東アジア比較私法プログラム

プログラム主担当岡 孝法学部法学科教授・民法
プログラムメンバー草野 芳郎法学部法学科教授 民事訴訟法
招聘研究者Tahir Musa Luthfi Yazidインドネシア Luthfi Yazid & Partners Law Firm
事務所代表弁護士
尹 泰永韓国 亜洲大学校 法学専門大学院 助教授
朴 仁煥韓国 仁荷大学校 法学専門大学院 副教授
Herlianaインドネシア ガジャマダ大学 法学部 講師
方 勇男中国 延辺大学法学院 講師
ここ数年、韓国、中国を中心に議論されているものがあります。

それは東アジア統一契約法作成の可能性です。

また、東アジア比較私法研究が本研究所の一般研究プロジェクトとして採用され、
2006年度から2年に渡って研究が行われました。

その成果である、
「東アジア私法の諸相」
東洋文化研究叢書として2009年2月に刊行されます。

この研究過程で東アジアの研究者とのネットワークも多少なりとも構築しました。

こういう環境下で我々は若手の東アジア研究者の育成にも力を注ぐことになり、
本プログラムを立ち上げました。

このプログラムを通して東アジア諸国の若手研究者と近い将来共同研究をおこない、
可能ならば冒頭のような統一法の探求に向けて協働していきます。

今年度は成年後見制度の研究に絞り、日本法の現状と問題点を分析させた上で、
来るべき中国民法典総則におけるこれに関する立法論を展開させることを目標にしています。


なお、岡が組織している科研費研究会「東アジア比較民法研究会」などへの参加、
さらには新たに組織する成年後見法研究会での報告により、
メンバーから種々アドバイスをいただくことにしています。

また、研究期間の後半には、弁護士事務所、公証人役場、リーガルサポートセンター、
家庭裁判所などを見学し、実務の状況を把握させる予定です。

東アジア国際政治学プログラム

プログラム主担当中居 良文法学部政治学科教授
プログラムメンバー磯崎 典世法学部政治学科教授
村主 道美法学部政治学科教授
李 正勲東洋文化研究所助教
招聘研究者高 選圭韓国 中央選挙管理委員会 選挙研修院 教授
楊 志恒台湾 台北医学大学 通識教育中心副教授
東アジア研究におけるこのプロジェクトの目的は
戦後東アジアにおける地域秩序の変遷を、当該国の内政と外交、国際関係
に焦点をあてて解明することである。

その際、戦前の国際関係・人的ネットワークが戦後どう断絶・継続したのか
さらには、アメリカが戦後の地域秩序形成にどう介入したのか
という観点も重視し、
戦後東アジアの地域秩序をより広い時間・空間軸のなかに位置づけて解明する。

東アジア言語研究・言語教育プログラム

プログラム主担当安部 清哉文学部日本語日本文学科教授 言語学/日本語史
プログラムメンバー村野 良子文学部日本語日本文学科教授 日本語教育学
鷲尾 龍一文学部日本語日本文学科教授 言語学
前田 直子文学部日本語日本文学科教授 現代日本語学
招聘研究者晋 萍中国 上海海事大学 外国語学院 日語系専任講師
扎 西 才 譲中国 青海民族大学 外国語学院 日本語学部 副教授
湯浅 千映子韓国 大田大学校 国際語文化大学 日語日文学科 専任講師
本プログラムは、
東アジアにおける言語学、ことに日本語と東アジア諸言語との対照研究を行うこと、
およびその研究成果を言語教育に応用するための研究を行うこと

を目的とする。

対象となる言語は
中国語(北京語)・韓国語、広東語などの中国諸言語、台湾の言語(少数言語も含む)、 モンゴル語などを中心とし、またそれだけでなく東アジア諸地域の少数言語も含めていく。

それぞれの言語の詳細な記述的研究と日本語との対照研究を通じて、 一般言語学にも普遍的な貢献をなし得る研究を展開していくことを目指す。

それとともに、各地域において日本語を学ぶ学習者、および当該言語を学ぶ日本人学習者に対する 言語教育にも役立つ、実用的な研究も重視し、広く応用言語学・第二言語習得・外国語学習に対する 積極的な発信を行いうる研究を推進していく。

