東アジア比較私法学研究教育プログラム

方 勇男(FANG YONGNAN)

「東アジア比較私法学プログラム」招聘研究者

 
2002年延辺大学法学系卒業
2005年延辺大学法学院修士課程(民商法学)修了
2005〜2008年延辺大学法学院教師
2008〜現在延辺大学講師
2008年9月〜吉林大学法学院博士課程(民商法学)在籍


研究テーマ「中日成年監護制度の比較研究」



成年監護制度


それは、現在中国で新しい課題に未だ属しており、
しかし国外ではすでに長い歴史を持っている問題である。


1999年から中国も高齢化社会の行列に歩み入って、
世界の老齢の人口が最も多い国と高齢化のスピードの最も速い国家になった。


それがもたらす社会への影響および制度に背負わされた試練に関しては先例がない。


そのため、どのように高齢化社会に受け応えるかなど、
中国政府にかなり厳しい課題を与えることになった。


この課題を乗り越えれば、
積極的に高齢化の挑戦に受け答えができるようになる。


また、それだけでなく、
国際に統合した1部の整っている《中国民法典》を制定することも可能になる。



本研究で目的とするのは、

日本の成人後見制度の改革と
日本の改革の得た巨大な業績を研究して紹介すること


そして、

中国の成人後見制度と日本の成人後見制度を比較を通して、
中国の成人後見制度の長所と不足を見つけること


である。



周知の通り、1999年12月、日本の国会は


『民法の一部改正に関する法律』
『任意の後契約に関する法律』
『成年の後見登録に関係する法律』
『「民法の一部改正に関する法律」施行法』


など4部の成年後見に関する法律を審査して施行し、
決まりに関して2000年4月1日から発効した。


今回の改訂の前に、日本はずっと伝統の大陸法系の
『禁治産制度』と『準禁治産制度』をそのまま用いていた。


これでは古い禁治産制度が硬化して一律にするため、
実際的な需要と社会の発展に適応しにくくなる。


そこで、
1999年の改訂の中で、
法定後見と任意後見の2種類の新しい制度を採用したのである。








日本の今度の成年後見改訂は
注目すべき点がいくつもある。



ドイツ、フランスとスイスなどの国家の制度を参照して見習っていること
日本の本国の具体的な国情をも結び付けていること
日本の高齢化の社会の制度に対する需要に合わせていること
同時にまた西方の先進国の成年後見制度と統合していること




まさに成年後見制度改訂国家の中の手本と言える。




現在、中国の民法典改訂の過程の中で、
西方の先進国の立法と改革を参考にする必要はおおいにある。


すぐれたものを吸収して、中国の先進的制度に合わせ、
中国の法制建設のために用いなくてはいけない。


そういったことを踏まえると、
日本が経験した今回の改革は我が中国が参考にして学ぶべきものである。


日本の成年後見制度は、
現実の需要を基に、判例と学説によって発展されてきており、
多くの場合,重要な役割を果たしている。


したがって,中国にとって非常に参考になるものであると考えられよう。




中国では、未だに成年後見制度に関する立法をしていないが、
現実の中には運用事例が少なからず存在する。

その制度は論文の中に少しだけ掲載されたこともあるが、
結局は、学者の重視を受けない。


その主な理由としては、成年後見制度自体が必要でないというわけではない。


その理論研究や現実要件から見ればまだ立法条件が整っていないのである。


特に中国監護制度は22前に制定された<民法通則>によって多くの問題が生じている。


中国と日本は法律として共に大陸法系である。


そして、成年後見制度について研究を進めれば
日本の制度を学ぶのが一番重要な問題だという結論に行きつく。


したがって、現実においては、この制度の確立が求められており、
その立法もまもなく実現できよう。



現在、中国成年監護制度に関し、
中国では主に未成年人の監護と精神病人の監護に分けてある。


その中には日本のように成年後見制度がない。


私は、日本での研究期間において

「中日成年監護制度の比較研究」

というテーマを取り扱いたい。



すなわち、日本の成年監護制度の理論と実践に対する研究を通じて、
その立法背景、主な内容、判例や施行効果など諸問題に関する比較研究を行うのである。


そのうえで中国の成年監護制度の重構に関して参考意見を提出する。


この研究は中国の成年監護制度の発展に寄与できるであろう。


  • まず、成年監護制度の歴史発展や各国の実践事情を検討する。


    具体的に、

    歴史文献資料を収集し、
    歴史方法、比較方法、分析方法、実証研究方法などを駆使する。

    そのうえで

    成年監護制度の歴史に対する(特に日本の独有制度成年後見制度に)
    客観的な認識を引き出す。
  • 次に、成年後見制度の一般的理論と各説を包括的に取り扱う。


    日本の制度に関する本格的な研究の基礎作りをすることが目的である。

    成年後見制度に関する日本の理論と学説を含め、
    特に登録に関する理論や学説、ほかの監護に関する問題などを検討する。

    また、当該制度の性質、適用範囲、実現方式などについて比較研究を行い、
    理論上の問題を明確する。

    さらに、当該制度の民法上の地位を分析する。
  • 第三に、日本の成年後見制度について本格的な研究を行う。


    日本の成年後見制度における改正前制度(禁冶産者と準禁冶産者)
    および、
    改正後制度(名称が改められた後見、保佐、補助と創設された任意後見制度)
    これらを基にして

    当該立法転変の背景、過程、任意後見制度を
    新設した目的、必要性、成年後見制度の対象、効力、施行、進歩などを
    全面的に考察する。

    そして、学説と判例に対する検討を通じて、
    当該制度の本質、特徴、実施効果及び参考になる要点などを分析する。
  • 最後に、中国の成年監護制度の現実事情を基に、
    中国における成年後見制度の創設必要性、可能性などを検討する。


    中日両国の政治、歴史、文化、法制度上の様々な差異を確認したうえに、
    いかにして参考する要点を模索していくのかという問題に焦点を合わせる。

    そして、具体的な立法構想を提出する。



以上