有用なものにしたければ、ラプラシアンの極座標表示は欠かせないだろうというのが、K 君の意見で、実にもっともだと思う。 ついでに、角運動量の表示も、K 君に教わった方針で書いてしまった。 このあたりの一連の計算は真面目にやったことがなかったので(←内緒ね)、自分のためにもなった。 他の学生さんも、あれを書けこれも書けと、どんどん提案してくださいね(特に、ぼくが不勉強なところを)。
一年生の講義の一回目。
おお、なかなか、元気がよく、ノリのいいクラスではないか。 すべり気味のギャグでもちゃんと笑ってくれるし、質問してもけっこう素速く答えが返ってくる(←ギャグが先かよっ)。
是非、このハイテンションを維持してくれ。
ところで、3/13 の日記に「新入生で読んでいる人いる??」と書いたけれど、少なくとも一名、ちゃんと読んでた人がいらっしゃいましたよ。 是非、この調子で、高校生、中学生、いや、小学生の読者を多数獲得し、将来、学習院の物理に来てもらいたいものである。 ぼくは、これから二十年以上、ちゃんと学習院にいますから、小学生のみなさんも、安心して学習院大学を目指して下さいね。
M 君は根性で準備してあった。 途中、ぼくがつっこんで証明を要求した部分もすべて計算し、(途中、ぼくに来客があって中断したものの)7 時半頃まで延々とゼミが続いた。
是非、このハイテンションを維持してくれ(倒れない範囲で・・)。
なんか、しょっちゅう日記を書いているぞ!
午前中は家で仕事をする。 月曜から始まる駒場の講義(「現代物理学:原子と量子の発見」駒場 724 号室、月曜二時限目 (10:40-12:10) )の準備を本気でしなくては困ってしまう。 もちろん、初回は一般的な話で終わってしまう可能性も高いのだが、それでも、続く二、三回分のテーマが頭に入っているのといないのでは、全然ちがうのだ(いや、これはマジで)。
最初のテーマは理想気体の気体分子運動論だが、ボルツマン方程式を目指した通常のノリではなく、カノニカル分布の一般形式を目指したノリで話を進める。 具体的には、ポテンシャル中の気体の密度分布をヒントに、ポテンシャル中の理想気体の平衡状態を記述するミクロな分布(マックスウェル・ボルツマン分布)を発見するというシナリオ。 おそらく、これが、ボルツマンがカノニカル分布を見いだす際に辿った道なのだと思う。 多くの文献には、「ボルツマンはポテンシャル中の理想気体の問題のみを扱った。相互作用のある問題の扱いはギブスによる」と書いてあるが、ボルツマンも一般の系のカノニカル分布を作っていたというのが、最近の研究者の見解。 実際、彼くらいのぶっとんだ頭の持ち主なら、ポテンシャル中の理想気体の平衡分布を見ていれば、一般のカノニカル分布に十分に到達できたと思う(ここで、ポテンシャル中だというところは、ものすごく重要。ポテンシャルのない理想気体を見ていてもヒントは足りない)。
午後は大学に少し出かけるが、早々に戻ってきて、プールへ。
暖かい日に、(プールの屋根はガラス張りなので)陽の光を感じながら泳ぐのは無性に気持ちがいい。 実に、3月25日以来のプールだから、やはり新学期は余裕がないということなのか。
ばてることを恐れてゆっくりと泳いだが、なんのことはなく、1000メートル泳いでも少しも疲れた気はしなかった。 プールでの疲労は、泳ぐことによる体力の消耗だけでなく、気温や水温などの条件でも大きく変わるのだろうと思う。
プールの中で、講義の構成をさらに、かためる。 一年生も聴くわけだから、数学的に易しい例と、ちょいと背伸びを必要とする一般化を交互に扱いながら、ぎりぎり非自明なストーリーを見せることを目指そう。
今回の依頼は、大野さんとぼくが翻訳した『「知」の欺瞞』についての話題と「ニセ科学」を絡めようという企画。 つまり、闇雲に誘っているのではなく、ぼくの活動(←ただし、本業の研究以外)をちゃんとご存知で声をかけてくださったということだ。 申し訳ない気もするけれど、やはり、そこまで時間は割けない。 お断りの理由は、箇条書きで、
