Prolog zur deutschen Grammatik

改良提案

非人称構文

「非人称構文」が載っていません。 es を主語とするさまざまな文をどのように扱うかという問題があり, 受動態のところでは,非人称受動を載せているのですが, es を主語とする表現をまとめて解説している章はありません。 例えば,初級でも,どのような場合に文頭にあったes が中域では消えてしまうのか,教える必要があると感じています。 ただあまり細かくなると,初級文法の範囲を越えてしまうのではないかと思います。


人称代名詞の2格

「人称代名詞の2格」が載っていません。これは, 初級ドイツ語を学ぶ人にとって,混乱の原因になるとの判断で削除したのですが, 今となっては「もう一歩進むと」といったコラムで扱っておくべきだったと反省しています。 中級ドイツ語の橋渡し的存在として, 「もう一歩進むと」のコラムのコンセプトをはっきりさせておくべきでした.


「ベルリンの壁」の例文

ドイツ人の友人から、Lektion 20 (受動態)のP.95 の練習問題  1 4) に関して新たな提案を頂いたので紹介します。

「ベルリンの壁が壊れた」という時,普通は Die Berliner Mauer ist gefallen. のように 動詞 fallen を使った完了形の文で表現することが普通です。 brechen で「壁を壊す」という意味を表現できない、 というのがポイントでしたが、 ではどのような動詞なら比較的自然に入るのでしょうか? この友人からの提案は、abreißenを使ったらどうか、 というものです。

そうすると,この文の最後の指定した動詞を変えることで, 練習問題を成立させることができます。

4) 1989 wurde die Berliner Mauer ________.(abreißen)
となります。これの方が、訂正としては美しいですね。

abreißenは、「〜をもぎ取る」, 「〜を引きちぎる」とう感じの動詞ですが (etwas durch Reißen von etwas trennen)、 「(かなりのエネルギーを加えて)〜を引き倒す、ばらばらにする」 (etwas niederreißen oder auseinander nehmen) という意味もあるのでそれが適当と考えたのでしょう。 vgl. Langenscheidts Großwörterbuch Deutsch als Fremdsprache (1998:12) 分離動詞を使った文の受動態というと、初級学習者にはちょっと難しいかもしれません。


改良へ向けてのご意見

PDGの出版から2年がたとうとしています. これまでPDGを利用してドイツ語を教えた方, あるいは,学んだ方からさまざまな意見をいただきました. まずはお礼申し上げます.

いろいろな反応がありましたが,その中で目立ったものをまとめると:

  1. 練習問題が少なすぎる.
  2. 全体の分量が多すぎる.
  3. 英語との比較が多すぎる.
  4. 文法用語が難しい.

1. に関しては,全体の分量をこれ以上増やせない, という制約から現在のような形になりました. 練習問題のところにスペースがあいているページもあるので, 実質的にはある程度練習問題を増やすことができます.なぜ, このようなスペースがあいているか,というと,もともと LaTeX で作った原稿では, 苦心して1課が3ページに収まるように組版してあったものを, スペースに余裕をもたせて作るとの方針から,オリジナルの組版を放棄したためです.

2. に関しては,1. の要請を受け入れると実現から一層遠のいてしまいます. 元々,薄っぺらで「内容が希薄な文法書」を作るつもりはありませんでしたので, この要請には,PDGは答えられません. 基本的には,使う時に取捨選択してもらうことで,この問題に対しての解決を求める,ということでしょうか.

3. 英語との比較は,意図的に多く入れてあります.この部分に関しては, 「英語の勉強にもなった」とか,「英語との比較があったおかげで理解できた」 という肯定的な反応もありました.さじ加減が難しいところかもしれません.

4. これは意外でした.「やさしい文法用語の解説」と, 「学習に不要な文法用語の排除」を目指して作ったつもりでしたから. 具体的に,どのような文法概念が分からなかったのかを今,調査しています.

このような意見を受けて,PDG の改訂版を作ろうと決心しました.残念ながら, 2006年度,私は文法の授業を持ちませんので, これまでやってきたように,作りながら,改良しながら授業というのはできません.

反省点も今となっては多々あります(2006年1月23日時点で,4つあげておきます).

  1. 説明が口語調すぎ,くどい感じがする.
    →コンパクトに分かりやすく,あまり口語調にならないように書き直す.
  2. 必須のものと,そうでないものの区別がはっきりしない.
    → オプショナルなものを,はっきり書く.<初級では不要>とか.
  3. 例文の文体がまちまちではっきりしない.
    → 例文に,<口語>,<文語>,<やや不自然>などの説明をつける.
  4. 文法事項や特定の例文がすぐに見つからない.
    →索引をつける(文法事項索引,単語の索引).

その他の意見も随時募集中です.