東アジア環境教育共同研究プログラム

プログラム主担当諏訪 哲郎教職課程教授 環境教育/人文地理学
プログラムメンバー斉藤 利彦教職課程教授 日本教育史
招聘研究者李 在永韓国 公州大学 環境教育学科 教授
鄭 媛英韓国 ソウル大学校 環境教育協同課程博士修了
元 鍾彬韓国 韓国環境教育研究所 研究員
中等教育段階における環境教育の進め方で、 日本と韓国はまったく違った道筋を歩んでいる。

日本では1991年に文部省から『環境教育指導資料』が出されたとき以来、 すべての教科で環境に関わる内容を扱うという方法で環境教育を推進しようとしてきた。

しかし、一部の環境教育に熱心な教員に依存する傾向が明らかになっており、 結果的に環境に対する知識や自然体験のばらつきは著しい。

そこで学校教育における環境教育の浸透を図るには、 「環境」の科目化が求められている。

また、隣国韓国では1992年の教育課程から中学で「環境」、 高校で「生態と環境」という選択科目が開設された。

一見韓国の方が日本よりも先んじているものの、環境科目の選択率は低迷しており、 環境教育学科の卒業生が教員に採用されにくいという問題も生じている。

本プログラムでは、環境教育に関っている韓国の若手研究者を招聘して、 韓国における環境教育の科目化の失敗の原因を追究することを通して、 日本で環境教育の科目化を進めるうえでえ配慮しなければならない諸条件を明確にしたい。

方法としては、共同研究の共通テーマを定め、 招聘研究者による共同研究と日本人研究者との議論をおこなう方法を考えている。 

本プログラムの成果は、2009年7月下旬に開催される日本環境教育学会大会で発表するとともに、 自主課題研究として広く学会員の研究参加を促すつもりである。

また、李在永教授ら韓国環境教育学会の中心メンバーが組織する「韓国環境教育研究会」も、 この環境科目選択率低迷問題に頭を痛めており、 本プログラムへの全面的な協力を約束してくれている。

東アジア思想・哲学研究プログラム

プログラム主担当高柳 信夫外国語教育研究センター教授 中国近代思想史
プログラムメンバー新川 哲雄文学部哲学科教授 日本仏教哲学
中田 喜万法学部政治学科教授 日本政治思想史
馬渕 昌也外国語教育研究センター教授 中国思想史
招聘研究者張 政遠香港 香港中文大学 文学部哲学科 講師
林 永強香港教育学院
宗教教育及びスピリチュアルティ教育センター 助教授
Viren Murthyカナダ オタワ大学 教養学部史学科助教授
史 甄陶
第二次世界大戦後の東洋学は、多くの分野で長い間日本が事実上最高のレベルを維持してきた。

儒佛道三教という、東アジアで大きな影響を有した思想の歴史的・哲学的研究も、 フランスなどの若干の例外を除いて、同様であった。

しかし、近年中国・韓国・台湾・アメリカなどでも盛んに研究が行われるようになり、 日本の優位は揺らぎつつある。

こうした状況下で、諸外国で活躍中の中堅・若手の研究者を日本に招き、 日本の中堅・若手の研究者との交流を進めることは、日本人研究者にとっては、 諸外国での研究の最前線を認識する手掛かりとなり、

また外国人研究者には、ともすれば言語的障壁で看過しがちな日本の研究蓄積、或いは現在の研究状況を理解する機会となる。

東アジア研究において本プログラムではまずはこのような目的をめざして行うものである。

更には、その交流の中から、異なる背景を持ったもの同士の接触により、 新たな問題意識などがスパークとして生み出されることまで展望してゆきたい。

東アジア環境史・民族史・社会史プログラム

プログラム主担当村松 弘一東洋文化研究所准教授 中国古代史/環境史
プログラムメンバー鶴間 和幸文学部史学科教授 中国古代史
武内 房司文学部史学科教授 中国古代史
大澤 顯浩外国語教育研究センター教授 中国近世史
招聘研究者邱 澎生台湾 中央研究院 歴史語言研究所副研究員
李 大海中国 陝西師範大学
西北歴史環境与社会経済発展中心助理研究員
王 大学中国 復旦大学 歴史地理研究中心講師
東アジアにおける現在的諸問題を解決する方法は、その現代的要因のみならず、 その背後に存する歴史的文脈もすくい上げながら考察される必要がある。

なかでも、環境問題や民族問題というテーマはグローバル・ヒストリーにおいて注目される分野であるが、 その地球規模での問題は、実は東アジアというローカルな問題や地域社会の有り様にその原因がある。

歴史学的方法に基づく東アジア地域研究を環境・民族・社会をテーマに若手研究者と共に考えることが 本プログラムの目的である。