あ、しかし、椎名林檎との対談だったら、万難を排して参ります(あと、しょこたんも・・)。
一回前の土曜日の日記で「準備をしている」と書いた講義をしてきた。
と書くと、日記を頻繁に書いているようだが、実際は一週間以上も空いてしまった。 週のあいだはちょぼちょぼとコンスタントに忙しく、週末は他ならぬ左巻さんに頼まれた「水からの伝言」がらみの原稿を書いたり、という感じ。 でも、日曜には買い物やプールに行けるくらいだから、そんな絶望的に忙しいわけではない。
マクロなわれわれが「原子・分子の存在に如何にして気づくか?」ということを考えるのが第一部。 歴史をどこまでさかのぼるか迷ったけれど、けっきょく、トリチェリの真空、パスカルによる気圧の高度依存性あたりまで。 日本は江戸時代初期ですな。
絵を描いて歴史的な実験を解説するだけだと、どうも本調子にならない。後半になって、重力中での気体の平衡密度を計算し始めて、ががががーっと式を書くようになって、ようやく、ぼくの講義らしくなってきた気がする。 次回からは、もっと書くぞ。
佐々さんの日記にも書いてあるけれど、佐々さんからベーテ格子での計算を教えてもらい、二人で、ホワイトボードでマップの絵を描いて遊ぶ。 実を言うと、ベーテ格子での計算は、ぼくにとっては、「新しく訪れた国でのちょっとしたピクニック」みたいな感じ。 格子上の新手の問題に出会うと、ほとんどの場合に試してみる、手慣れたお楽しみなのだ(もちろん、本格的な量子系は、ベーテ格子だからといって簡単にはならないけど)。 通常のパーコレーション転移についてのこういう計算には、どうかなるほど親しんでいるので、問題設定の微妙な違いから相転移(マップの分岐)の様子が変わってくるのを見るのは実に面白い。 そして、転移点近辺でのマップの様子を調べていたら、Iwata-Sasa に出てくるのと同じタイプの分岐が出てきてしまったではないか! これに気づいた瞬間(まず、佐々さんが気づいて、その一瞬後くらいにぼくが気づいたんだろうと思う。なんとなくだけど)は、こういう稼業ならではの、ちょっと表現できない愉しい一瞬だった。 ピクニックの途中で、がさがさと藪をはらって、ひょいと向こうの景色を見たら、なーんだ、この前まで岩田さんと佐々さんが登っていた山が見えてるんじゃないの、みたいな。 思わず佐々さんの顔を見ながらニヤニヤしてしまって、「平均場の罠だぞー」と、はしゃいでしまう。 まったく話がうますぎる。平均場の話がうますぎるときは、疑ってかからないとね。 でも愉快。
Toninelli-Biroli-Fisher(←ちっとも著者名を覚えられないので、佐々日記からコピペだ!)のモデルについても、簡単な解説をしながら議論して、それなりに理解が進んだと思う。 岩田さんが「こういうモデルでもいいのか?」というので、考えてみると、ああ、それが、この意味不明の脚注に書いてある先行研究のモデルに違いない、と皆でなっとく。
しかし、まあ、こういう格子系の確率過程の時間発展に制約を課した一連のモデルが、どれほど現実の実験(あるいは、抽象的な粒子系の)jamming transition に近いのかというのは、大いに悩むべきところだ。 ぼくは格子モデルは好きだけれど、どうも、制約を完璧に課してしまうというところに、違和感を覚える。 やっぱり、ローカルな規則だけで(ローカルにだけど)完璧に固まってしまうというのが、やはり違う。 実際的で、より面白い問題では、ローカルな状況で決まる固まり具合は、そのローカルさの程度に応じて「ゆるい」べきである。 何か「固まった」構造が大きくなればなるほど、何らかの理由で、固まり具合が増強していって、どんどんと真に固まった jamming の状況に突入するのが自然なんではなかろうか? ああ、しかし、そんな固まりを増強する機構は短距離相互作用だけじゃすぐには作れない?? なんか自分でポイントを突いたおもちゃを作れれば愉しそう。 散歩をしたりプールで泳いだりしながら考えるのに格好の課題だな。プール行こ。
二回目の教室会議を招集。
