「東アジア環境史・民族史・社会史」
研究教育プログラム

巫 仁恕(WU RENSHU)

「東アジア環境史・民族史・社会史」
研究教育プログラム
招聘研究者

1988年国立中興大学卒業
1991年国立台湾大学歴史学研究所にて碩士学位取得
1996年国立台湾大学歴史学研究所にて博士学位取得
1998〜2004年中央研究院近代史研究所助研究員
2004〜現在中央研究院近代史研究所副研究員


研究テーマ
「伝統中国の都市・社会・旅」



私は現在、三つの研究計画をすすめている。
第一は「明清士大夫の旅行文化の変遷」である。
明清士大夫の実際の旅行の状況のほか、
さらに一歩すすめて士大夫の旅行文の変化と
その背後にある士大夫の心理と社会構造の変化を分析する。


このテーマに関して一冊の専門書を完成させる予定で、
現段階で初稿を完成させている。


第二は「清中葉以降の物質消費の変遷」という計画である。


清代地方档案資料から乾隆以降の民間における物質消費の変化を検討する。
すでに乾隆から光緒末年の華北順天府の档案資料のなかの
盗難事件の文書に記載された盗品のリストを収集し、
初歩的な整理作業をおこなっている。


盗品のリストに見られる異なる時期の物品の変化は
私たちが当時の民間の物資消費の変化を理解するための助けとなる。
この論文を完成させる予定である。


最後の計画は私の博士論文
「明清都市民変の研究−伝統中国における都市群衆団体行動の分析」
を修正することである。


資料を増やすのみならず、
近年私がおこなってきた民間信仰に関する研究から
伝統の団体行動のモデルが近代中国の抗議行動への影響を分析し、
当該書に組み入れる。


年末までに完成し、北京大学出版社から刊行する予定である。
訪問中、学習院図書館の資料を利用し、
また、武内房司・馬渕昌也・大澤顯浩先生ら
清史の専門家に教えをいただき、
交流をすすめ、私の研究に対して
さらなる益となればと思っている。



以上