1994年(平成6年)1月、公職選挙法が改正され、小選挙区制(小選挙区比例代表並立制)が導入された。それまでの中選挙区制だと、選挙運動にお金が懸かりすぎる、また同一政党の立候補者が共倒れになり民意が反映されにくいという面を持っていた。加えて、1976年(昭和51年)4月14日、85年(昭和59年)7月17日の二度にわたり、最高裁が議員定数不均衡違憲判決をしたこともあり、選挙区画の改正問題が叫ばれるようになった。小選挙区制は、死票が出るなどの弊害はあったものの、政策を中心とした政党同士が争う選挙になり、またお金が懸かりにくいと期待されていた。しかし、現実はそうはいかず、以前よりもお金の懸かる選挙になった。では、なぜ国際社会において大国とされるイギリス・アメリカが、小選挙区制を採用しているのだろうか。
【アメリカ連邦議会】
Congress・・・代議制民主主義の形を取る
イギリスからの民が多かったため、イギリスの政治制度を導入した。そのため、上院・下院という呼び方では英国議会にのっとっているが、アメリカ連邦議会の上院下院ともほぼ、平等の権利を持つ。しかし、独立した連邦国家の代表であった上院のほうが地元の代表であった下院より政策への影響力や地位が高いとされているが、下院は歳入法案において優越権を持ち、法律も過半数が下院の賛成によるものである点で、つりあいが保たれている。
【英国議会】
Parliament・・・王とともに英国最高立法府を形成する大評議会、議員内閣制をとる
王の助言者(アングロ=サクソンの賢者達)とその集まりとウィリアム1世によって、1066年に導入されたノルマンの封建制度に由来する。英国民の立法機関であり、君主・下院・上院の3つの要素で成り立っている。法律制定ではすべてで同意を得る必要があるとされている。しかし、立法権は現在大部分が下院(659名)に移されている。なぜなら、現在でも、上院(約1,200名)は選挙で選ばれない貴族達で構成されているからである。また、今日では、法案の大部分は内閣によって提出されることが多くなっている。イングランド・スコットランド・ウェールズ・北アイルランドの各代表から構成される。
【アメリカ連邦議会と英国議会の相違点】
アメリカ連邦議会では、議会議員が行政職につくことがない。行政職については『スポイルズシステム』というジャクソニアン・デモクラシー期に官僚交代制の原則に基づいて、行政部の首長が改選されるたびに一般公務員も交代させる制度を採っている。しかし、上院の議長は副大統領が兼任する。議員内閣制ではないため、政府提出案はほとんどなく、法案の提案は必ず、議員を通してでなければならない。
英国議会では議員は弁論技術が問われる。アメリカ連邦議会では、演説技術の評価は対象とならないため、議事録さえ討議中に話されなかったことが記載されることもある。また、訂正することもできる。英国議会議員は国民の代表であるため、政党規律が厳しく、党への忠誠心が問われる。反対に、アメリカ連邦議会では、党への忠誠心より自身の州のために活動を行わなければならない。(議論の多い、重要な法案の評決は、個別に点呼し投票が行われる。)ゆえに、対立投票のために懲罰を課されることもない。)