ともかく、議題の作成と決定事項の記録・保存を、最低限の手間と時間で行なわなくては。 後になって書類や情報を探して時間を無駄にすることになると、ほんと損失。人類の科学にとっての損失であーる。
未だ試行錯誤中だが、今日は、川畑前主任をみならって、PowerBook を教室会議と教授会に持って行き、過去の資料は画面上で参照し、決定事項はどんどんと Mac に入力してみた。 たしかに、川畑さんの言うように、これが正解に近いかもしれない。 彼からの引き継ぎもほとんど完全にコンピューターのファイルになっているのだが、実際、たいへん便利だ。
いずれにせよ、今日は、不安に感じていた懸案事項、二つが無事に片づいた(と、今は思っている)。 ちょっと、ほっとしている。 これから、予算という最難関がやってくるのではあるが・・・
「数学:物理を学び楽しむために」を久々に更新。 この期に及んでも(?)、こういうことを少しずつやっている私なのである。
線形代数の 6 章にこまごまと追加修正。 あと、8.9 節を新たに執筆。10 ページ以上の長い節で、場の微分の極座標表示を扱った。 悪名高いラプラシアンや角運動量の極座標表示(参考文献:ラプラシアンの極座標表示を1000回計算させてやる!)も懇切丁寧に解説しているので、量子力学を学んでいる皆さんにはおすすめであります。
特に能率的な計算法を示そうといった気をおこさず、ダイバージェンスとグラディエントの直観的・幾何的な意味にしたがった素直な導出を示した。 けっきょく、これが一番わかりやすいのではないかな? (とは言うものの、角運動量の二乗の表示の導出は不満。ここまでベタに計算せず、きれいに出す方法ないかな? エレガントな導出をご教示いただければ幸いです。)
しっかし、まあ、ぼくがこんな計算を自分で全てやって公開するなどとは、学生時代のぼくが聞いたら呆れるであろうなあ。
7時少し前まで大学で仕事をし、家に帰って軽く栄養補給をし、プールに行って着替えて7時半に泳ぎ始める。 7時55分の休憩まで、25分間とやや短い時間だったが、気持ちよく泳げた。
これくらいの時間になると来ている人も少ないし、いつもと雰囲気が違って楽しい。
講義、ゼミ、雑用の三本立てをこなしたが、思ったよりも早く終わったので、またしても仕事の後のプール。 味をしめたっていうやつ。
今日は大学を6時頃に出て、家に荷物を置いてプールに向かい、6時25分から泳ぎ始める。 軽く流し、休憩をはさんで、ちょうど1000メートル。
今日は6時まで個人公開がなかったこともあり、きわめて空いている。ほとんどのあいだ、2コースを貸し切り状態で行ったり来たり。 隣のコースでは、水中エアロビみたいなのの教室をやっている。 なんと、懐かしくも Saturday Night とかがかかり、みなさん、S-a-t-u-r-d-a-y night!! に合わせて水の中で踊っている。 まだ金曜なんだけどな・・
実は、「数学:物理を学び楽しむために」の 8.9 章を書こうと思い立った時点で、前野さんの「極座標のラプラシアンの出し方いろいろ」というページを見に行って、勉強させてもらっていたのだった(あと、昨日リンクした板倉さんの日記も前野日記経由で調べたのだ)。 なので、前野さんのおっしゃる方法はだいたい理解していた。
極座標に付随する基底ベクトルは座標に依存するので、ナブラの二乗を計算するとき、右側のナブラの中の基底ベクトルもちゃんと微分すると、変な項が出てくるよということだ。 と、言葉で書くと、かえってわかりにくいので、式を見てちょ。
この方法は、悪くはないし、微分幾何の一般論からすると自然な方法なのだと思う。 ただ、div や grad の幾何学的な描像から極座標表示のふるまいを自然に理解したいというぼくの方針とは合わなかったので、採用しなかったのだ。 また、ラプラシアンを扱うかぎり、計算の量はそれほど変わらないと思う(前野さんが紹介している変分法を用いるやり方は賢いけど、ちょっと初心者向きではないなあ)。
