2001年度卒業生 共同研究 
2、両国議会の基礎知識
3、イギリス
5、最後に
民 主 党 共 和 党

  反連邦派 (ジェファニソン共和党)

    ↓
  リパブリカン党 (ジェファニソン民主主義)

    ↓ 1824年 分裂
  民主共和党

    ↓
  民主党 (欧州の政党の中では最も伝統ある政党)



  連邦派

    ↓
  全国共和党と連邦党の合流

    ↓
  国民共和党(ホイッグ党)

    ↓
  共和党


【政党変遷】
  【現在の各党の政策と支持者】

民主党・・・トマス・ジェファーソンのリパブリカン党に直系政党である。ニューディ―ル連合(低所得者・黒人・ヒスパニックなど)から厚い支持を受ける。軍事支出を減らし、公共の福祉のために経済を制限することを望む。特に、女性からの支持が多くなっている。

共和党・・・ホイッグ党の一部と北部民主党の一部との同盟により誕生した。エンブラハム・リンカーンを輩出し、『偉大なる古い党:Grand Old Party』というニックネームを持つ。企業経営者などの裕福な階級からの支持を集め、より小さな政府であることと減税を望み、強い軍事力と経済の自由が必要と考える。 →アメリカ社会における政党支は社会的・経済的環境に大きく影響されている

 アメリカの政党は、選挙に勝つために、政策をしばしば変更してきた。(共和党は政党が成立期には中央集権国家を目指していたが、現在では、より小さな国家を政策目標に掲げている)また、イギリスなどの欧州各国の政党と違い、イデオロギー的にも政策に対しても、ほとんど違いがないのが、アメリカの政党の特色である。また、同じ民主党にしても南部のテキサス州のように油田所有者や大農園主を支持層としている場所と北部ミネソタ州のように農民や都市労働者を支持基盤とするのでは政策にも雲泥の差があるのが現状である。自分の考えがあわなければ、対立候補に乗りかえたり、棄権したりする。また、政党名がよいというだけで、ユダヤ教・カトリック信者は、民主党支持しているといわれている。


  【大政党制存続の理由】

@歴史的基礎と政治文化
 前にもあるが、連邦制を採るかどうかという対立から政党が誕生している。利益の対立ゆえに2つの政党が必要となった。また、アメリカン・ドリームを夢見て多くの人々がアメリカに移民してきた。ゆえに、個人の所有権を制限するような社会主義的政治は受け入れられなかった。そのため、政治対立は経済問題が中心であった。

A小選挙区制のため
 選挙戦における資金調達、政府からの補助金の面などでも、2大政党に有利にできている。第3党候補者が投票所に掲示される候補者リストに名前を載せるためには、一定数の署名を事前に届けなければならないなどの規制もある。これは前回の一般投票の得票数が基礎となっているからである。

B政党の組織が地方に依存しているため
 全国政党といっても、党の中心は地方組織の連合であり、組織上はピラミッド型だが、地方・州・全国政党はそれぞれ独立している。何より、議員は地域代表の原則に基づいて行動している。ゆえに所属議員を統制することは不可能であるし、党規律も存在しない。

C政教分離がさせているため
 他の国々とは違い宗教が政党を分離させる原因にならないため、宗教政党が結成されることがない。

D勝者独占方式の採用
 相対多数制・勝者独占方式(過半数に達していなくても、最多得票を得た立候補者が当選する制度)を多くの州や地方政府、アメリカ連邦が採用している。しかし、メイン州・ネブラスカ州では過半数の票を得るまで決選投票を行うことになっている。

Eその他
 政党思想の幅が広いため、政党自身が、新しい支持者を確保するために政党綱領を変更したり、他党の政策を貸したりして宣伝に長けていた。


  【第3政党の存在と役割】

 小選挙区制のため、第3政党が大きな成果をあげるのは難しいが、その活動により、2大政党は、新しい問題の発生や、国民の政治不満を知ることができ、政策に反映できる。
 →アメリカでは、イデオロギー的に2大政党と同じである場合、有権者が違いを見出すことができなかった。また、イデオロギー的に異なるアメリカ共産党などは国民に広く支持を得ることは難しかった。(アメリカ連邦議員は地域代表であるため)

 cf.1992年の大統領選挙では、H・ペローの善戦により再選を目指していた、ジョージ=ブッシュが落選した。第3政党が強いときには現職政党が敗れることが多い。その他、リバタリアン党・グリーン党などの全国的な組織を持つものから、地方の小党まで、数多くある。


  【小政党が成功しない理由】

@政策が2大政党に横取りされてしまうこと
A草の根運動に力を入れないで、広告に選挙活動を集中しすぎてしまうこと
B小政党にとって厳しい州規定がある州が多いこと
Cアメリカ合衆国全州が小選挙区制度を採っていること
D(大統領選挙に関しては各州の最高得票者のみが大統領選挙人表を獲得する一括方式を
  とっているため、全国的に支持基盤がない限り当選できないため)


  【無党派層の増大】

 アメリカでも、無党派層の増大と投票率の低下が問題になっている。教育水準の上昇につれて投票率が上がってもよいはずなのに、若者を中心として政治に無関心で、政治家に対して不満を持つ人が多くなり、投票率が低下している。選挙に勝つためだけの政治に嫌悪感を抱いたり、何党の支持者と拘束されたりするのを嫌う傾向にある。その他、テレビの影響により、政党と切り離し、候補者自身の個性や政権に焦点が当てられるようになってきているのも大きい。


   【日本の選挙制度】

 
1994年公職選挙法の改正により、衆議院の定数500(現在では490)とし、小選挙区300・11ブロック別の比例区200とする小選挙区比例代表並立制を導入した。小選挙区では、有効投票の最多数を獲得した候補者が当選となるが、最低、有効投票総数の6分の1以上の得票が必要である。小選挙区制は、候補者の人柄・政策が知りやすく、選挙資金がかからないといわれていた。また、比例代表並立制は、小選挙区では当選者以外の票は死票となってしまうため、有権者の意見を無駄にしないために始まった。しかし、重複立候補を認めているため、小選挙区で落選しても比例区において、当選することが可能となっているのが現状である。

 一方、参議院は定数252で、100名は全国を単位とする拘束名簿式比例代表で、152名は都道府県を単位とする選挙区から選ばれている。


  −参考文献−

   『英米制度・習慣事典』    中島文雄編  秀文インターナショナル  1988年
   『アメリカ政治の基礎知識』    ロナルド・A・モース  麗澤大学出版  1999年
   『アメリカの政治制度』    阿部竹松  勁草書房  1993年
   『アメリカの政治』    アレン・M・ポッター  東京創元社  1987年
   『アメリカの政治』    阿部齊編  弘文堂  1992年
   『アメリカ現代政治(第2版)』    阿部齊  東京大学出版  1992年
   『比較政治・入門』    河合秀和  有斐閣  1998年   詳しく
   『アメリカ政治・経済ハンドブック』    ダイヤモンド社  1997年
   詳しく
   在日米国大使館     http://usembassy.state.gov/posts/ja1/wwwh1547.html


4、アメリカ (T)
4、アメリカ (U)
5、最後に