東アジア海文明の歴史と環境(学習院大学・復旦大学・慶北大学校)

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コーディネーター
鶴間和幸
アジア研究教育拠点事業「東アジア海文明の歴史と環境」
写真 アジア研究教育拠点事業(Asian Core Program)は、アジアにおける世界的水準の研究教育の構築を目指したものである。アジアの諸国と共同して研究教育の拠点作りをするものであり、学習院大学はパートナーとして協定校の中国の復旦大学、韓国の慶北大学校を選んだ。「東アジア海文明の歴史と環境」というテーマが従来の東アジア研究とは大きく異なるのは、東アジア海文明という文明史的観点と、自然環境という視点を取り入れたことにある。
 日本・中国大陸・朝鮮半島・台湾に囲まれた海域はそれぞれの国の立場から日本海、東シナ海、東海、西海、黄海、渤海など様々な呼び名が飛び交っている。領海をめぐって国家の利権が対立する現在、それらの海を東アジア海という名称に統一し、その歴史と文明を共同で探究していくことが求められている。中国の黄河や長江から発生した文明は、両大河の下流域の平原を経て、沿海部から海を伝って朝鮮半島さらには日本へと伝わってきた。さらに、その文明は相互の交流を通じて「東アジア海文明」とも言うべき高度な文明を築きあげてきた。
 ヨーロッパ世界の地中海にあたる海域「東アジア海」で形成された「東アジア海文明」の特質を、さらに自然環境との関わりで考えていく。黄河や長江の大河は東の海の大陸棚の海底に上流から運んだ泥土を堆積させ、その端に列島日本がある。黄河の河道の変動が東の海の環境を変えてきた。こうしたことはこれまでの東アジア研究では見過ごされてきた。
 現在、東アジアは政治的に様々な問題を抱えてはいるが、それとは反対に経済的には東アジア共同体として一体化しようという動きがある。本研究では、各国の研究者が相互に往来し、過去の東アジア社会の共存のありかたから未来の共存のありかたを「共通の場」で考えてゆくという意味において国際的に重要かつ不可欠なプログラムと言える。


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