【平和主義日本とテロリズム】
テロリズムに対する日本政府の方針は「テロに屈せず、人命尊重を最優先として、平和的解決に向けて努力する」である。テロに屈することなく、平和的解決できるだけの具体的な対策は果たしてあるのだろうか。今日の日本政府(警視庁)の対策を列挙した。
@特殊部隊(SAT)の設置
警察では、1977年9月28日におきた「ダッカ事件」を契機として、警視庁、大阪府警察に特殊部隊を設置。さらに近年のテロの深刻状況に対応し、1996年道府県も加えた。ハイジャック事件、人質立てこもり事件などの突発重大事案に的確に対処する事を目的とし、計200人の部隊員から成る。
Aテロ対策に対する国際支援
日本の(ODA)事業の一環として、開発途上国を中心とした各種セミナーを開催し、テロ対策に関するノウハウを紹介するなどして、国際支援に努めている。
Bテロリストの検挙
職員を海外に派遣するなどして、各国の治安機関と情報交換情報収集を進め、日本赤軍などの国際テロ組織の動向把握に努めている。
Cテロ行為の未然防止に向けた取り組み
テロリストが日本に潜入する事の防止対策、武器・化学薬品などテロの手段になるものの輸入防止など。
D海外における安全対策
E国際会議などへの積極的な参加
F法令の整備
サリンなどによる人身被害の防止に関する法律、警察法の一部改正
【今後の対策】
これらの対策は、警視庁のHPに記載されているもので公のものである。従って、詳細は勿論ないし、具体性もない。これは警視庁自体に対策がないのではなく、「公開情報」として提供されているものだからであろう。以下、個人的に具体性を持たせた対策を考えてみた。
@経済援助の見直し
「なぜ日本人が狙われるか」といえば、ここに問題がある気がする。日本の好意的援助が現地ではどう受け止められるか、テロリストにはどう写るかを考える必要がある。テロリストは日本が政府に対して援助をするから敵とみなして狙われるのである。政府への援助ではなく、生活に密着した人々への援助をすべきだ。電気も通っていない世帯が多い国で、最新のコンピューター設備など必要ない。政府への援助として立派な国会議事堂ができたところで現地の人の暮らしには何の影響もないということである。人々の生活に影響を及ぼすような援助ができたら、日本は敵ではなくなり感謝される立場になるのではないか。
A海外安全対策の強化
ペルーの例をあげて言えば、日本大使館が襲われたひとつに「警備の甘さ」が指摘されている。「日本人が狙われている」ことを自覚し、しっかりとした警備体制を整える必要がある。
Bメディアの規制
「日本人が人質としてとらわれた!」というと、地球の裏側だろうとどこだろうと沢山の報道陣、記者が集まる。これは、「心の操作」を法則にもつテロリストに餌を上げているのと同じことではないだろうか。恐怖の媒体とならないためにも、しっかりした方針が必要といえる。
C特殊部隊(SAT)の強化
(これは、HP上の知識しかないため、推測の上での案として)もし海外での活動を考えていないのであれば、海外の活動も視野に入れるべきだと思う。日本赤軍をはじめ日本が関与するテロは実際海外で存在しているわけだし、日本だけ平和主義を掲げて逃げるのはおかしい。ましてお金で解決するのはなおさらだ。海外におけるテロに関しても日本が敏速に対応する組織になるべきではないか。
D日本人の知的武装・教育の見直し
日本人自身が自分で自分の身を守る、ということである。海外旅行者が増す中で、自分に身の危険を感じていないのが一番恐ろしい事だ。テロ組織の「効率の追求」をふまえ、繁華街はできるだけ避けることや、旅行前に国際状況を調べる事が必要である。また、教育機関においてもしっかりとした「テロ」に対する知識を教えるべきだと思う。
−参考文献−
『テロリズムとは何か』 佐渡龍己 文藝春秋 2000年 詳しく
『オックスフォード英語大辞典(OED)』 永嶋大典 大修館書店 1983年
『国際情勢早わかり2000』 橋本光平 PHP研究所 2000年 詳しく