しっかし、前野さんの wiki にも書いてあるのだが、前野さんのやり方で角運動量の二乗を計算すると、これは、圧倒的に楽ちんそうだ。 今日、思い立って、こっちのやり方ですべて計算してみたのだが、特に角運動量の二乗の表現は、簡単すぎて笑ってしまうほど。 ぼくのやり方では、grad とか div できれいに書けるものは楽なのだが、角運動量みたいに変なのは、扱いが面倒になる。 加えて、いちいち場に作用させないと計算できないので、二乗の扱いはきわめて無骨(そのことは、最初から自覚していた)。 その点、前野流でやると、演算子のレベルで二乗が計算できて、やっぱりお得なんだなあ。
というわけで、新たに小節を一つ加えて、前野さんに教えてもらった計算法を紹介する予定。
あ、それにしても、他ならぬ前野さんに言及している割りに、ボケもオチも何にもない真面目な日記になっているというのも、また、味わい深いことであるよ。
何せ、スリープから目覚めると、一瞬ちゃんとした画面が見えたあと、(チビまるこちゃんで、まるこが青ざめるときみたいに)グレーの幕みたいなものが、スーッと画面の上から落ちてくるアニメーションが表示され、「もはやリスタートするしかない」というメッセージが四カ国語くらいで表示されるのでしゅ。 そんな、まるこ風アニメーションをやっている余裕があったら、がんばって立ち直ってほしいと心から願うものであります。
昨日、最新の Security update をかけて以来、この症状が出ていて、どうも百パーセントの確率でスリープから目覚めると死ぬ。
「眠るな! 眠ったら死ぬぞ!」という台詞をよく聞くけど(いや、現実世界では聞かないね)、今、ぼくは自分の愛 Mac に、この言葉をかけているのだ。
とりあえず、重要なファイルのバックアップを確実に取った上で、優しい言葉をかけ、暖かい気持ちで見守ってやろうと思う。
よし。 「数学:物理を学び楽しむために」を再び改訂。
ラプラシアンと角運動量の二乗の極座標表示を、前野さんに教えてもらった方法で導出する 8.9.5 節を追加したぞ。 なんか、計算しているうちに、このやり方にも慣れ親しんできた。
構成は、前野さんの「極座標のラプラシアンの出し方いろいろ」ときわめて似ている。
まず、深く考えずにラプラシアンを出そうとして失敗してみせるところまで同じだ。
これは、たとえ教卓につまづいて転んでみせるようなベタなネタであろうと、うけるものは、あくまでパクるという芸人魂 どう考えてもきわめてナチュラルな筋の運びだし、無理に前野さんのと違った風にする必要もなかろうと思った次第。
さしあたって、この Mac を使うコツは、
電源を入れて使い、しばらく使わないと思ったら電源を落とすことだ。
考えてみたら、昔は、これが当たり前だったじゃないか。 僕たちは、いつの間に、こんな当然のことにさえ我慢できなくなってしまったんだろう --- というような話題ではないね。
で、RikaTan 5 月号に掲載の「リカ先生」の第二回は、「どうして飛行機は飛べるの?」というテーマである。 ちょっと、最初のあたりを引用してみよう。
つまり、随分と話題を呼んだ竹内薫の「99.9%は仮説」を柔らかく批判しながら、飛行機が揚力を発生させる機構について(ベルヌーイの定理のような難しい道具を使わずに)初等的な説明をしようという試みなのだ。 二兎を追っているわけだが、それなりに成功しているのではないかというのが、ぼくの読後感。 実は、竹内さんの本については、何か書かなくてはならないと前々から思っている。 きわめてレベルの高い物理の専門知識をもちながら、啓蒙活動に力を入れている姿勢には敬意を持っているが、しかし、この本には「危ないにおい」を感じるのだ。というわけで、興味を覚えた方は、RikaTan 5 月号を手に取って(できれば、買って)目を通していただきたい。 なお、マイナーな雑誌だから本屋さんに聞く必要があるかもしれない。 恥ずかしがらずに、「リカタンという雑誌ありませんか?」と聞こう! (一応、「理科の探検」と聞いてもいいが、「リカタン」の方が通じやすいらしい。)
ええと、書き忘れたが、4, 5, 6 月号の「リカ先生」の執筆者は、田崎晴明+田崎真理子という人たちなのじゃ。